新人の先発として浮き沈みを経験する覚悟を持つセインツQBショウ
2025年06月26日(木) 12:37
驚きの展開として、デレック・カーが現地5月10日に現役引退を発表した。
ニューオーリンズ・セインツのクオーターバック(QB)としてプレーしていたカーの決断は多くの人に衝撃を与えたが、その後任候補となっているタイラー・ショウにとっては完全に予想外の動きではなかったようだ。
ショウはヘッドコーチ(HC)ケレン・ムーアから事前に情報を得ており、それがカーの引退発表後にメディア対応を控えていたショウにとっては助けになった。
現在、ショウは先発の座を勝ち取った場合にそれを担う準備ができており、浮き沈みの激しい道のりに挑む覚悟を決めている。
ショウは『St. Brown Podcast(セント・ブラウン・ポッドキャスト)』で、肩のケガが原因とされているカーの引退について「彼が発表する前にケレンが練習で教えてくれた。その日は後にメディア対応を控えていたから教えてもらえてよかった。何も知らないまま臨みたくなかったしね」とコメント。
「あなたの言う通り、機会っていう言葉がずっと頭に残っている。いずれにせよ、彼がどんな人で、どれほど高いレベルでプレーしてきたかを考えれば、彼から学べるのは素晴らしいことだったと思う。俺は何が何でもここで競い合い、成長するつもりだ」
カーのセインツ退団ほどではないものの、ショウの加入はやや意外な動きだった。25歳のショウは2025年NFLドラフトの2巡目全体40位で指名を受けたが、これは多くの予想よりも早い段階での指名だった。
2018年に高校を卒業し、9月に26歳になるショウは、決して一般的な新人選手ではない。オレゴン大学でジャスティン・ハーバートのバックアップを務めた後、テキサス工科大学を経てルイビル大学へと移ったショウは、その過程で多くのケガに見舞われてきた。セインツに加入した現在も、パスラッシュのプレッシャー下でのプレー能力など、多くの点に疑問符がついている。
しかし、ショウはNFLにたどり着くまでの困難な道のりによって、これから待ち受けている浮き沈みに耐える力が養われたと考えている。
「自分が経験してきたことを思い返してみると、カートに乗せられてフィールドを離れたことも、ブーイングを浴びたこともあれば、MVPに選ばれたことも、先発を務めたことも、ハーバートのバックアップになったこともある。だから、0勝2敗でスタートしても、俺のプレーが最悪でも、何を言われても動じない」と語ったショウはこう続けている。
「大丈夫だ。そういう機会が来ること、どんな機会でもそうだけど、それが楽しみなんだ。取り組んでいく中で、みんなのことをもっと知っていく必要があると思う。繰り返しになるけど、俺はまだルーキーだ。年は上でも、みんなの尊敬を勝ち取って、自分の役割を果たさないといけない」
ショウは先発の最有力候補ではあるが、その座を自ら勝ち取る必要がある。ショウはスペンサー・ラトラーやジェイク・ヘイナーと競い合い、セインツの歴史の中でアーチー・マンニングが1971年に成し遂げて以来初めて、シーズン第1週に先発を務める新人クオーターバックになることを目指している。
それはショウにとって感謝すべき機会だ。
「振り返ってみて、その立場で何を犠牲にできるのかっていうことだと思う」とショウは話している。
「もし20歳のときに、“ドラフトで指名されるけど、その前に4年から5年待たなきゃいけないし、3回骨折するし、もうフットボールはやめようかって思う時期もあるし、気分が落ち込んでいろんな感情に襲われる。でも、それでも続けていれば指名される”って言われていたら、たぶんそうしていただろうし、実際にそうした。あの頃は“なんでこんなことが起きるんだ? 何が起こっているんだ? って分からないことばかりだった。それがまさにNFLであり、フットボールというスポーツなんだ」
今オフシーズンにカーが引退することを予想していた人は多くなかった。
波瀾万丈な大学時代を過ごしたショウが新人ながらセインツの先発候補になると予想していた人も多くなかった。しかし、それは現実となっている。
ショウはセインツの先発QBの座を勝ち取ろうと意気込んでおり、NFLの先発QBとして良い面も悪い面も、そして厳しい現実もすべて受け止める覚悟ができている。
【RA】