49ersとQBパーディーが5年386億円の契約延長に合意
2025年05月17日(土) 09:33
無名選手としてキャリアをスタートさせたクオーターバック(QB)ブロック・パーディーは、NFLでの3シーズンを経て富を手にした。
現地16日(金)、パーディーとサンフランシスコ・49ersが5年2億6,500万ドル(約386億7,343万円)の契約に合意したと『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポート、マイク・ガラフォロ、トム・ペリセロが報じた。
新人契約の最終年となる今季に534万ドル(約7億7,931万円)を受け取ることになっていたパーディーは、2030年シーズンまで続く契約で総額1億8,100万ドル(約264億1,468万円)の保証を得る。そのうち最初の3年間で1億6,505万ドル(約240億8,698万円)が支払われる予定だ。
『Over The Cap(オーバー・ザ・キャップ)』によると、パーディーが受け取る総額2億6,500万ドルはNFLで5位に相当し、年平均額(5,300万ドル/約77億3,469万円)は7位タイに位置するとのこと。
49ersは待ち望まれていたパーディーの契約延長を実現させることで、多忙なオフシーズンにおいて最も重要な項目をクリアした。
2019年以降、常にスーパーボウル争いに名を連ねてきた49ersだが、2024年シーズンは6勝11敗と苦しい結果に終わった。その後のオフシーズンには、多くの有力選手がチームを去っている。49ersの最高経営責任者であるジェッド・ヨークが意外とも言える形で明かしていたように、ロースターを再編した一因は、これまで破格の掘り出し物とされてきたパーディーをリーグで最も高い報酬を得る選手の1人にするための余裕を確保することだった。
パーディーの“アンダードッグ物語”には多くの批判が寄せられ、ヘッドコーチ(HC)カイル・シャナハンのオフェンスシステムの産物に過ぎないという意見も少なくなかった。そうした中、パーディーが手にすることになる巨額契約は物議を醸していた。しかし、どのような意見があるにせよ、パーディーは疑いようのない成功を収めている。
25歳のパーディーは3年間で40試合に出場(うち36試合に先発出場)し、23勝13敗、9,518ヤード、タッチダウン64回、インターセプト27回を記録。初めてシーズンを通して先発を務めた2023年には華々しい活躍を見せ、4,280ヤード、タッチダウン31回をマークしたほか、タッチダウン率(7.0%)やアテンプト平均ヤード(9.6ヤード)、パサーレーティング(113.0)でリーグトップクラスの成績を収め、プロボウルに選出された。49ersはその年にスーパーボウル進出を果たし、その大舞台はパーディーにとって6度目のプレーオフゲームとなった。
パーディーが積んできたプレーオフの経験は、高額契約を結んでいる同世代のQBであるジョーダン・ラブやトレバー・ローレンス、トゥア・タゴヴァイロア、カイラー・マレーよりもはるかに豊富だ。
49ersは2022年NFLドラフトの全体262位、すなわち最終指名でアイオワ州立大学出身のパーディーを指名し、大きな当たりを引いた。最終指名選手に与えられる“ミスター・イレレバント”の称号を持つパーディーは、これまでで最も成功した“ミスター・イレレバント”であるだけでなく、同じドラフトで指名されたクオーターバックの中で最も成功を収めた選手にもなっている。2022年ドラフトで唯一、1巡目指名を受けたケニー・ピケットはすでに3チーム目に所属している。2022年に指名された9人のクオーターバックのうち、指名されたチームにとどまっているのはパーディーだけだ。
パーディーが49ersに残留する一方で、ワイドレシーバー(WR)ディーボ・サミュエルとランニングバック(RB)ジョーダン・メイソンはトレードで移籍した。ディフェンスでは、ノーズタックル(NT)ジャボン・ハーグレイブ、ディフェンシブエンド(DE)レナード・フロイド、セーフティ(S)タラノア・フファンガ、ラインバッカー(LB)ドレイ・グリーンロー、コーナーバック(CB)シャーバリウス・ウォードがチームを去り、ガード(G)アーロン・バンクスやオフェンシブタックル(OT)ジェイロン・ムーアといったオフェンシブラインマンも移籍している。
オフシーズンは多くの有力選手がチームを離れたことで注目を集めたが、契約に関する波乱の展開がほとんどなかったことは特筆すべきだ。その点は、最近自身も高額契約延長にサインしたタイトエンド(TE)ジョージ・キトルも指摘している。
パーディーは自主参加のワークアウトに参加しており、49ersのジェネラルマネジャー(GM)ジョン・リンチは、パーディーの代理人との交渉は着実に進展していると前向きな発言をしていた。
それは、過去数年と比べると大きな違いだ。サミュエルをはじめとし、DEニック・ボサ、レフトタックル(LT)トレント・ウイリアムス、WRブランドン・アイユークの契約延長交渉は夏まで長引いていた。
49ersが一種のロースター再編を進める中、パーディーはチームをけん引する役割を担うと見られている。
49ersはシャナハンHCの最初の2年間(2017年から2018年)以来となる2年連続の負け越しを避けることを目指すだろう。49ersは、過去6シーズンの大半でスーパーボウル争いの有力候補と見なされていたチームとは異なる、大幅に入れ替わったロースターでその目標を達成しようとしている。
不確実な部分は多いが、49ersがパーディーをフランチャイズQBとして信頼する姿勢は揺らいでいない。
【RA】