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スーパーボウルをいかに戦うか、プロボウル出場選手たちの見解

2017年01月30日(月) 13:02

ニューイングランド・ペイトリオッツのトム・ブレイディ【AP Photo/Lynne Sladky】

どうやら、バッファロー・ビルズのアウトサイドラインバッカー(OLB)ロレンツォ・アレキサンダーはニューイングランド・ペイトリオッツの倒し方を知っているようだ。

現地28日(土)、アレキサンダーはプロボウルの練習後、「トム・ブレイディを試合から外すんだ」と笑いながら語った。

クオーターバック(QB)のトム・ブレイディがまだ4試合の出場停止処分中だった昨年10月2日(日)、ビルズはペイトリオッツを下している。この日、ビルズはQBジャコビー・ブリセットに対し3度サックを与え、その内の1つがアレキサンダーによるものだった。

フロリダ州オーランドに集まったプロボウラーたちであれば、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンのペイトリオッツとNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)チャンピオンのファルコンズを止めるためのヒントを知っているかもしれない。少なくとも、一握りの選手たちには実際にファルコンズが誇る破壊力抜群の攻撃陣に対して一歩も引かない活躍を見せた者がいて、QBブレイディ率いる機械的かつ正確無比な攻撃スタイルのペイトリオッツにどう対抗するかということについてアイデアを持っている選手もいるだろう。

リーグナンバーワンの得点力を誇るチームとリーグナンバーワンの守備力を誇るチームとの対決となったのはスーパーボウル史上でも6度目の事。これまでの5試合中4試合では守備力の高いチームに軍配が上がっている。しかし、ファルコンズが残した1試合平均33.8得点はビル・ベリチックがペイトリオッツのヘッドコーチ(HC)に就任して以来、スーパーボウルで対戦する相手としては最も高い。2001年のロサンゼルス・ラムズでさえ1試合平均は31.4得点であった。

ここで、『NFL.com』は複数の守備選手やコーチに対して“どうすれば彼らを止められるのか”という質問を投げかけてみた。

【対ペイトリオッツ】

ニューヨーク・ジェッツでラインバッカー(LB)コーチ(2000年から2005年)、守備コーディネーター(DC/2006年から2008年)、シニアディフェンシブアシスタント(2009年から2011年)、アシスタントHC(2012年)を務め、2013年からカンザスシティチーフスに移って、現在は守備コーディネーター(DC)のボブ・サットン。ここ20年間でペイトリオッツに対抗する手段は存在したか、あるいは、多少なりとも常に効果的な方法はあったかという質問に対し、サットンは「いや、ない」と答えている。続けて、「本当に競争的になる必要がある。とてもタイトなカバレージが必要なんだ。彼らには良い選手もそろっていて、いつも良いプレーを生み出している。しかし、みんな忘れがちなのは彼らのプレー実行能力の高さだと思う。彼らの実行力には目を見張るものがある。チームの厳しい規律や練習を通して磨かれたものなのだろう。少なくとも、コーチとしてそういったチームにまでレベルを育て上げたいと思っている」と語った。

サットンが言及した“厳しいカバレージ”という言葉は、今シーズンにペイトリオッツと対戦した数々のディフェンシブバックの選手たちの共感を得た。ブレイディの動きは素早く、3秒以内でボールが動かされてしまうのを想像してほしい。結局、ディフェンシブバック(DB)の選手がディフェンスのファーストラインでどのように対策するかが重要になる。

デンバー・ブロンコスのコーナーバック(CB)クリス・ハリスは「エッジでやわなプレーはできない。ピッツバーグはそうだった。ペイトリオッツのレシーバーのランは激しい。だが、それでもやはり手を離してはいけない。ブレイディに対しては体を張ってプレッシャーをかけること。簡単に聞こえるけどね」と最後は笑いながら語ってくれた。

ペイトリオッツ戦では100を越えるスナップをこなしてきたと見積もるアレキサンダー。オフェンシブタックル(OT)に対して無駄のない動きを見せ、ブレイディを1度や2度地面に押し倒すことができたのであれば、それは成功と言えるのではないだろうか。

プレーオフでブレイディが敗戦を喫したのは9度(24勝)。その試合の中でもプレッシャーは一定の効力を発揮している。プレーオフで敗戦した試合では、勝利を収めた試合より1試合平均2.4回、または、1フルサックを多く決められてきた。ブレイディの調子を狂わせるにはいかにサックできるかが勝負所となりそうだ。プレッシャーをかけ、機動力を低下させて感情を掻き立てることでミスを誘う方法。ちなみに言うと、これはただのあら探しだ。ブレイディが史上最高のQBであることには間違いない。

