延長契約は双方にとって理想的な形でまとまったと話す49ersのQBパーディー
2025年05月22日(木) 12:38
クオーターバック(QB)ブロック・パーディーの契約延長はトレーニングキャンプ開始の2カ月前にまとまり、本人はこれ以上ないほどの喜びを示している。
“ミスター・イレレバント”としてNFL入りしながら、サンフランシスコ・49ersのロースター入りを果たし、先発に定着。チームをスーパーボウル出場に導いた立役者が、他のQBと比べてわずかな報酬しか得ていなかった状況を3年で脱し、5年2億6,500万ドル(約379億9,835万円)の大型契約を手にした。喜びの声は当然だろう。
「こういうことは一晩で起きるものじゃないって分かっていた」と、パーディーは現地21日(水)に語った。
「ここに至るまでには、良い時も悪い時も、過酷なトレーニングや逆境を乗り越えなければならなかった。その中で、自分の信念を貫いて歩んでこられて本当に良かったと思っている。これは自分だけの物語で、誰かの真似をしようとしたことはない。神が与えてくれた道にすべてを懸けてやってきた。この立場にいられることに心から感謝している」
「今の自分を突き動かしているのは、もっと成長してチームを勝たせたいという思い。チームとしても、今年や今後のことは何ひとつ確定していない。だからこそ、毎日地に足をつけて取り組み、成功をつかむために努力を重ね、チームのために自分の役割を果たさなければならない。それを楽しみにしている」
パーディーと49ersの未来において唯一確かなのは、彼がまもなく巨額の富を手にするということ。今回の契約には1億ドル(約143億4,400万円)の保証が含まれ、パーディーは契約ボーナスとして4,000万ドル(約57億3,760万円)をすでに受け取っている。保証総額は1億8,100万ドル(約259億6,264万円)にのぼり、年平均100万ドル(約1億4,344万円)にも満たなかったこれまでの契約から、一気に桁違いの待遇となった。
その巨額の契約の裏には、49ersの将来のチーム作りに対するパーディーの配慮があった。今回の契約でパーディーはNFL最高額のQBとなったわけではなく、年平均では6人のクオーターバックを下回る水準だ。パーディーにとって重要だったのは、「1セントでも多く自分にかけてもらうこと」よりも、チームに有力選手を囲える余力を残すことだった。
「最終的な着地点は、双方にとって理想的だった」と、パーディーは49ersとの交渉を振り返る。
「この契約内容には自分も満足しているし、49ersも同じ気持ちだと思う。そのうえで、今の自分にとって大事なのはフットボールだけだ。キャップスペースの使い方を考えるのは自分の仕事じゃない。自分の役割は勝つこと、そしてこのチームを率いていくことだ」
このリーグで勝利は保証されていない。それをパーディーは2024年に痛感した。周囲の負傷が相次ぎ、チームは苦戦を強いられ、6勝11敗でシーズンを終えた結果、スーパーボウル進出から2年足らずで大幅なロースター再編を余儀なくされた。
そんな中で決着した今回の契約は、移行期にある49ersにとって新たな慣習の始まりとなるかもしれない。2024年の夏にはトップターゲットであるワイドレシーバー(WR)ブランドン・アイユークの契約問題で調整が難航したが、今回は時間的な余裕を持ってパーディーとの合意に至ることができた。
それだけでも、2025年シーズンに向けた準備に専念できる大きな要因となるはずだ。
「毎年のように、早めに契約をまとめたい選手がいて、交渉がシーズン直前まで長引いていた気がする」とパーディーは言う。
「それがロッカールームに影響していたかは分からないし、何かを特定したくはない。ただ、今年は主力の契約が早く片付いて、すぐに仕事に集中できた。ロッカールームで仲間と時間を共有し、新たに加わった選手たちと一から文化や基準を築けるのは、本当に素晴らしいことだ。今は全員がしっかりと一体感を持って取り組んでいるし、このオフシーズンを通じてもっとチーム活動を深めていくのが楽しみだ」
「言葉にするのは難しいけど、若手もベテランも、今は全員が本気で取り組んでいる。いろいろな活動を通して、チームメートとたくさんの時間を共有して、ケミストリーを築いていくことはすごく大事だと思っている。シーズン終盤にチームとして苦しい局面を迎えたとき、そうした積み重ねが力になる。隣にいる仲間がどんな人間で、どんな想いを持っているかを理解して、信頼できることが何よりも大切なんだ。契約の件が片付いたことは、チームにとっても組織にとっても、本当にありがたいことだった」
契約書のインクが乾き、数千万ドルが口座に振り込まれようとしている今、パーディーはあり得ないとまで言われたNFLキャリアの中で、2つの大きな目標を成し遂げた。次に彼が目指す頂が何かは、もはや言うまでもない。いよいよ、本気でその頂点に挑むときが来た。
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