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49ersのモーションを警戒するチーフスD陣

2020年01月31日(金) 01:11

カンザスシティ・チーフスのフランク・クラーク【AP Photo/Jeff Roberson】

カイル・シャナハンのオフェンスは黒曜石の刃のように深く切りつけ、ディフェンスを引き裂く穴を開ける。サンフランシスコ・49ersのヘッドコーチ(HC)は傷が癒える暇を与えず、繰り返し敵を打ち付けて、相手が力尽きるまで攻撃を続ける。

49ersはNFCチャンピオンシップゲームでパスアテンプトを8回しかせず、42回のラッシングアテンプトで285ヤードを稼いでグリーンベイ・パッカーズを下したことが話題となった。2つのプレーオフ戦で49ersは1試合平均235.5ラッシュヤードを獲得している。これはスーパーボウルが開催されるようになってから1つのポストシーズン(最低2ゲーム)で出された最多の数字だ。ジミー・ガロポロはその2ゲームで27回しかボールを投げておらず、スーパーボウル出場チームのポストシーズンでこれは史上4番目に少ない。

パッカーズに対して、49ersはまるでピットブルが枕を破壊するかのようにたやすく相手を滅ぼした。そしてカンザスシティ・チーフスとの第54回スーパーボウル対決へと駒を進めた。

チーフスにとって最大の課題はシャナハンの繰り出す強力なランゲームを足止めすることだ。

ディフェンダーたちはこの1週間、49ersの精巧なスナップ前のモーションにひっかかってはいけないと言い続けている。

「集中が必要だ。見かけにだまされちゃいけない」とディフェンシブエンド(DE)のフランク・クラークは述べた。「時々あの動きに気を取られちまうんだ。ああいうチームを相手にする時は、視野を最小限に抑えなきゃならない」

シャナハンは毎年シフト/モーションの使用率を上げてきた。2019年中、少なくとも1人にモーションをさせた確率は、『Pro Football Focus(プロ・フットボール・フォーカス)』によると78.6%に上っているという。モーションは彼らのランゲームに不可欠だ。モーションを使ったランで49ersは1ラッシュ平均5.3ヤードを生み出しているが、モーションなしの場合はわずか3.4に低下する。

チーフスは今シーズンこれに手を焼いてきた。モーションプレーを使われると、彼らは1ラッシュ平均5.2ヤードを相手に与えてしまっている。

「ああいうオペレーションをするチームがいくつかいて、中でも彼らはそれを一番うまくやってのけるチームなんだ」とクラークは述べた。「ボルティモアとか、先週俺たちがプレーしたテネシー、そして彼ら。他にカンファレンス外だとラムズはモーションの類を多く使う。彼らのスナップ前のモーション率は85%以上かな。今度の相手は90%ぐらい使ってくる。タイトエンド(TE)でさえ動かしたりするし、ワイドレシーバー(WR)が横切ったりもする。でも、それには全部決まりがあるんだ。モーションが最終的にどこで終わり、フルバック(FB)がどこへ行くか分かっていて、どのランニングバック(RB)が使われるのか分かっていれば、どんなプレーが来るのか理解できるはずだ」

モーションはディフェンスの注意をそらすだけではない。シャナハンのオフェンスはチーフスのセーフティ(S)タイラン・マシューのような知的なディフェンダーをも悩ませる。

「あれは最高にストレスフルだ。俺みたいにフォーメーションを特定し、そのキーに基づいて狙いを定めるのが好きなタイプにとっては特にそうだ。あれはタフだよ」とマシューは述べた。「だからこそやっているんだろうな。カイル・シャナハン――彼はうまいことやっているよ。めちゃくちゃスマートだ。フットボールコーチに育てられたのが分かる。ディフェンスのレバレッジを取るのがうまい。一番難しいのは、彼らと対戦している時にコンスタントなコミュニケーションが必要になることだ。あまりに多くの人が行ったり来たりして、そういうのが全部彼らのアドバンテージになる。すごいスピードを持ったチームだから、必要なのはたった1つの穴、小さな破れ目さえあればいいんだ。効果的なプレーだよ」

『NFL.com』に対し、チーフスの全ディフェンダーが今週、モーションに惑わされず、ギャップを保つ重要性を口にしている。

「あれをやられると自分たちの配列をもう一度確認しなきゃならなくなる」とラインバッカー(LB)のアンソニー・ヒッチンズは言う。「彼らは人を動かすことで間違ったスポットに目を向けさせるんだ。中にはただのブラフなこともある。一方からもう一方へ視線を移動させるのが目的なんだ。(自分たちは)チームボールをするしかない。複数の選手をボールに割り当てる。みんながそれぞれの責任を果たし、役目を引き受けているんだ。それがフットボールだよ。だから、俺たちはエッジを決めて、他のやつらはインサイドアウトに走ってタックルしなきゃならない。彼らはミスリードさせるためにいろいろ仕掛けてくる。でも、俺たちは永遠にも思える時間を掛けて準備してきたんだから、用意はできたはずだ」

迷った時はフルバック(FB)のカイル・ユーズチェックを追えばいいとヒッチンズは述べた。

「たいていは44番がボールまで連れていってくれる。だから迷ったら44番を探せ」

シャナハンのシステムの素晴らしさは、ユーズチェックのような駒を動かす時に一工夫を加え、FBをおとりに使ってディフェンスの頭をかき回すことだ。

「俺たちにはいくつか弱点があった。トスプレーには何度もやられたよ」とヒッチンズはシーズンを通したディフェンスの課題について語った。「選手たちが弱点を知っているのはいいことだ。そうすると予想ができる。トスプレーと、エッジラン、バックへの配置、スワップ、シールプレーといった序盤のペリメータープレーだ。でも俺たちはこの1年、徐々に修正できてきたと思うから、それを続けていくだけさ」

49ersがフォーメーション全体で多面的な展開をしてくることもチーフスの仕事を難しくする。

「ハドルをブレークしたからといって、それが最終的なフォーメーションじゃない」とマシューは述べた。「彼らは一度のフォーメーションでモーションを2、3回やることもある。入れ替えられる選手がたくさんいるんだ。ディーボ・サミュエルは外でも中でもプレーできる。エマニュエル・サンダースも同様だ。FBでも、スロットに並んでも、TEでもプレーできる。(TEのジョージ)キトルもそうだ。彼らはショーウインドーを派手に飾る。勢いに乗っているよ」

最大のステージでその流れを食い止め、強力なランゲームを停止させることがマシューと仲間たちの仕事だ。そのためにはシャナハンのブラフに惑わされるわけにはいかない。


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