ブレイディのプレーオフでの敗戦を見れば、パス成功率は64.3%から58.1%に低下している。タッチダウン/インターセプト比も49‐18から12‐12へと低下し、パサーレーティングは95.4から74.2となっている。

アレキサンダーは「少しでもブレイディに近づいて軽くヒットできれば、彼だって他のQB同様にイライラしてくるはずだ。ヒットされ、レフリーに対して不満をもらすだろう。やるべきことから集中力を削げればチャンスは生まれるかもしれない」と述べた。

同様に、アレキサンダーはディフェンシブライン(DL)のパスディフェンスが非常に重要になるとも言う。ペイトリオッツ戦でサックを決めるのは至難の業であるゆえ、サック同様に効果的な手段はスクリメージラインでボールを叩き落とすことだ。

サットンは「競争的な面から見て、もし評価を付けると言うなら感銘を受けずにはいられない。コーチとして勝つことがいかに難しいかを正しく認識する必要があるんだ。それだけだ。彼らが常に自分たちのスタイルを崩さないでいられるのは、やはりベリチックとその選手たちが本当に素晴らしいからなのだろう」と話している。

【対ファルコンズ】

驚くことに、ファルコンズに勝利を収めたチームの守備選手たちはワイドレシーバー(WR)のフリオ・ジョーンズやQBマット・ライアンに対するゲームプランには言及しなかった。

攻撃コーディネーター(OC)カイル・シャナハンによる戦術の秘密がまずは話題となるのだ。

タンパベイ・バッカニアーズのディフェンシブタックル(DT)ジェラルド・マッコイは「ランを止めさせて、攻撃パターンを単純化させる必要がある。マッティ・アイス(マット・ライアンのニックネーム)はマッティ・アイスさ。だが、投げるところがなくなって、彼が自分でいかなければならない時がチャンスだ。マットがランもパスも選択肢として使える状態は一番やっかいだ」と述べた。

「彼らにパスしか選択肢がないなら、プレーブックでその対策はできる」

これが今シーズンの開幕戦でファルコンズに勝利を収めたマッコイの見解だ。バッカニアーズはライアンに対して強烈なブリッツを仕掛けたが、DTやディフェンシブエンド(DE)にはさほどのプレッシャーはかけなかった。単純にマッチアップに勝てればいいという思いだけで、個人の離れ技などを必要としたわけではなかった。マッコイは「1対1に勝つんだ。俺たちはランを止めた。それしかやってないんだ。でもそうしたら試合の流れは変わった」と明かしている。

今シーズンのファルコンズがランで最も低い成績を残した3試合は52ヤードのバッカニアーズ戦、52ヤードのシアトル・シーホークス戦、48ヤードのフィラデルフィア・イーグルス戦。ファルコンズが黒星を喫した5試合中の3試合に当たる。ファルコンズが100ヤード以上をマークして敗戦したのは2度だけだ。

『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、先シーズンからファルコンズのキャリー数は1しか増えていない(420から421)。しかし、今シーズンは1試合平均で20.5以上のヤード数を伸ばし、1キャリーにつき約1ヤード、タッチダウン数は7つも多く記録した。

ランニングバック(RB)デボンタ・フリーマンは2015年以来で2,222ヤードを走り、この期間ではNFL1位の記録を持っている。フリーマンがスクリメージから120ヤード以上を稼いだ試合のファルコンズは5勝無敗。だが、ここでフリオ・ジョーンズも気にかけたい。NFLでベストとも称されるWRは無数のルートを駆使して縦横無尽に走り回ることができる選手。ファルコンズWRのモハメド・サヌー、テイラー・ガブリエルもジョーンズを称賛している。

サンディエゴ・チャージャーズのコーナーバック(CB)ケイシー・ヘイワードは「毎回ダブルチームを組む必要はないが、そうすることが必要な時もある。WRとして瞬発力がすごいから、数人でかからないといけないんだ。バックフィールドの彼らは強敵だね」とコメント。

ブロンコスのクリスはサヌーがカギとなる選手だと加えて語った。サヌーの頑張り次第で、ジョーンズからディフェンスの枚数が減るのだという。パッカーズ戦ではサヌーにダブルチームが付いた。チームがグリーンベイ・パッカーズに勝利した後、ジョーンズが『NFL Network(NFLネットワーク)』のディオン・サンダースに対してそう明かしている。この試合のある時点でパッカーズはサヌーに対してダブルチームを組み、ジョーンズには1枚のカバーだけが残されたのだ。

