運命を分けた決断を振り返る49ersシャナハンHC
2020年02月04日(火) 01:21ヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンはまたも勝利の美酒を味わうことなくスーパーボウルの舞台を後にする。
今回の苦味は長く消えないかもしれない。
シャナハン率いるチームはNFLで最大の試合において、再び第4クオーターで逆転されている。この試合にはもう一方の道を選んでいれば展開が違ったのではないかと思わせるキーシークエンスが2つあった。一つ目は前半終了間際のことだ。シャナハンHCはサンフランシスコ・49ersのオフェンス陣がハーフタイム前に再び得点する機会を与えるためにタイムアウトをコールするかどうかという場面で、しないことを選んでいる。
これはアグレッシブにいかないという問題ではなく、相手サイドラインが擁する火力を警戒してのことだったとシャナハンHCは説明した。
「彼らには3度のタイムアウトがあり、10対10だった。われわれが最もしたくなかったのが、3つのタイムアウトを残した状態で彼らにボールが渡ることだった。特に、彼らのクオーターバック(QB)や攻撃陣のスピードをもってハーフ前に得点されることを考えるとね。われわれがボールをもってスタートするのだから、10対10はかなり良いと感じた。問題なく展開してきてポイントが取れると考えていたが、彼らは(タイトエンド/TEのジョージ)キトルにパスインターフェアをコールした。それでチャンスは奪われてしまった」
シャナハンHCが言及しているのは43ヤードのパスコンプリートが取り消されたコールのことだ。これが成功していれば49ersは残り14秒でカンザスシティ・チーフスの13ヤードラインから絶好の得点チャンスを得られるはずだった。その爆発的なプレーがなかったことになり、シャナハンHCは同点でハーフタイムを迎えて後半のキックをリターンするのが良いと考えた。
シャナハンHCの言う通り、その作戦はうまくいったように見えた。49ersは後半のオープニングドライブでフィールドゴールを決め、13対10でリードしたのだ。しかし、チーフスのクオーターバック(QB)パトリック・マホームズが劇的な復調を遂げたときに、ポイント獲得の機会を逃したことが不吉な影となって49ersの前に立ち現れる。それでもリードを保つチャンスはあった。たとえ点差が10から3に縮まろうと、とにかくいくつかのファーストダウンを獲得していけば良かったのだ。
もちろん、言うは行うより易しだ。とは言え、プレッシャーが募る状況で、HCが考えすぎに陥ってしまったのではないかと考える者もいるだろう。チーフスは急速に勢いを取り戻して、再びポストシーズンでの2ケタ差逆転を狙っていた。シャナハンHCは予想された通りファーストダウンでランニングバック(RB)ラヒーム・モスタートを用い、一瞬は大きなゲインにつながるかと思われたものの、5ヤードの獲得にとどまっている。
それが、49ersがリードを保っている間に最後に獲得したヤードだった。
QBジミー・ガロポロのセカンドダウンのパスアテンプトはスクリメージラインでディフェンシブタックル(DT)クリス・ジョーンズにはばまれた。サードダウンで放ったパスはワイドレシーバー(WR)ケンドリック・ボーンをそれている。シャナハンHCはポゼッションを維持するため、49ersをこの舞台まで連れてきた、そして、このドライブの最初に5ヤードを進めたランゲームではなく、アグレッシブにパスを使ってきた。49ersはゲーム時間にして1分も費やさなかった。
「3点差をつけていて時間がたくさん残っているとき、当時は特にタイムアウトがあったので、時計は問題ではなかった。大事なのはチェーンを動かすことだ。チェーンを動かせば時計のねじが回る」とシャナハンHCはコメントしている。
シャナハンHCがアトランタ・ファルコンズで攻撃コーディネーター(OC)を務めていたときの第51回スーパーボウルでは、ニューイングランド・ペイトリオッツがスーパーボウル史上、最大の得点差(25点)をひっくり返して勝利した。今週、シャナハンHCはその時の敗北にどれほどさいなまれたかを語っており、もしかしたらそのリアクションとしてアグレッシブに行くことを決めたのかもしれない。
ともあれ、シャナハンHCの決断によって選手たちからの信頼が失われることはなかった。タッチダウン1回を決めたフルバック(FB)カイル・ユーズチェックはスーパーボウルまでチームを導いたコーチに大きな賛辞を贈った。また。ルーキーレシーバーのディーボ・サミュエルは敗北の直後にコーチへの信頼をこう述べている。
「俺は彼が俺たちを信じてくれているのと同じくらい、カイルを信じている。彼が俺たちをここに連れてきたんだし、俺たちはこれからも彼の道に従う」
最終的に、49ersは必要としていたファーストダウンを獲得することができなかった。今、チームは心痛む敗戦の記録以外に何も手にすることなくベイエリアへの帰途につく。
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