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NFLとNFLPAがCBDを含む革新的な疼痛管理法の研究に約7,500万円を追加出資

2023年06月23日(金) 13:40

NFLロゴ【NFL】

現地22日(木)、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)とNFL選手会(NFLPA)が米国疼痛神経科学学会(ASPN)およびエモリー大学の独立した医学研究者に、総額52万6,525ドル(約7,533万円)の研究助成金を共同で授与すると発表した。この助成金は、NFLの選手や社会全体に利益をもたらす可能性のある、これまでにない革新的な代替疼痛管理法の研究に充てられる。この研究で、ASPNはカンナビジオール(CBD)と非侵襲的迷走神経刺激(nVNS)による脳しんとう症状の緩和効果を、エモリー大学はスポーツ医学的損傷におけるマインドフルネスに基づく介入を調べる予定だ。

NFL選手のための代替疼痛管理治療の可能性をよりよく理解し、改善するための研究を促進することを目的としている、NFLとNFLPAの合同疼痛管理委員会(PMC)が助成金を授与するのは今回で2度目だ。昨年は、カリフォルニア大学サンディエゴ校とレジーナ大学の研究者に、一般的な痛みの回復に対するカンナビノイドの効果と、処方薬の使用量を減らす可能性のある神経保護法の効果に焦点を当てた研究のために、100万ドル(約1億4,308万円)の資金がNFLから授与された。

今回のNFLとNFLPAの共同出資の当選案は以下の通りだ。

1.米国疼痛神経科学学会(ASPN)のエリカ・ピーターセン博士と研究者らが主導する“難治性脳しんとう後頭痛の非侵襲的治療を評価するパイロット研究”。外傷後頭痛(PTH)は、脳しんとうやその他の外傷性脳損傷による最も一般的な後遺症の1つだ。PTHは治療法が乏しく、衰弱させる力が強い頭痛疾患であり、薬物療法やその他の治療法はあまり有効ではない。毎年400万人近くのアメリカ人が脳しんとうと診断されていることを考えると、PTHは公共の重大な関心事と考えられるべきだ。カンナビノイドや、非侵襲的迷走神経刺激(nVNS)のような非薬物療法といった新しい治療法は、脳しんとうの炎症反応に対する効果において、オピオイドを用いた治療に代わる可能性があると見込まれている。この無作為化研究――この種では初めての研究――は、PTHを経験したコンタクトスポーツの選手を対象に、nVNSとカンナビジオール(CBD)を現在の標準治療と比較するものだ。この研究で収集されたパイロットデータは、外傷後頭痛患者の治療に関する今後の研究の指針となるだろう。(説明提供:ASPN)

2.エモリー大学のニコラス・ジョルダーノ博士とマーラ・シェンカー博士が主導する“術後の転帰を改善するための、スポーツ医学的損傷の患者に対する整形外科手術後の個別化された疼痛指導の実行とその効果の評価”。この臨床試験では、スポーツ医学的損傷を受けた患者に対して、整形外科手術前にマインドフルネスに基づいた介入を行うことが、患者が報告する疼痛転帰、オピオイドの使用量、客観的な機能的転帰に関連する術後の回復にどのような影響を及ぼすかが検討される。認定されたインストラクターは、マインドフルネスを日常生活にどのように取り入れるかについて、患者中心の多面的な個別指導を行う。その後、研究チームは、術後疼痛管理に関する標準治療の指示書と比較して、対面またはオンラインで行われる介入の有益性を検討する予定だ。Bluetooth対応機器とウェアラブル機器の組み合わせ、および患者報告による調査結果は、参加者1人につき術後3カ月にわたって収集される。マインドフルネス介入――現在の思考、感情、感覚、その他の内的または外的刺激を意図的に意識することを含む――は、穏やかな感覚を促進し、身体的および行動的転帰を改善することが判明している。(説明提供:エモリー大学)

NFLのチーフメディカルオフィサー(CMO/医務部長)であるアレン・シルズ医師は「NFLの選手たちが最善の治療を受けられるよう、私たちは常に新しい知識、技術、ツールを求めている」と述べ、こう続けた。「私たちは、CBDやその他の代替手段の使用が選手の疼痛管理にどのように前向きな影響を与えられるかを調べる研究を先導していることを誇りに思っている。私たちは選手の健康と安全という広い範囲において、自分たちが自由に使用できるすべての治療法が、より広く使用されるための適切な医療基準をクリアすることを確実にしたいと考えている」

NFLとNFLPAの疼痛管理委員会の共同委員長であるジェフリー・リンは「これらの研究への資金提供は、最終的にフィールド外のNFL選手に役立つ進歩につながるだろう」とコメント。「NFLPAにとって、選手の健康と安全は常に最優先事項であり、NFLとの合同疼痛管理委員会の活動は、この使命を果たすための重要な部分だ」

同じくNFLとNFLPAの疼痛管理委員会の共同委員長であるケビン・ヒルは「疼痛管理委員会はNFLとNFLPAが疼痛治療を改善するために複数の治療様式に関する厳密な研究に資金を提供することに感激している。これらの研究が、選手たちがプロフットボールにつきものだと言える痛みに対処する一助となることを望んでいる」と述べている。

ASPN副会長のダウッド・サイードは「ASPNは脳しんとうによる痛みに苦しむアスリートのためにより安全で効果的な治療法を模索する中で、NFLと提携できることをうれしく思っている。痛みと神経科学の研究を専門とする主要な医学会として、ASPNはこの重要なNFL助成金プログラムを通じて、世界トップクラスの臨床医と科学者を活用し、新たな治療法を導入する」と語った。

エモリー大学の助教であり、研究計画書で主任研究員となっているニコラス・ジョルダーノは「私たちのチームは、拡張可能で、オピオイドを節約できる可能性のある、患者中心の介入としてのマインドフルネスの有用性を厳密に評価する研究のために、資金を得られたことに興奮している」と話している。

グレイディ整形外科センターの医長およびエモリー大学の准教授であり、研究提案の共同リーダーを務めたマーラ・シェンカーは「この研究がNFLの選手やその他のアスリート、そしてスポーツ医学的損傷を受けたすべての人の術後予後の改善に役立つことを期待している」とつけ加えた。

今回のプログラムで資金提供される研究の結果は、代替的な疼痛管理戦略に役立つかもしれないが、現行のNFL-NFLPA団体労働協約(CBA)の下で実施され、共同管理されている薬物乱用に関する方針とプログラムに影響を与えることはない。NFL以外の一流プロアスリートは今回の資金で実施される研究に参加する。NFL選手の参加は認められていない。

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