2025年シーズン続行は「そこまで悩む決断ではなかった」とチーフスTEケルシー
2025年06月19日(木) 10:51
カンザスシティ・チーフスのタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーの華やかなキャリアは、2025年シーズンで13年目を迎えることになった。この決断は去る3月、1カ月にわたる熟慮の末に下されたものだった。
しかし、今年のオフシーズン中に初めてカンザスシティのメディア対応に応じたケルシーは、実際には引退を真剣に考えていたわけではなかったと明かしている。
「フットボールが大好きなんだ。正直、それほど深くは考えなかった」とケルシーは現地18日(水)のミニキャンプ後に語り、こう続けた。
「毎日こうして職場に来るのが本当に楽しい。自分にとってはそこまで難しい決断ではなかった。年齢は重ねているけれど、それでもこのリーグでまだ証明できることがたくさんあると感じている。そういう意味で言えば、そこまで悩む決断ではなかった」
ケルシーは3カ月前、自身のポッドキャスト番組“New Heights(ニュー・ハイツ)”で、キャリアの終わりがフィラデルフィア・イーグルスに敗れた第59回スーパーボウルになるのは理想的な結末ではなかったと語っていた。もしチーフスが史上初となる3年連続のロンバルディトロフィー獲得を達成していれば、「引退についてもっと考えていただろう」とも明かしている。
今なお自身のスーパーボウルでのパフォーマンス――キャッチ4回、39ヤードという内容――に囚われているように見えるケルシーは、今年2月の試合を振り返る中で「仲間の期待に応えられなかったように感じた」と明かし、「あれが最後の試合になるとは本当に思えなかった」と水曜日に話している。
また、今季に向けては優勝だけが唯一受け入れられる結果だと断言。
「シーズンが成功かどうかを判断する基準はそれしかない。それが今の自分の思考回路なんだ」とケルシーは語った。
ケルシーの直近のスーパーボウルでのパフォーマンスは、昨シーズンに見られた精彩に欠ける内容と変わらぬものだった。2024年シーズンは823レシービングヤードとタッチダウン3回にとどまり、大半をベンチで過ごしたルーキーイヤーを除けばキャリア最低の数字だった。シーズンを通しての存在感も、これまで毎年のように積み上げてきた記録と比べれば影が薄かった。将来的にプロフットボール殿堂入りが確実視されるキャリアの中では、物足りない内容だったと言える。
そんな不本意な結果を受けてか、ケルシーは2025年シーズンに向けた準備に力を入れており、オフシーズン中に「少し体重を落とした」と言う。もっとも、11kg近く落としたという一部の報道については否定している。
「今年は、オフシーズンの早い段階からランのフォームとかに本格的に取り組む時間が取れた。去年はその余裕がなかったからね」とケルシーは語り、「今は本当に調子が良い。この努力はきっと報われると思っている」と続けた。
チーフスのスタークオーターバック(QB)パトリック・マホームズも、ケルシーの変化を早くから感じ取っていたようだ。3週間前には「もしこれが最後のシーズンだったとしても、見た目では全く分からない」と、オフシーズンのワークアウト中の様子について語っていた。
水曜日にケルシーと引退について話したことがあるかと問われたマホームズは、記者たちに対してこう強調している。
「引退について話したことは一度もなかった。頭の片隅では意識していたかもしれない。長年プレーしてきた選手なら、また戻った時にこれまでのようなやる気があるかどうかは常に分からない。でも、戻ってくるには努力が必要だ。オフシーズンから努力しなければならない。誰もが試合に出たいと思っているけど、本当にきついのはオフシーズンなんだ。彼にとっては、自分の現在地を見極める再調整の時間だったと思う。俺が見た限り、そしてみんなも見れば分かるはずだが、彼は準備万端だ。オフシーズンもしっかりトレーニングを積んできたし、もう一度スーパーボウルを狙うチャンスに彼はワクワクしている」
最近のスタータイトエンドの中において35歳でシーズンを迎える例はまれだが、ケルシーはその例外となるべく準備を進めているようだ。来季以降の去就については今後も憶測が飛び交うだろうが、ケルシーは他の何よりも再び頂点に立つことだけに集中していると明言している。
「契約はあと1年だ。それは分かっているし、来年のことはまた別のタイミングで考えるつもりだ」とケルシーはコメント。
「チーフスの組織は、俺がどれだけチームを愛しているかを分かってくれている。他のチームでプレーしている自分は想像できない。時が来たらその時に対応する。でも今は、今シーズンの優勝だけに集中している」
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