負傷したマホームズに代わってTDドライブをリードしたチーフスQBヘニー、「常に準備はできている」
2023年01月23日(月) 13:00現地21日(土)にジャクソンビル・ジャガーズに勝利したディビジョナルラウンドで、カンザスシティ・チーフスのクオーターバック(QB)チャド・ヘニーがリリーフとして出場したことは、カンザスシティにとって不安な状況を一瞬にして素晴らしいものに変えた。
QBパトリック・マホームズが第1クオーター終盤に見舞われた右足首のケガに対処するためにロッカールームへ戻った後、好調なチーフスオフェンスの指揮を任されても決して動じなかったヘニーは、チームのスタークオーターバックが指揮を執っていたときと同じくらいスムーズにタッチダウンドライブを演出して見せた。
「自転車に乗るのと同じかどうかは分からないけど、常に準備はできているものなのさ」と37歳のバックアップは語っている。「自分たちの武器がすべてそろったこのオフェンスと共に、どの瞬間も準備が整った状態でいる。ただ準備を整えておくだけだ。自分の番号が呼ばれたら、練習やミーティングルームでやってきたことを試合に出て発揮するだけさ」
ヘニーは最も理想的なタイミングで出場したわけでもなかった。ジャガーズがパントした後、チーフスは自陣2ヤードラインから攻撃を開始することになり、ヘニーはこの試合で最初に参加したスナップでセーフティの領域にいたのだ。それでもチーフスは第1ダウンでパスプレーを実行するのをやめなかった。それはヘニーへの信頼の表明につながっただけではなく、彼が早い段階でリズムをつかむきっかけにもなっている。
最初のパスをタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーに通したヘニーは、合計12回のプレーで98ヤードを稼ぐスコアリングドライブを演出。これにより、チーフスは点差を10ポイントに広げた。
ケルシーは「チャドはずっと、彼がなりうる限り最高のクオーターバックでしかない。つまり、彼は毎日、先発クオーターバックであるかのように――すぐにスナップを控えているかのように――準備しているということだ。案の定、今日もそうだったよな」と話している。
そのドライブ中、ヘニーの努力を支えたのはオフェンシブラインマン(OL)たちのプレーだった。新人ランニングバック(RB)アイゼア・パチェコは彼らの素晴らしいブロッキングを活用して8ヤード、7ヤード、39ヤードのランに成功。39ヤードのランは後を追ってきたディフェンダーを振り切って決めたものだった。一方のヘニーはショートパスの場面でジャガーズを翻弄し、パス7回中5回を成功させて23ヤードを記録。ケルシーに1ヤードのタッチダウンパスを通してドライブを締めくくっている。
「仲間の目を見て、自分たちがやっているオフェンスにあるワードの実例を示し、彼らの注意を引いて彼らが俺を信じてくれているのと同じくらい俺も彼らを信じていることを認識することだと思う」と語ったヘニーはこう続けている。「だから、自分が何をやっているかを分かっていて、これがワンマンショーではないことも分かっているのだという自信を彼らに与えたいと思っている。うちのオフェンス陣には素晴らしい選手がたくさんいて、今夜は俺の仕事を大いに助けてくれた」
マホームズが後半から復帰を果たしたため、ヘニーの出番はそこで終了した。チーフスが27対20で勝利したということは、ヘニーが導いたタッチダウンドライブが勝負の分かれ目になったと言える。もちろん、マホームズのケガが原因でヘニーがプレーオフの試合に出場したのは今回が初めてではなく、2年前に臨んだディビジョナルラウンドのクリーブランド・ブラウンズ戦でもチーフスのリードを維持することを任されていた。このとき、ヘニーが後半に素晴らしいプレーを見せたことで、スーパーボウル制覇に向けた道のりの中での初勝利が確定している。
土曜日に見せた印象的なタッチダウンドライブは、プレッシャーが強くかかる状況下でヘニーが発揮する能力をよく知っているチーフスチームの残存効果だったのかもしれない。また、ここ数年にカンザスシティで行われているチームビルディングの一例でもあると言えよう。そうした中でチーフスは現地29日(日)にAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームに5年連続で出場しようとしている。
マホームズは「チームはチャドを強く信じている」と強調し、次のように続けた。「彼は前にもそれをやってのけた。彼はディビジョナルゲームに途中から出場してプレーし、勝利したことがある。あの98ヤードのドライブを見ただろう。彼はオフェンスを決められた通りのやり方で動かした。彼は適切な選手にボールを投げて、みんなはステップアップしてプレーした」
「それはまさに素晴らしいチームのすることだ。1人のことを言っているんじゃない。チーム全体としての話だ」
【RA】