春季リーグミーティングでタッシュプッシュの禁止案が否決
2025年05月22日(木) 09:17
これからも“タッシュプッシュ”は認められるようだ。
『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロとジュディ・バティスタによると、グリーンベイ・パッカーズが提案した、近年のフィラデルフィア・イーグルスによって広められたタッシュプッシュプレーの禁止案は、現地21日(水)に行われた春季リーグミーティングでの投票の結果、否決されたという。
春季リーグミーティングでは、パッカーズが提案した禁止案に対して10チームが反対票を投じ、承認に必要な24票に2票届かなかったとNFLネットワークのイアン・ラポポートが報じている。
この提案は、春に行われた年次リーグミーティングで提出された案を修正したもので、ランナーを“いかなる方向にも、いかなる時点でも”押したり引いたりする行為を禁止すると同時に、選手を持ち上げる行為も禁止するという内容だった。
イーグルスは投票結果のニュースを受けて、ソーシャルメディアに「Push On(押し続けろ)」というキャプションを添えた画像を投稿し、フィールド外の勝利を祝った。その後、イーグルスは公式『YouTube(ユーチューブ)』チャンネルで“26 Minutes of the Tush Push(タッシュプッシュの26分間)”と題した動画を公開している。
— Philadelphia Eagles (@Eagles) May 21, 2025
競技委員会のリッチ・マッケイ委員長は水曜日にタッシュプッシュについて話した際に、新ルールの成立には高い基準が必要だと指摘した。
マッケイは「必要な投票数をすべて集計した結果、このルールはまだ可決される段階にないことが分かった」と述べ、こう続けている。
「私自身にとっても、当委員会および実際に作業を行った委員にとっても、この結果は不本意なものではない。なぜなら、何かを可決するには24票が必要だからだ。私たちは低い基準を設定していない。これは過半数で決まる投票ではない。もしそうなら、ほとんどの提案が可決されるだろう。今回の提案は競技委員会、選手の安全衛生委員会、オーナーの安全衛生委員会の全会一致で提案されたものだ。つまり、多くの支持があり、多くの議論が行われてきた。それでも24票が必要なのだ。今回は票が足りなかったため、ルールは現状のまま維持される」
水曜日、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルはパッカーズの提案について自身のスタンスを示したことはないとし、次のように報道陣に語った。
「私は通常、プロセスが円滑に進むとともに、十分な議論が行われるようにすべく、中立な立場をとっている」
イーグルスがスーパーボウル制覇を果たしたことを受け、今オフシーズンはクオーターバック(QB)を押すプレーに対して批判の声が集まった。反対派は、このスクラムのようなプレーをフットボールらしくないと主張し、NFLもサンプル数が限られていて明確なデータがないにもかかわらず、選手の健康と安全に関する懸念を示していた。
一方で、デトロイト・ライオンズのヘッドコーチ(HC)ダン・キャンベルやニューイングランド・ペイトリオッツのマイク・ブラベルHCなどは禁止に反対し、プレーを止める責任は各チームにあり、ルールを作って禁止すべきではないと主張していた。
オフシーズンを通して、この議論は白熱していたと言えよう。
元の提案は4月1日に行われた年次リーグミーティングで議題に上ったが、投票は先送りとなっていた。その後、パッカーズは提案を修正し、水曜日に議論と投票のためにその提案をオーナーたちに提出。更新された文言は、リーグ創設から2005年まで適用されていたルールに似た、より広範囲の行為を対象とした内容となっていた。
マッケイは「私たちの考えとしては、いくつかの委員会でも述べているように、それは長年存在していたルールだと感じていた」とコメント。
「ダウンフィールドの審判の判断を理由に、一度そのルールを撤廃したが、他の問題が浮上したため、ルールを元の状態に戻そうという話になった。しかし、24票には届かなかった」
イーグルスのオーナーであるジェフリー・ルーリーと元スターセンター(C)ジェイソン・ケルシーは水曜日に行われたオーナー会議で、プレーの存続を支持する意見を述べていた。
最終的に、十分な数のチームがイーグルスの味方をし、タッシュプッシュプレーは存続されることになっている。
今後、相手チームはイーグルスのほぼ無敵の強みをどう封じ込めるかを考えなければならない。ゲーム開始だ。
【RA】