ケリーOCの下で「爆発力があって効率的な」オフェンスを目指すとレイダースQBスミス
2025年05月22日(木) 17:27
チップ・ケリーのNFL復帰はほとんど注目を集めることなく実現した。かつてフィラデルフィア・イーグルスとサンフランシスコ・49ersでヘッドコーチ(HC)を務めていたケリーは、過去7シーズンを大学レベルで活動し、2024年はオハイオ州立大学で攻撃コーディネーター(OC)を務めた。
ラスベガス・レイダースの新HCピート・キャロルは、2025年にオフェンスの指揮を任せるべく、ケリーをチームに招き入れている。
ケリーはオレゴン大学での成功を経てNFLの世界に足を踏み入れた2013年に、そのハイテンポな攻撃スタイルでリーグを席巻した。しかし、相手ディフェンスはすぐにそのシンプルなスタイルに対応。イーグルスは2013年にトータルヤードで2位、得点で4位につけたが、ケリーの最終年にあたる2015年には、それぞれ12位と13位に順位を落とした。2016年は1シーズンにわたって49ersのヘッドコーチを務めたが、トータルヤードは31位、得点は27位という結果に終わった。
NFLでの経緯や、カレッジ・フットボール・プレーオフ優勝校であるオハイオ州立大学(OSU)への移籍前におけるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)での印象の薄い在任期間を考えれば、ケリーのNFL復帰に大きな注目が集まらなかったのも無理はない。オフシーズンの練習が本格化する中、ケリーがオフェンスをどのように展開するかは、依然として興味深いポイントだ。
ケリーはオレゴン大学時代に、レイダースの新クオーターバック(QB)ジーノ・スミスのリクルートに失敗している。また、昨年はオハイオ州立大学で、スミスのいとこにあたるワイドレシーバー(WR)ジェレマイア・スミスを指導していた。
ジーノ・スミスは『The Athletic(ジ・アスレチック)』のテッド・グエンに「俺たちは常に良好な関係を築いてきたし、それがスムーズな移行につながった」と話している。
「俺はこのオフェンスを学ぶ中で、3年間で3つの異なるシステムを経験してきた。でも、適応することができているし、それが自分の強みでもある。俺は適応できるんだ。今はちょうどその適応期間だけど、このオフェンスは本当に良い感じだし、楽しみにしている。詳しいことは言わないつもりだけど、俺たちは爆発力があって効率的なオフェンスを目指している」
前回、NFLでプレーコールを担当した際に、ケリーは当初の猛烈なペースを緩めた。今夏のトレーニングキャンプでは、プレーの速さとクオーターバックの裁量をどのように組み合わせるかが注目されるだろう。
スミスの強みの1つは、スクリメージラインで守備陣の動きを見極め、オフェンスを最適なプレーへ導くことだ。それは、ケリーが最初に採用したシステムでとっていた方法ではない。しかし、34歳のスミスは今回の新しいオフェンスで自分がより多くの裁量を持つべきだと考えているようだ。
「これまで一緒にやってきたどのコーディネーターも、俺がどれだけ映像を研究しているかを知っている」とスミスは語った。
「俺がスナップ前後の守備の動きをよく見抜けることも分かっている。だからこそ、彼らはフィールドに出てそれを実現させる機会を与えてくれるんだ。でもやっぱり、大切なのはグループとして何ができるかであって、自分1人の力じゃない。自分のことは信じているけど、全員の努力が必要だ。つまり、全員が常に同じ方向を向いていることを確かめないといけない。今はそれに取り組んでいる。チップも俺が試合を正確に読み取れることは分かっていると思う」
今オフシーズンのレイダースには多くの不確定要素がある。レイダースはスーパーボウル優勝経験を持つ73歳のヘッドコーチ、30代半ばのクオーターバック、8年間リーグから離れていたプレーコーラーを迎え入れた。オーナーのマーク・デイビスが率いるレイダースは、彼らが持つ経験にすべてをかけ、2002年を最後にプレーオフでの勝利を挙げていないチームをついに立て直そうとしている。
【RA】