ハリスは「ファルコンズと対戦した時、カバー1、カバー2とたくさんの選手を使った。でも、フリオがどう動くのかは本当に分からない。セーフティの助けも借りる必要があるんだ。サヌーにダブルチームというのは論外。あり得ない」と語ると、続けて「基本的にうちよりもディフェンス陣の層が薄いチームがほとんどだ。ファルコンズ相手にゲームプランを考えるのはつらい作業になる。サヌーに2枚付けないのは確かだけれど」と発言。

これらの話を聞く限り、スーパーボウルという舞台では最高のショーが繰り広げられそうだ。パッカーズの守備陣は圧倒的攻撃力の前に崩壊させられ、ピッツバーグ・スティーラーズはソフトカバレージの策を講じるも絶対的エースQBの間にその効果は生まれなかった。

Aギャップブリッツでセンターをかく乱しようとしたヒューストン・テキサンズや、ジョーンズに対する執拗なマークで攻めたシーホークス。この双方が失敗に終わっている。

それもそのはずだ。だからこそ、このペイトリオッツとファルコンズの2チームが頂上決戦まで生き残っているのだ。

【対ペイトリオッツ】

ニューヨーク・ジェッツでラインバッカー(LB)コーチ(2000年から2005年)、守備コーディネーター(DC/2006年から2008年)、シニアディフェンシブアシスタント(2009年から2011年)、アシスタントHC(2012年)を務め、2013年からカンザスシティチーフスに移って、現在は守備コーディネーター(DC)のボブ・サットン。ここ20年間でペイトリオッツに対抗する手段は存在したか、あるいは、多少なりとも常に効果的な方法はあったかという質問に対し、サットンは「いや、ない」と答えている。続けて、「本当に競争的になる必要がある。とてもタイトなカバレージが必要なんだ。彼らには良い選手もそろっていて、いつも良いプレーを生み出している。しかし、みんな忘れがちなのは彼らのプレー実行能力の高さだと思う。彼らの実行力には目を見張るものがある。チームの厳しい規律や練習を通して磨かれたものなのだろう。少なくとも、コーチとしてそういったチームにまでレベルを育て上げたいと思っている」と語った。

サットンが言及した“厳しいカバレージ”という言葉は、今シーズンにペイトリオッツと対戦した数々のディフェンシブバックの選手たちの共感を得た。ブレイディの動きは素早く、3秒以内でボールが動かされてしまうのを想像してほしい。結局、ディフェンシブバック(DB)の選手がディフェンスのファーストラインでどのように対策するかが重要になる。

デンバー・ブロンコスのコーナーバック(CB)クリス・ハリスは「エッジでやわなプレーはできない。ピッツバーグはそうだった。ペイトリオッツのレシーバーのランは激しい。だが、それでもやはり手を離してはいけない。ブレイディに対しては体を張ってプレッシャーをかけること。簡単に聞こえるけどね」と最後は笑いながら語ってくれた。

ペイトリオッツ戦では100を越えるスナップをこなしてきたと見積もるアレキサンダー。オフェンシブタックル(OT)に対して無駄のない動きを見せ、ブレイディを1度や2度地面に押し倒すことができたのであれば、それは成功と言えるのではないだろうか。

プレーオフでブレイディが敗戦を喫したのは9度(24勝)。その試合の中でもプレッシャーは一定の効力を発揮している。プレーオフで敗戦した試合では、勝利を収めた試合より1試合平均2.4回、または、1フルサックを多く決められてきた。ブレイディの調子を狂わせるにはいかにサックできるかが勝負所となりそうだ。プレッシャーをかけ、機動力を低下させて感情を掻き立てることでミスを誘う方法。ちなみに言うと、これはただのあら探しだ。ブレイディが史上最高のQBであることには間違いない。

ブレイディのプレーオフでの敗戦を見れば、パス成功率は64.3%から58.1%に低下している。タッチダウン/インターセプト比も49‐18から12‐12へと低下し、パサーレーティングは95.4から74.2となっている。

アレキサンダーは「少しでもブレイディに近づいて軽くヒットできれば、彼だって他のQB同様にイライラしてくるはずだ。ヒットされ、レフリーに対して不満をもらすだろう。やるべきことから集中力を削げればチャンスは生まれるかもしれない」と述べた。

同様に、アレキサンダーはディフェンシブライン(DL)のパスディフェンスが非常に重要になるとも言う。ペイトリオッツ戦でサックを決めるのは至難の業であるゆえ、サック同様に効果的な手段はスクリメージラインでボールを叩き落とすことだ。

サットンは「競争的な面から見て、もし評価を付けると言うなら感銘を受けずにはいられない。コーチとして勝つことがいかに難しいかを正しく認識する必要があるんだ。それだけだ。彼らが常に自分たちのスタイルを崩さないでいられるのは、やはりベリチックとその選手たちが本当に素晴らしいからなのだろう」と話している。

