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“実質的に禁じられた”RBクックのホールドアウト

2020年06月10日(水) 10:14


ミネソタ・バイキングスのダルビン・クック【AP Photo/Bruce Kluckhohn】

3月に新しい団体労働協約(CBA)が合意に至った際、ストライキの回避や労働協約が2020年代も続くことに各サイドから称賛の声が上がった。

そのときにそれほどハイライトされていなかったのは、スター選手の自らの新契約に対する影響力に関係する変化だった。

ミネソタ・バイキングスのランニングバック(RB)であるダルビン・クックも、そういった選手の一人だ。クックは契約年を迎え、現在のチームにとどまりたいとの意向を示すと同時に、現行契約の最終年が始まる前に新しい契約をまとめることを望んでいる。そういった結果を目指してクックの代理人とバイキングスとの話し合いが行われたものの、これは失敗に終わり、受け入れられるオファーがあるまでクックがトレーニングキャンプのホールドアウトを検討するところまで来ていた。

こういった話は前にもあった。ちょうど昨年にもキャンプ期間中にRBエゼキエル・エリオットが多くの時間をダラス・カウボーイズとは別の場所で過ごし、新契約によってようやく2019年シーズン開始前に戻ってきたのだ。

だが、それは旧CBAでのことだ。『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロによれば、現在のCBAではホールドアウトが選手の無制限フリーエージェンシー(FA)に至る能力に直接的な影響を与えるため、結果としてその道を選ぶことを大幅に妨げているという。

ペリセロは現地9日(火)に『NFL NOW(NFLナウ)』で「新労働協約は事実上、クックのような立場にある選手が実際にホールドアウトすることを禁じている」と説明した。

「仮にダルビン・クックが来月、参加義務のある報告日にチームメイトと共に現れなければ、もしくは、それ以降のどこかの時点でそうすれば、彼は契約の期間を満たしていないことになり、次の年の3月に非制限FAになるための4シーズン目が成立しない。クックは制限付きFAになり、バイキングスは約2倍にもなるフランチャイズタグをつける代わりに、400万ドルから500万ドル(約4億3,000万円から5億4,000万円)の1巡目テンダーで彼を確保できる」

ペリセロは両サイドが契約完了に楽観的な見通しを持っている様子だと伝えている。それも筋の通った話だ。たとえFAとなったとしても、キャンプに参加しないことで非制限FAになるのであれば完全に自由な状態ではなく、クックは何百万ドルをも失うことになるのだから。

それでも、今のところホールドアウトはクックに残されている最も強いカードだ。しかし、クックが重要なプレーヤーであることを承知する一方で、ホールドアウトに駆り立てる動機が以前ほどではないことを知るバイキングスは、簡単にそれを交わすことができるだろう。ホールドアウトにはもう、そうするほどの価値はないのかもしれない。

新CBAはNFLの若手たちが最大の支払いに向けてテコ入れしようとする力を削ろうとする選手連盟とリーグによる最新の合意に過ぎない。2011年のCBAでは各ドラフトピックのサラリーを指名順によってあらかじめ決定するスロット制が設けられ、サラリーが目的のホールドアウトを実質的に終わらせた。今日の問題はお金そのものではなく、契約のオフセット条項だ。

2020年のCBAはまだ施行されて数カ月であり、新たなポリシーが直接的にビジネスに影響するのが形として見えてきたのはこれが初めてだ。このことがクックの新契約を通常より早く完了させるかはこれから分かってくるだろう。

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