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ワシントンでの機会は今までで「最高の状況」とQBフィッツパトリック

2021年07月20日(火) 13:44

ワシントン・フットボール・チームのライアン・フィッツパトリック【AP Photo/Luis M. Alvarez】

2000年代後半の平均的なNFLファンに、2005年のドラフト全体250位で指名されたライアン・フィッツパトリックが2021年にも先発クオーターバック(QB)としてNFLで活躍しているだろうと言ったら、当然ながら懐疑的な態度を取られたことだろう。

そんなことを言えば部屋から追い出されていたかもしれないが、タイムマシーンに乗れれば何も恐れることはない。なぜなら、フィッツパトリックは実際に2021年にNFLで先発として活躍しており、彼はワシントン・フットボール・チームでのポジションがここ数年で最も有望だと考えているからだ。

フィッツパトリックは『ESPN Daily podcast(ESPNデイリー・ポッドキャスト)』に出演した際、次のように話している。

「これは俺がこれまでに経験した中で最高の状況だ。先発としても俺がこれまでに入ったチームの中で一番だ。ヒューストン・テキサンズでも、マイアミ・ドルフィンズでも先発として契約していたから、これで3つ目のチームで先発として契約を結んだことになる。この4年間の自分のプレーの仕方やキャリアの進み方を考えると、17年間もNFLにいて肉体的にはいい感じだし、精神的にも感情的にもいるべきところにいる気がしている。それがなんだか腑に落ちないくらいだ。今年は成功するための準備ができているからすごく楽しみにしている」

ヘッドコーチ(HC)ロン・リベラが率いるチームというのは選手にポジティブな影響を及ぼす傾向があるようだ。特にフィッツパトリックのように現在9つ目のチームに所属していて、これまでに苦戦したチームを数多く経験してきた選手にとっては。

フィッツパトリックは「キャリアの中でもう一つの大きな転換点は2016年にニューヨーク・ジェッツで過ごした1年だ。あれは悲惨だった。人生で初めてフットボールが嫌いになってもうプレーしたくないと思った」と振り返る。「それ以来、いつキャリアが終わってもおかしくないと思ってプレーしてきたんだ。この4年間は本当に楽しむことができたと思っている。フィールド上での俺の姿や、ちょっとしたふざけた事やインタビューとかで周りの人にもそれが伝わっているといいんだけど。この4年間で俺は自分の個性を発揮できたと思っているよ」

昨シーズン、NFL最悪のディビジョンで予想外に王座を獲得したワシントンが、オフシーズンにロースターを改善したことを考えると、チームが楽観的になる理由はいくらでもある。まるで上質なワインのように熟成していると感じているフィッツパトリックもまた、同じように勇気づけられているのだろう。

本人が言ったように、フィッツパトリックのキャリアの展開はつじつまが合わないような気もする。フィッツパトリックは38歳だが、NFLでの長いキャリアから得た経験と、身体能力の維持(向上とまではいかなくても)により、新たな機会を得ることができたようだ。そして昨シーズンは、シーズン途中で後継者に先発を奪われてベンチ入りしたからといって、永久にサイドラインにいるわけではないことを自ら証明した。

2020年にドルフィンズが急きょ彼を投入したことが何よりの証拠と言える。フィッツパトリックがユーモアを交えて指摘するように、彼は氷漬けにされたわけではなく、充電していただけなのだ。

「休んでいたんだ。寒くなかったし。新鮮だった」とフィッツパトリックは2020年の代役としてのパフォーマンスについて聞かれたときに、その年季のはいった腕について語った。「デンバー・ブロンコスとの試合に出場した後にラスベガス・レイダース戦にも出たけど、その間も体調は良く、腕を休められたから準備は万端だった。どちらの試合でも、特にレイダースとの試合では、5年後でもスタンドから出てきてNFLの試合に出場し、成功できることを自分自身に証明することができた。それが去年の俺の収穫だ」

5年後でも、5週間後でも、5カ月後でも、フィッツパトリックはいつでも出動できる。ワシントンは2021年に向けて彼がオフェンスの司令塔であることに満足しており、チームは2020年の成果をさらに発展させるシーズンにしたいと考えている。新人のディフェンシブエンド(DE)チェイス・ヤングが昨季の試合後にQBテイラー・ハイニケのジャージの名前を指さして強調したように、ワシントンのプレーオフ進出はハイニケの活躍によるところが大きかった。だが、2021年にワシントンのファンが希望を託すのはフィッツパトリックだろう。彼がこのチームに来るまでに見せた活躍と同じくらいの結果が残せれば、ワシントンのサポーターたちはこの秋、彼が自分たちのチームにいることを喜んでくれるだろう。

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