【対ファルコンズ】

驚くことに、ファルコンズに勝利を収めたチームの守備選手たちはワイドレシーバー(WR)のフリオ・ジョーンズやQBマット・ライアンに対するゲームプランには言及しなかった。

攻撃コーディネーター(OC)カイル・シャナハンによる戦術の秘密がまずは話題となるのだ。

タンパベイ・バッカニアーズのディフェンシブタックル(DT)ジェラルド・マッコイは「ランを止めさせて、攻撃パターンを単純化させる必要がある。マッティ・アイス(マット・ライアンのニックネーム)はマッティ・アイスさ。だが、投げるところがなくなって、彼が自分でいかなければならない時がチャンスだ。マットがランもパスも選択肢として使える状態は一番やっかいだ」と述べた。

「彼らにパスしか選択肢がないなら、プレーブックでその対策はできる」

これが今シーズンの開幕戦でファルコンズに勝利を収めたマッコイの見解だ。バッカニアーズはライアンに対して強烈なブリッツを仕掛けたが、DTやディフェンシブエンド(DE)にはさほどのプレッシャーはかけなかった。単純にマッチアップに勝てればいいという思いだけで、個人の離れ技などを必要としたわけではなかった。マッコイは「1対1に勝つんだ。俺たちはランを止めた。それしかやってないんだ。でもそうしたら試合の流れは変わった」と明かしている。

今シーズンのファルコンズがランで最も低い成績を残した3試合は52ヤードのバッカニアーズ戦、52ヤードのシアトル・シーホークス戦、48ヤードのフィラデルフィア・イーグルス戦。ファルコンズが黒星を喫した5試合中の3試合に当たる。ファルコンズが100ヤード以上をマークして敗戦したのは2度だけだ。

『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、先シーズンからファルコンズのキャリー数は1しか増えていない(420から421)。しかし、今シーズンは1試合平均で20.5以上のヤード数を伸ばし、1キャリーにつき約1ヤード、タッチダウン数は7つも多く記録した。

ランニングバック(RB)デボンタ・フリーマンは2015年以来で2,222ヤードを走り、この期間ではNFL1位の記録を持っている。フリーマンがスクリメージから120ヤード以上を稼いだ試合のファルコンズは5勝無敗。だが、ここでフリオ・ジョーンズも気にかけたい。NFLでベストとも称されるWRは無数のルートを駆使して縦横無尽に走り回ることができる選手。ファルコンズWRのモハメド・サヌー、テイラー・ガブリエルもジョーンズを称賛している。

サンディエゴ・チャージャーズのコーナーバック(CB)ケイシー・ヘイワードは「毎回ダブルチームを組む必要はないが、そうすることが必要な時もある。WRとして瞬発力がすごいから、数人でかからないといけないんだ。バックフィールドの彼らは強敵だね」とコメント。

ブロンコスのクリスはサヌーがカギとなる選手だと加えて語った。サヌーの頑張り次第で、ジョーンズからディフェンスの枚数が減るのだという。パッカーズ戦ではサヌーにダブルチームが付いた。チームがグリーンベイ・パッカーズに勝利した後、ジョーンズが『NFL Network(NFLネットワーク)』のディオン・サンダースに対してそう明かしている。この試合のある時点でパッカーズはサヌーに対してダブルチームを組み、ジョーンズには1枚のカバーだけが残されたのだ。

ハリスは「ファルコンズと対戦した時、カバー1、カバー2とたくさんの選手を使った。でも、フリオがどう動くのかは本当に分からない。セーフティの助けも借りる必要があるんだ。サヌーにダブルチームというのは論外。あり得ない」と語ると、続けて「基本的にうちよりもディフェンス陣の層が薄いチームがほとんどだ。ファルコンズ相手にゲームプランを考えるのはつらい作業になる。サヌーに2枚付けないのは確かだけれど」と発言。

これらの話を聞く限り、スーパーボウルという舞台では最高のショーが繰り広げられそうだ。パッカーズの守備陣は圧倒的攻撃力の前に崩壊させられ、ピッツバーグ・スティーラーズはソフトカバレージの策を講じるも絶対的エースQBの間にその効果は生まれなかった。

Aギャップブリッツでセンターをかく乱しようとしたヒューストン・テキサンズや、ジョーンズに対する執拗なマークで攻めたシーホークス。この双方が失敗に終わっている。

それもそのはずだ。だからこそ、このペイトリオッツとファルコンズの2チームが頂上決戦まで生き残っているのだ。