スティーラーズがWRジョージ・ピケンズをカウボーイズにトレード
2025年05月08日(木) 09:27
ワイドレシーバー(WR)ジョージ・ピケンズがピッツバーグ・スティーラーズを離れ、WRシーディー・ラムを補完する優れたターゲットとしてクオーターバック(QB)ダック・プレスコットと共にプレーすることになった。
現地7日(水)、スティーラーズがピケンズをダラス・カウボーイズにトレードすると『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロが取引に詳しい人物の話をもとに報道。ラポポートによると、カウボーイズはピケンズおよび2027年ドラフト6巡目指名権を受け取り、その見返りとして2026年ドラフト3巡目指名権および2027年ドラフト5巡目指名権をスティーラーズに送るという。
その後、カウボーイズはトレードと、それに伴う措置としてWRセス・ウィリアムズをウェイバーにかけたことを正式に発表した。
ラムを補完する2番手ターゲットを切望していたカウボーイズだが、フリーエージェント(FA)市場や2025年NFLドラフトで真の2番手レシーバーを獲得することができなかった。カウボーイズのオーナーであるジェリー・ジョーンズはドラフト後、必要に応じて補強を行うという点で“列車はまだ出発していない”と述べていた。
カウボーイズから連絡を受けたスティーラーズは、キャリア3年目のピケンズをトレードするという派手な動きで応じた。この動きによって次のシーズンに向けた期待の高まりが一気に加速することは間違いない。
シアトル・シーホークスとのトレードでD.K.メットカーフを獲得したことを受け、スティーラーズがメットカーフと同様にビッグプレーを生み出し、接戦でのキャッチを得意とするピケンズと決別する可能性が高まり、それが現実となった。今回の動きは、2024年シーズンにチームトップの成績を残したワイドレシーバー、ランニングバック(ナージー・ハリス、ロサンゼルス・チャージャーズと契約)、クオーターバック(ラッセル・ウィルソン、ニューヨーク・ジャイアンツと契約)と別れたスティーラーズにとって、大規模なオフェンス改革を完結させるものとなっている。
NFLで2つ目のチームに移るピケンズは、新人契約の最終年で365万ドル(約5億2,493万円)を受け取る予定であり、2025年は自身の実力を証明するための重要なシーズンとなるだろう。
今回のトレードにより、カウボーイズは来るシーズンに向けて、パス攻撃を即座に強化するとともに、ラムと相性の良い優秀なターゲットを手に入れることになる。ピケンズは、2024年に2番手の役割を完全に確立できなかったジェイレン・トルバートや、ジョナサン・ミンゴ、ジェイレン・ブルックス、ケボンタエ・ターピンを上回り、ラムに次ぐ2番手として位置付けられるはずだ。
スティーラーズにとっては、2022年ドラフト2巡目で指名したピケンズとの波乱に満ちた関係を終わらせることになる。ピケンズは1巡目指名選手級の才能を持っていたが、ケガと性格面での問題が重なり、スティーラーズから全体52位で指名された。
ピケンズはスティーラーズでの3シーズンでレシーブ174回、2,841ヤード、タッチダウン12回を記録。2023年にはレシーブ平均ヤード(18.1ヤード)でNFLトップに立った他、レシーブ63回で1,140ヤード、タッチダウン5回を記録し、これらはいずれもキャリアベストの数字となっている。2024年はケガを理由に3試合を欠場し、スティーラーズのオフェンス全体と同様に安定したパフォーマンスを発揮できず、レシーブ59回で900ヤード、タッチダウン3回という成績でシーズンを終えた。
ピケンズが去ることで、メットカーフが比較的選手層の薄いスティーラーズのWR陣をけん引することになるだろう。スティーラーズではカルビン・オースティン三世や新加入のベテラン選手ロバート・ウッズの先発起用が見込まれている。今回の取引においてスティーラーズにとって最大のカギとなるのは、ロマン・ウィルソンの成長だろう。2024年ドラフト3巡目指名を受けたウィルソンは、ルーキーシーズンに足首とハムストリングのケガで1試合の出場にとどまった。
まだ24歳のピケンズは何度も驚異的なプレーを見せてきたものの、パフォーマンスの波や性格面での問題が、全体的に一貫性を欠く結果につながっている。
ピケンズの在籍期間を通じて、スティーラーズのヘッドコーチ(HC)マイク・トムリンは彼に関する質問に繰り返し答えることを余儀なくされてきた。プレー中にケガを懸念してブロックを怠ったことから、試合中やソーシャルメディア上でターゲット数を増やすよう求めた言動に至るまで、その内容は多岐にわたる。
波乱に満ちたスティーラーズ時代を過ごす中で、ピケンズはクオーターバックが次々と入れ替わる状況にも直面していた。
ケニー・ピケット、ミッチェル・トゥルビスキー、メイソン・ルドルフ、ジャスティン・フィールズ、ラッセル・ウィルソンとクオーターバックを次々と変更してきたスティーラーズは、QBポジションを固めるべく、現在もアーロン・ロジャースの決断を待っているところだ。
ピケンズはキャリアで初めて、フランチャイズクオーターバックとしての地位を確立している選手からパスを受けることになる。プレスコットはリーグで最も尊敬されるチームメイトの1人としても称賛されている選手だ。
環境の変化が、ピケンズが安定的にポテンシャルを発揮するために必要なものなのかもしれない。
それこそ、カウボーイズが2025年に期待していることだ。
【RA】