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イーグルスHCシリアニが試合終盤の重要な局面でWRブラウンへのロングパスを指示した理由を説明

2025年11月12日(水) 12:02

フィラデルフィア・イーグルスのヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニ【Todd Rosenberg via AP】

シーズンが終わると、勝敗表ではすべての勝利が同じように見える。それは、フィラデルフィア・イーグルスとそのヘッドコーチ(HC)ニック・シリアニにとって幸いなことだ。

イーグルスは現地10日(月)に行われた試合でグリーンベイ・パッカーズを10対7で下したが、これは見栄えのしない勝利に分類されるだろう。この試合では、ディフェンスが奮闘して存在感を見せつけた一方で、オフェンスはほとんど流れをつかめなかった。10得点というのは、2007年シーズン第15週のダラス・カウボーイズ戦(10対6)以来、イーグルスが勝利した試合の得点として最低の数字となっている。

試合を決定づけるチャンスを何度もつかんだにもかかわらず、イーグルス攻撃陣はそれをものにできなかった。また、試合終了まで残り33秒、敵陣35ヤード地点での第4ダウン残り6ヤードという局面でシリアニHCが下した判断は、この試合で最も物議を醸している。

イーグルスには、ギャンブルで攻める、ロングフィールドゴールを狙う、パントする、という3つの選択肢があった。

イーグルスはギャンブルを選んだだけでなく、クオーターバック(QB)ジェイレン・ハーツにワイドレシーバー(WR)A.J.ブラウンへの成功率の低いロングパスを投げるよう指示。これがインコンプリートに終わった結果、試合時間残り27秒でパッカーズにフィールドゴール圏内に入るチャンスを与えることになった。

シリアニHCにとって幸いなことに、イーグルス守備陣は堅守を貫き、相手のキッカー(K)ブランドン・マクマナスに成功の見込みがほとんどない64ヤードのフィールドゴールを蹴ることを強いた。

その判断について「試合終盤、私たちは3点リードしていた。フィールドゴールを狙うならもう少し距離を詰めたいと思っていた」と語ったシリアニHCは、次のように続けている。

「やはり、状況によって少しずつ対応は変わるが、あのときは向かい風が吹いていた。あの場面では通常より低い軌道で蹴らなければならないことは分かっていた」

「私たちはオフェンスを心から信頼している。今回はうまくいかなかった。ただうまくいかなかっただけ。だが、特に3点差という状況であれば、あの判断を貫くつもりだった。6点差に広げると、相手はタッチダウンを決める必要があるからね。つまり、あのプレーを決めれば、試合を終わらせられたし、うちの選手ならそれができると確信していた。だが、あの時点でフィールドゴールを蹴らなかった理由は、繰り返しになるが、3点リードしていたあの状況では向かい風があったからだ」

50ヤード超えのフィールドゴールは選択肢の1つとなっていたが、失敗すればパッカーズにより有利なフィールドポジションを与えることになる。また、シリアニHCは6点差となり相手がタッチダウンを狙う状況を避けたかった可能性が高いが、残り時間が少なかったため、その危険はそれほどなかった。

シリアニHCはフィールドゴールに注目していたが、本質的な疑問はなぜパントを選ばなかったのかという点だ。統計的には第4ダウンで攻めるべきだとされているが、今回のケースではパントを選ぶのが妥当だという分析結果もあった。

パントを選んでいれば、パッカーズを自陣深くに押し込むことができたはずだ。タイムアウトも残っていなかったため、パッカーズが祈りながらフィールドゴールを狙う状況に持ち込むことすら難しくなっていただろう。言うまでもなく、パントには通常のプレーよりも時間を数秒多く消費する効果もある。

分析結果にかかわらず、選手たちにプレーを任せられると確信しているシリアニHCは、昨季のクリーブランド・ブラウンズ戦でハーツが成功させた同様の判断を例に挙げた――しかし、そのブラウンズ戦でブラウンに40ヤードのロングパスを通したのは、4点差でリードする中、第2ダウン残り11ヤードの場面でのことだったため、厳密に言えば同様の状況とは言えない。

「繰り返しになるが、あの瞬間、私たちはあのプレーで攻める決断を下した」とシリアニHCは振り返っている。

「後悔はまったくない。試合を終わらせたかった。今回はうまくいかなかったが、そういうこともある。だが、ああいう場面で再び選手たちを送り出すことには大きな信頼を置いている。去年のクリーブランド戦で、みんなでハイタッチしたプレーとそっくりだっただろ? とても似ていて、同じく縦に攻めて、A.J.とジェイレンが素晴らしいプレーを見せてくれた。今回はうまくいかなかったが、残り4分の状況での話だ。ミネソタ(バイキングス)戦とも少し似ていた」

「つまり、うまくいったときはハイタッチする。うまくいかなかったときは、“今回のケースでとるべき最善策はこれだったのか?”と振り返る。そして、自分たちを厳しく評価することになるだろう。だが、自分がジェイレンやフィールドにいる選手たちをどれほど信頼しているかは分かっている。あの場面で彼はA.J.に投げて、A.J.やオフェンシブライン、全員がプレーに関与した。振り返りはするが、以前に成功したことはある。今回はうまくいかなかったが、ディフェンスが素晴らしい仕事をして、最後まで相手に点を取らせなかった」

試合終盤のイーグルスのプレーコールは、前のドライブでの第2ダウンや第3ダウンでのパスプレーも含め、疑問の余地を残す内容だった。とはいえ、今回はディフェンスの活躍により、そうした疑問が消化しやすくなっている。

【RA】