トレードを経て自分を「評価してくれる場所」に行く必要があると語るスティーラーズTEスミス
2025年07月04日(金) 10:16
マイアミ・ドルフィンズは6月最終日にコーナーバック(CB)ジャレン・ラムジーとタイトエンド(TE)ジョンヌ・スミスをピッツバーグ・スティーラーズにトレードし、見返りとしてセーフティ(S)ミンカ・フィッツパトリックを獲得するという大胆な動きを見せた。
ラムジーのトレードは、双方が別れに関心を示していることが公になっていたことを踏まえると、必ずしも意外な動きではなかった。一方、スミスにとってはそうではなかったようだ。スミスは現地2日(水)夜に初めて今回のトレードについて公の場でコメントした際に、シーズン終了時に予想していた動きではなかったと明かしている。
ドルフィンズの元オフェンシブタックル(OT)テロン・アームステッドがホストを務めるポッドキャストに出演したスミスは「個人的にどういうシーズンだったかを考えると、こうなるとは予想していなかった」と話し、こう続けた。
「もちろん、マイアミでキャリアを終えたいという願望はあった。マイアミは自分にとっても、家族や子どもたちにとっても故郷のようなものだしね。でも、ビジネスの側面は理解している。うまくいかなかったけど、感謝はしている。マイアミや組織の誰に対しても嫌な感情は抱いていない」
「プロセスが進んでいく中で、心が痛まなかったと言えばウソになる」
スミスはドルフィンズでの初年度にキャリアで初めてプロボウルに選出された。そのレシーブ数(88回)、レシーブヤード(884ヤード)、タッチダウン数(8回)はすべて、タイドエンドとしてフランチャイズ記録となっている。それまでのキャリアハイが582ヤードにとどまっていたにもかかわらず、8年目にして大きな飛躍を遂げたスミスは、かつて強力だったドルフィンズ攻撃陣がクオーターバック(QB)トゥア・タゴヴァイロアやワイドレシーバー(WR)ジェイレン・ワドルの負傷やWRタイリーク・ヒルの不調で停滞する中で、大きな注目を集める存在となった。
そのような活躍を果たした選手は昇給や契約延長を実現させる場合が多く、スミスはドルフィンズと結んだ2年契約の2年目に報酬面で評価されることを楽しみにしていた。
「1年を通してやってきて、チームとしては明らかに期待外れだった。そういうことがシーズン後の多くの意思決定に影響を与えるのは当然だ。でも、俺はこのチームを成功に導くための重要な要素の1つになったと思っていた。代理人とはシーズン終了後に“間違いない。ここにずっといることになるだろう”と話していたんだ」とスミスはコメントしている。
すでに資金不足で、キャップスペースもほとんど残っていなかったこともあり、ドルフィンズはスミスが求める金額を支払う意向を示さなかった。そして、スミスが1月に始まったと明かした交渉は結局、まとまらなかった。
この1カ月間、トレードのうわさが絶えなかったにもかかわらず、その間ずっとドルフィンズに残りたいと繰り返し主張していたスミス。月曜日に大型トレードの一部としてスティーラーズに移ることが発表されるまで、その姿勢は変わらなかった。
「そのプロセスを経て、俺は傷ついた。組織や選手、コーチとして、チーム全体でジョンヌ・スミスをトレードすることが成功の出発点になると信じているとは思えなかった」とスミスは話している。
スミスは残留か退団かという選択において、プロとしての気持ちと個人的な感情の間で葛藤し、複雑な思いを抱えていたと語った。その一方で、最終的にはドルフィンズが“その状況に対して不満を持つ”ことなく、自身の価値に見合った報酬を支払えるチームに移る機会を与えてくれたことに感謝していると述べている。
「最終的に、それはできないと言われてしまった。俺をプロボウルに選ばれるタイトエンドと同じような報酬を得られる立場に置くことは経済的に不可能だってね。それはグサっときたよ。いろいろ解決策を探ったけど、うまくいかなかった」とスミスは振り返っている。
「俺は決断を下さないといけなかった。“よし、自分を評価し、成績で判断し、経済面や契約面でリーグトップの選手として認めてくれる場所に行かなきゃいけない”とね。そして、ピッツバーグは俺をそういうふうに見てくれたチームだった」
スティーラーズは1年1,200万ドル(約17億3,561万円)の契約延長に合意し、スミスが望んでいた報酬を支払うことになった。そして、スミスは一流のパスキャッチャーが不足している一方で、タイトエンド陣が充実しているオフェンスに加わる。タイトエンドのデプスチャートのトップには、パット・フリーアムスやダーネル・ワシントンが名を連ねている。
スミスがテネシー・タイタンズ時代に親交のあった攻撃コーディネーター(OC)アーサー・スミスの攻撃スキームにどのような形で組み込まれるかは、時が経てば明らかになるだろう。次のステージに向けて準備を整えているスミスは、次のように語った。
「人は常に一番、価値が認められて、感謝される場所にいたいと思うものだ。ピッツバーグでの状況はまさにそうだった。だから、ワクワクしている」
【RA】