コラム

NFL挑戦に向けて大きな一歩を踏み出した庄島辰尭(UCLA)

2018年04月16日(月) 10:58

UCLAの庄島辰尭(中央:58番)【Photo by - KIYOSHI MIO】
【文 三尾圭/Kiyoshi Mio】


この春にUCLAを卒業する庄島“ジオ”辰尭(しょうじま・たつあき/ジオは愛称)が、NFL挑戦に向けて大きな一歩を踏み出した。

UCLAでプレーしていたこの2年間は、「目の前のことに集中するだけです」とNFLの話題を避けてきた寡黙なサムライは、大学卒業を目の前に控えた今、初めてNFL挑戦の思いを打ち明けた。

UCLAではスコット・ケッセンベリーの控えセンターとしてプレー。このスコットはヒューストン・テキサンズのオフェンシブタックル(OT)デビッド・ケッセンベリーの弟である。NFL公式サイトのドラフト候補生評価で、スコットは「NFLで先発選手になれる可能性あり」との高い評価を得ている。

そんなカレッジフットボール界でトップレベルの実力を持つスコットがいたために、庄島のプレータイムは多くはなかった。UCLAでの2年間は主にスペシャルチームでプレーし、最終学年だった昨季は、スペシャルチームのキャプテンに選ばれている。

NFL入りを目指す大学生にとって人生を左右するのが、今年は4月26日(木)から28日(金)の3日間に渡ってテキサス州ダラス郊外にあるAT&Tスタジアム(ダラス・カウボーイズの本拠地)にて開催されるNFLドラフトだ。ドラフトでは7巡目までの指名に加えて、フリーエージェント(FA)で選手を失ったチームへの補償指名権が32個与えられるので、最大で256選手が指名を受けることになる。

日本のファンとしてみれば、庄島の名前が今年のドラフトで呼ばれて、日本人初のNFL選手が誕生して欲しいものだが、残念ながらその可能性は非常に低い。

とはいえ、ドラフトに呼ばれなかったからと言って悲観する必要はまったくない。なぜならばドラフトだけがNFLに入る道ではないからだ。

日本のプロ野球にもドラフト外で入団して1軍で活躍する選手がいるように、NFLでもドラフト指名を受けずに、プロボウルに選ばれた選手は少くない。とくにその傾向はオフェンシブラインマンに多い。

庄島が最も好きな選手として名前を挙げるショーン・オハラも、ドラフト外入団からセンターとしてプロボウルに3度も選ばれ、NFL選手にとって最大級の栄誉であるスーパーボウル優勝にも貢献した。また、昨年、今年と2年連続でスーパーボウルに先発出場したペイトリオッツのセンター、デビッド・アンドリュースもドラフト外から這い上がり、チャンピオンチームの一員となった。

「自分はドラフト上位で指名されるような選手ではないので、まずはドラフト外でもいいから契約してもらうこと」と庄島が言うように、目指すべき場所は5月上旬に行なわれる新人ミニキャンプだ。3日間の新人ミニキャンプにはドラフトで指名された選手だけでなく、ドラフト外の選手や、キャンプ中に行なわれるトライアウト招へい選手が参加する。

この新人ミニキャンプ中に結果を残してアピールできると、7月中旬から始まるトレーニングキャンプに招待される。トレーニングキャンプに参加できるのは90選手で、キャンプとプレシーズンゲームを通して53人の正規ロースター入りを争っていく。

新人ミニキャンプはドラフトの直後に行なわれるため、NFLの各チームはドラフトで指名するルーキーだけでなく、新人ミニキャンプに呼ぶ選手の選定にも目を光らせている。

<後編に続く:新人ミニキャンプは「呼ばれなくてはいけない」ものと庄島辰尭(UCLA)