コラム

2018年最も高収入の選手は?

2018年10月08日(月) 21:58


グリーンベイ・パッカーズのアーロン・ロジャース【AP Photo/Jeffrey Phelps】

経済誌フォーブスが今年の高収入NFL選手ランキングを発表した。これは選手が今年受け取る年俸とボーナスによる主収入と、エンドースメントと呼ばれる広告出演料などの副収入を同誌が独自に算定、合計したもの。

今年トップに輝いたのはパッカーズのクオーターバック(QB)アーロン・ロジャースだ。年俸とボーナス、副収入をあわせて合計7,590万ドルを得るとしている。ロジャースは2013年に5年総額1億1,000万ドルの契約を結んだことから同年から3年連続で同ランキングのトップとなったが、その後他に大型契約が続いたことから昨年は11位にまで後退していた。しかし今年8月29日に4年総額1億3,400万ドルで契約を更新、平均年俸は3,350万ドルとなった。特に契約ボーナスが5,750万ドルということでこれほどの年収となっている。

2位はファルコンズのQBマット・ライアンで主収入が5,250万ドル、副収入が500万ドルで計5,750万ドル。3位は第3週のチーフス戦で左ACL(膝前十字靭帯)を断裂し、シーズン終了となった49ersのQBジミー・ガロポロで主収入4,260万ドル、副収入50万ドルの計4,310万ドルだった。

トップ10人のうち7人がQBで、この点でもQBが花形ポジションであることが証明された形だ。残る3人だが、シーズン開幕直前にベアーズにトレード移籍したラインバッカー(LB)カリル・マックが主収入4,100万ドル、副収入75万ドル、計4,180万ドルで4位に、ラムズのディフェンシブタックル(DT)アーロン・ドナルドが主収入4,090万ドル、副収入25万ドル、計4,110万ドルで5位に、9位にジャイアンツのワイドレシーバー(WR)オデル・ベッカムが主収入2,150万ドル、副収入650万ドル、計2,800万ドルで9位に入っている。

合計のランキングと大きく異なるのが副収入、エンドースメントで、最も多いのはペイトリオッツのQBトム・ブレイディの1,400万ドル。セインツのQBドリュー・ブリーズが1,300万ドル、ロジャースの900万ドルと続く。エンドースメントが多いということはそれだけ人気、認知度が高く市場価値が高いということだ。特にブレイディの場合、広告出演だけでなく、近年自身のブランド「TB12」の積極的なビジネス展開でも知られる。対して年俸を意識的に低くする契約を結んでいるため、主収入は1,500万ドルで合計2,900万ドルは8位に留まっている。

今回上位6人の契約額は1億3,400万ドルを超える大型契約で、いずれもここ13ヶ月位内に結ばれている。特に前述のロジャース、ドナルド、マックの3人は今シーズン開幕前4日間に結ばれた。契約総額のトップ3を紹介するとライアンが5年1億5,000万ドル、2位がマックの6年1億4,100万ドル、3位が5年1億3,750万ドルとなっている。これほどの高額契約が連発している背景には、テレビ放映権料が上がったことでリーグとチームの収益が増え、ここ5年で選手の年俸総額の上限を定めたサラリーキャップの額が44%も増えたことがある。実際今回のトップ10人の年収合計は4億2,400万ドルに達しており、これは昨年よりも43%増だった。

一方で契約内容は複雑になっており、今回のランキングだけでは見えない部分も多い。例えば、支払い保証額が挙げられる。支払総額は高くても必ず支払われる保証額低い契約が結ばれることも多いのだ。チームとしては選手が怪我に見舞われたりや期待に答えられなかった時のリスク回避をしたいため、しばしばこうした策が用いられる。逆にいえば保証額の高い契約を結んでいる選手は信頼が厚いともいえる。では保証額の最も高い選手はというとやはりロジャースで9,870万ドルとなっている。2位はライオンズのQBマシュー・スタッフォードで9,200万ドル、3位がマックで9,000万ドルと続く。

対してチームにとっては頭痛の種となるサラリーキャップへのヒット、算入額が多い選手はトップがガロポロで3,700万ドル。2位がスタッフォードで2,650万ドル、3位がレイダースのQBデレク・カーの2,500万ドルだった。

シーズンも序盤を過ぎつつあり、各チーム、選手の好不調もはっきりしてきた。自分の応援する選手は契約に見合った活躍をみせているだろうか。

わたなべ・ふみとし

渡辺 史敏
兵庫県生まれ
ジャーナリスト兼NFLジャパン リエゾン オフィスPRディレクター。1995年から2014年3月までニューヨークを拠点にアメリカンフットボールやサッカーなどスポーツと、さらにインターネット、TV、コンピュータなどITという2つの分野で取材・執筆活動を行う。2014年4月に帰国、現職に。『アメリカンフットボール・マガジン』、『日刊スポーツ電子版連載コラム:アメリカンリポート』、『Number』などで執筆中。