ビルズがスーパーボウル制覇を2度経験したOLBミラーを放出へ
2025年03月10日(月) 08:55
かつてはスーパーボウル出場に向けて華々しい契約を結んだアウトサイドラインバッカー(OLB)ボン・ミラーだが、現在はAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)での立ち位置を維持しつつ財務状況を整理しようとするチームにおいて、サラリーキャップの都合で放出される存在となっている。
現地9日(日)、バッファロー・ビルズがサラリーキャップスペースで840万ドル(約12億4,333万円)を節約するためにミラーを放出すると『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロが報じた。しかし、両者は再契約の可能性を排除していないとラポポートとペリセロはつけ加えている。その後、チームは今回の動きを正式に発表した。
2025年に1,710万ドル(約25億3,106万円)の基本給を受け取る予定だったミラーは、ビルズのサラリーキャップの8.5%を占めていた。チームは35歳のアウトサイドラインバッカーと決別する前に、サラリーキャップの上限を860万ドル(約12億7,293万円)超過していた。
デンバー・ブロンコスとロサンゼルス・ラムズでスーパーボウル制覇を経験したミラーは、2022年シーズンを前に、6年1億2,000万ドル(約177億6,180万円)という破格の契約をビルズと締結。プロボウルに8回選出された経歴を持つミラーは、ビルズを大舞台に導く切り札となる可能性を秘めていたが、負傷やフィールド外でのトラブル、全盛期を過ぎてしまったことも影響し、総合的には期待外れな投資となった。
ミラーはビルズでの3シーズンで50試合中36試合に出場し、11試合に先発。先発を務めたのはいずれも加入初年度だった。ビルズでの成績はサック14回、タックル41回、クオーターバック(QB)ヒット23回、フォースドファンブル1回にとどまっている。2022年シーズンはACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂し、2024年シーズンは個人行動規範の違反によって4試合の出場停止処分を受けた。ミラーは妊婦に対する重暴行の疑いで訴えられた後に出頭したが、起訴はされていない。
昨年の今頃、ビルズはコーナーバック(CB)トレデイビウス・ホワイトやフリーセーフティ(FS)ジョーダン・ポイヤーといった選手をカットしたが、ミラーは契約の再編を経てチームに残留した。
ミラーは2024年シーズンに13試合に出場し、6回のサックを記録したものの、プレーオフでの3試合ではサック0回にとどまり、タックルも1回のみだった。
3月26日(水)に36歳の誕生日を迎えるミラーの将来は不透明だ。殿堂入りは確実と見られているが、第50回スーパーボウルのMVPがどれほどの力を残しているかは疑問であり、ベテランのパスラッシュスペシャリストを獲得しようとするチームがどれほどあるのかは現時点では分からない。
ミラーはスター選手が不足しているフリーエージェント(FA)市場で注目を集める存在となるだろう。また、ブロンコスとの再契約は間違いなく話題になるはずだ。しかし、ブロンコスにはOLBポジションにニック・ボニートやジョナサン・クーパーといった若きスター選手がそろっている上に、ディフェンシブエンド(DE)ポジションにもジョン・フランクリン-マイヤーズやザック・アレンといった選手がいる。
ボルティモア・レイブンズやデトロイト・ライオンズ、タンパベイ・バッカニアーズなど、パスラッシャーを必要としている有力チームは、少なくとも理論上はミラーと相性が良さそうに見える。アトランタ・ファルコンズもミラーを獲得すればエッジからの爆発力を利用できるはずで、ヘッドコーチ(HC)ラヒーム・モリスはミラーがラムズでスーパーボウルを目指していた際にチームの守備コーディネーター(DC)を務めていた人物でもある。
現役選手として最多のキャリア通算サック数を記録しているミラーは、通算129.5回のサックを記録した選手としてバッファローを去ることになった。ミラーは130回以上のサックを記録したNFL史上16人目の選手になることを目指しており、その偉業を達成するために新たなチームを探すことになる。
【RA】