RBヘンリーがキャリー300回を記録すれば「とてつもない年」になるとレイブンズOCモンケン
2024年05月25日(土) 20:442018年シーズンからこれまでにデリック・ヘンリーを上回るキャリー数を記録しているNFLのランニングバック(RB)はおらず、ボルティモア・レイブンズの攻撃コーディネーター(OC)トッド・モンケンはヘンリーがレイブンズで過ごす最初のシーズンにその傾向が続くことを願っている。
チーム公式サイトによると、モンケンOCは現地23日(木)に「これは分かっている。(ヘンリーが)300回ボールを運べば、とてつもない年になるとね。それは、私たちがボールを持ってたくさん走り、試合で優位になっていることを意味する。彼には最後まで走り切ってクローザーになってもらいたいと思っている」と述べたという。
2023年シーズンを含めてこの5シーズンで3度、ラン攻撃でNFL首位に立っているレイブンズにヘンリーが加わったことを踏まえると、それは2024年に実現可能な偉業だと言えよう。2023年にキャリー数(541回)でNFLトップに輝いたレイブンズは、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)のトップシードを獲得している。
驚くべきことに、最近のレイブンズはヘンリーのような主力RBを欠いた状態で優れたラン能力を発揮してきた。クオーターバック(QB)ラマー・ジャクソンのデュアルスレット能力は、複数のランニングバックをローテーションで起用する方法で戦略を練ってきたチームにとって重要な要素となっている。1シーズンでキャリー300回超えを達成したレイブンズのランニングバックを見つけたければ、2010年まで遡らなければならない。
「去年はランニングバックたちをうまくローテーションできたと思う。ガス(エドワーズ)はパワフルだったが、レップスを分担させた」と振り返ったモンケンOCは「今は成長したキートン(ミッチェル)もいるし、ジャスティス(ヒル)とかそういう選手もいるが、同じように、ランニングバック全員を起用して、彼らが活躍できる最高のポジションにつけるようにするつもりだ」と続けた。
ヘンリーは2018年シーズンからの通算ランヤード(8,268ヤード)、キャリー数(1,744回)、タッチダウンラン数(80回)でリーグをけん引している。モンケンOCが指摘したように、レイブンズがシーズン序盤に充実したラン攻撃を確立し、ヘンリーが自らの導きで勝利をもたらすことができれば、その仕事量は増えるだろう。
レイブンズが昨季のプレーオフで欠いていたように見えたのはその部分だ。最終的にスーパーボウル王者となったカンザスシティ・チーフスに17対10で敗れた試合では、序盤にラン攻撃に一貫性がなく、ランニングバックは合わせて6回しかボールを運ばなかった。ワンスコア差の接戦だったとはいえ、ラン攻撃に自信を持てなかったことから、ジャクソンはあらゆる方法でプレーすることを余儀なくされた。
当然、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)タイトル戦で苦戦したのはケガも関係している。J.K.ドビンズは昨季、1試合しか出場しておらず、才能を開花させつつあったミッチェルはシーズン第15週に負傷して残るシーズンを欠場した。
レイブンズはヘンリーを加えることでそうした状況を改善したいと考えており、それはジャクソンのプレッシャーを軽減することにもつながるだろう。唯一の疑問は、30歳のヘンリーがNFLでの9シーズン目にそうした仕事量を担えるかどうかだ。
モンケンOCはヘンリーについて「何よりも、すべての選手と同じように、彼にはシーズンを通して活躍してもらいたいと思っている。17試合に出場する長いシーズンだ。だから、どうなるか見ていく。彼にはものすごく耐久性がある」と話している。
エドワーズとドビンズが他チームに移籍したため、ヘンリーが2024年にレイブンズのRB1になるのは間違いない。シーズン開幕に向けて、ヒルはデプスチャートで2番目に位置し、その後ろにはドラフト5巡目指名を受けた新人ラシーン・アリが控えることになりそうだ。ジョン・ハーボーHC(ヘッドコーチ)はすでにACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂したミッチェルがシーズン第1週に復帰するのは不可能だとしているが、ミッチェルは予定通りのペースで回復しており、シーズン中に復帰すると見込まれている。
2024年にヘンリーが歴史に名を刻む可能性はある。ヘンリーは1万ランヤードを達成したNFL史上32番目の選手になるまであと498ヤードに迫っている。『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、今シーズンに10回のタッチダウンランとともにその大台を超えれば、ヘンリーはキャリア通算で1万ランヤードとタッチダウンラン100回を達成したNFL史上9番目の選手になるとのこと。31歳までにこれを成し遂げたのは、殿堂入りした元ランニングバックであるラダニアン・トムリンソン、エミット・スミス、ジム・ブラウンだけだという。
フリーエージェント(FA)が始まったとき、ヘンリーがレイブンズに加入すれば最高の組み合わせになると見られており、正式にレイブンズがリーグを代表するランニングバックを手に入れても驚きの声は上がらなかった。レイブンズがチームの前に立ちはだかる壁を乗り越えることを目指す中、ヘンリーはそれを手助けする存在になるかもしれない。
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