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負傷から復帰のDEグラハム、引退が迫る中でイーグルスの優勝に貢献したいと語る

2025年02月06日(木) 11:24


フィラデルフィア・イーグルスのブランドン・グラハム【Kevin Sabitus via AP】

ディフェンシブエンド(DE)ブランドン・グラハムは、フィラデルフィア・イーグルスの過去15年にわたる浮き沈みをすべて見届けてきた。

2010年のNFLドラフトでミシガン大学から1巡目指名を受けたグラハムがイーグルスに入団した時、チームはヘッドコーチ(HC)アンディ・リード時代の終盤に差しかかっていた。その後、チームはクオーターバック(QB)やヘッドコーチが何度も変わる中で浮き沈みを繰り返し、グラハム自身もスーパーボウルでの勝利と敗北を経験。そして今、ニューオーリンズで3度目の大舞台に立とうとしている。

この試合がグラハムにとって最後の1戦となる可能性はあるが、それに対する寂しさはないという。なぜなら、グラハムはすでに自らのフットボール人生の終わりと向き合っていたからだ。11月24日のロサンゼルス・ラムズ戦で上腕三頭筋を断裂しており、これは本来ならシーズン終了を意味する重傷だった。

現地5日(水)に行われたインタビューで、グラハムは負傷の深刻さを知った瞬間、今季はここで終わると悟ったと明かした。そして、引退が遠くないことを考えると、もう2度とスナップに参加することはないかもしれないとも思ったという。

しかし、第52回スーパーボウルの英雄であり、2024年のイーグルス最年長選手であるグラハムにとって、そんな終わり方は受け入れられなかった。

「自分の中では、こんな形で終わらせたくなかった」と、36歳のグラハムは第59回スーパーボウルを前に語った。

幸いにも、グラハムを支える選手たちがいた。元チームメイトのノーズタックル(NT)ジャボン・ハーグレイブや、以前にイーグルスでプレーしていたDTホリス・トーマスらがグラハムの回復を見守り、希望を与えてくれた。

「彼らは“このケガならこれくらいで戻れるぞ。俺は2カ月半で復帰した”と言ってくれたんだ。それを聞いて、“よし、そのつもりでいよう”と思った。今はケガをしてから2カ月半くらいになる」とグラハムは説明している。

「とにかく挑戦するしかなかった。そして、チームもそれを後押ししてくれたことが本当にうれしい」

グラハムが日曜日の試合に出場する保証はない。この一週間、本人は感謝の気持ちと前向きな姿勢を示し続けているが、ニック・シリアニHCはグラハムの状態について明言を避けてきた。グラハムは1月30日に練習復帰の目途が立ち、水曜日の練習には制限つきで参加している。

それでも、グラハムの復帰に対する期待は高まるばかりだ。このストーリーは、まるでハリウッド映画のような展開であり、そのクライマックスを飾るのは自身2度目となるスーパーボウル制覇——そして、第57回スーパーボウルでカンザスシティ・チーフスに敗れた悔しさを乗り越えた勝利になるはずだ。

「最後にやり遂げられなかった。でも、あの時のチームを誇りに思っている。素晴らしいシーズンだったけど、最後は思うようにいかなかった」とグラハムは語る。

「今回はそこが最大の焦点だ。最後に結果を出す。ここまでの道のりではなく、週末に何ができるかがすべて。俺たちはフィニッシュラインを駆け抜けるつもりだ」

負傷明けの選手にとって最善の策とは言えないかもしれないが、グラハムは第59回スーパーボウルに向けて、全力で駆け抜ける姿勢を貫いてきた。この2カ月間、フィールドの外からチームを見守る日々を過ごし、シーズン最大の試合への復帰をこれ以上ないほど待ち望んでいる。

グラハムはベテラン選手として、自らの限界を理解している。日曜日の試合ではエネルギーとアドレナリンをうまくコントロールする必要があることも、よく分かっているようだ。

「しっかりとエネルギーを有効に使いたい」と、グラハムはおなじみの笑顔を見せながら述べた。

「試合に向けてエネルギーを温存したいから、あまりしゃべらないかもしれない。プレーするのは2カ月ぶりだからな。でも、すごく楽しみだ。ストレングスコーチやトレーナーと一緒に調整を続けてきたし、しっかり試合に戻れるように、良いプランができていると思う」

グラハムは、第52回スーパーボウル優勝時のメンバーとして現在もチームに残る4人のうちの1人であり、その中でも最年長の存在だ。同じく当時のメンバーであるオフェンシブタックル(OT)レイン・ジョンソンが、月曜日に最年長の残存メンバーと紹介された際、すかさずそれはグラハムのことだと訂正。その称号を誇りに思っているのは、グラハム自身も同じだ。

水曜日にグラハムは次世代のイーグルスへバトンを渡せることが光栄だと語った。そして、そのタイミングもこれ以上ないほど理想的だ。現在のイーグルスはNFLで2番目に若いディフェンスを擁しており、もしグラハムがいなければ、その平均年齢はさらに低くなる。

とはいえ、イーグルスにとってグラハムの存在は欠かせない。グラハムはロッカールームのムードメーカーであり、愛されるトラッシュトーカーでもある。

月曜日にベテランコーナーバック(CB)ダリアス・スレイは、たとえ引退したとしてもグラハムが「ロッカールームに入ってくるだけでチームに活気が生まれる」と語った。

それが現実となる日は近いかもしれない。水曜日にグラハムはまだ今後について最終的な決断はしていないと述べた。しかし、その言葉の端々からは、今回のスーパーボウルが自身にとってのラストゲームになる可能性を強く自覚していることが伝わってきた。

だからこそ、グラハムは今、この瞬間を一切無駄にしたくないと考えている。

「最高の試合にしたい。これまでで一番の試合にしたい」とグラハムは語る。

「特別なことをするわけじゃない。ただ、これまで通りすべてを楽しむことを大切にしたい。今日も練習があるけど、全力でやりきることが重要だ。残されたわずかな機会を最大限に生かし、それが試合で結果として表れるようにしたい。最後の試合に出場できることが、ただただうれしいよ」

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