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ヘルメットの性能基準を引き上げ続けるNFL、2025年に向けて7つの新モデルを発表

2025年04月13日(日) 12:19


NFLロゴ【NFL】

現地11日(金)、NFLはNFLPA(NFL選手会)と毎年共同で実施しているヘルメットの性能テストの結果を発表し、2025年シーズンにNFL選手が使用できる新しい高性能ヘルメットモデルを紹介した。特筆すべき点は、実験室でのテスト結果が近年のフィールド上のデータによって裏付けられていることであり、優れた性能のヘルメットを着用している選手は、性能が劣るヘルメットを着用している選手よりも脳しんとうの発症率が低くなっている。

2024年シーズンには過去最多となる12の新型モデルが登場し、そのうち5つはそれまでにリーグで使用されていたどのヘルメットよりも優れた性能を示していた。今年から選手が使用可能となる7つの新型ヘルメットは、すべて“トップパフォーマンス”カテゴリにランクインしている。性能の劣るヘルメットは2025年版のポスターで“推奨しない”カテゴリへと移行された。現在“推奨しない”グループに分類されているヘルメットは、実験室でのテスト結果が芳しくなく、最も高い評価を得たヘルメットよりも、フィールドでの脳しんとう発症率が約30%高いことが明らかになっている。

NFLの選手健康・安全担当副社長であるジェフ・ミラーは「最高性能のヘルメットのテスト結果が、フィールドでの負傷率低下と一致したことは、選手の安全性をさらに高める大きな前進となった。トップランクのヘルメットは予測通りの性能を発揮し、それを着用している選手の脳しんとう発症率は大幅に減少している。私たちの目標は、2025年シーズンに向けてすべての選手がより性能の高いヘルメットに移行するよう促すことだ」と述べた。

2024年シーズンは2021年以降で、フィールドで使用されるヘルメットの安全性が最も向上し、脳しんとう発症数がNFL史上最も少ないシーズンとなった。脳しんとうの発症数は2023年と比べて17%減少している。2025年シーズンを前に、リーグ全体の約30%の選手が“トップパフォーマンス”のヘルメットを着用していない。それによって負傷のリスクが高まっていることは最近のデータからも明らかになっている。

NFLフットボール管理最高責任者のドーン・アポンテは「ヘルメット技術が進化し続ける中、選手たちの間で広く採用されることで、違いが生まれ続ける」と述べ、こう続けた。

「各クラブの用具スタッフは、選手たちが現在の製品を理解し、高い保護性能と優れたフィット感を備えた選択肢を選べるようサポートする上で、重要な役割を果たしている。私たちは選手たちがより性能の高いヘルメットに移行するよう促す各チームの取り組みを後押しすべく、今後も緊密に連携していく」

“推奨しない”に分類されているモデルの多くには、それに対応する新モデルが存在しており、それらは“トップパフォーマンス”グループに含まれている。また、2025年にトップランクに選ばれたヘルメットのほぼすべてに、ヘッドスキャンや調整可能なパッドといった革新的技術を用いたフィット感を調整できる要素が含まれている。ヘルメット技術の進歩に伴い、ガーディアン・キャップ・オプショナル・ヘルメットの数も10個に増え、ヘルメットを選ぶ選手たちには、安全性のある選択肢がより多く用意されている。ガーディアンキャップの着用が義務付けられているポジションの選手は、練習時にそれらのヘルメットを着用し、ガーディアンキャップの着用を免除されることを選択できる。

今回の結果が記載されたヘルメットのポスターは全チームのロッカールームに目立つように掲示される。今シーズンは“トップパフォーマンス”グループ(ポスターで緑色で示される)以外のヘルメットは“推奨しない”(黄色で示される)とされ、新たに禁止されたヘルメットは以前と同様に赤色で示された。このランキングの調整は、より性能の高いモデルの採用を促進するために行われている。

新たに禁止されたヘルメットは7つあり、これまでは“推奨しない”グループに分類されていたが、2025年にはフィールドでの使用が禁止されることとなる。それらのヘルメットはすべて、2022年には“トップパフォーマンス”グループに分類されていた。これは、わずか数年でヘルメットの性能が急速に向上したことを示している。

今年の新モデルのうちの2つ――“Light Apache Pro(ライト・アパッチ・プロ)”と“Light Gladiator Thunder(ライト・グラディエーター・サンダー)”――の技術は、ヘルメットの性能とNFL選手の安全性の向上を目的とした300万ドル(約4億3,077万円)のコンペティション“NFLヘルメットチャレンジ”の受賞者によって開発された。それらのモデルが今年のランキングで“トップパフォーマンス”グループに含まれたことは、リーグがさまざまなエンジニアや材料科学者と連携し、ヘルメットの設計に新しく、非常に効果的なアプローチを生み出すことに取り組んでいることを反映している。

NFLとNFLPAは毎年、共同で任命した生体力学の専門家による実験室でのテストを実施し、どのヘルメットが頭部への衝撃を最も軽減できるかを評価している。“トップパフォーマンス”のヘルメットは、クオーターバック(QB)、オフェンシブラインマン(OL)、ディフェンシブラインマン(DL)に特化したテスト方法を用いて評価されており、それらのテストは各ポジションの選手がフィールドで直面する特有の衝撃を再現して行われている。昨シーズンはポジションに特化したモデルが提供されているポジション(OL、DL、QB)の選手の約30%がそれを着用していた。

2025年シーズンに向け、テスト結果が記されたヘルメットのポスターが合計4枚配布されている。1枚はすべてのポジションの選手が使用できるヘルメットに関するもので、残りの3枚はそれぞれクオーターバック、オフェンシブラインマン、ディフェンシブラインマンに特化したテスト結果を反映したポスターだ。

【RA】