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複数のQBがリーダーを務める体制を歓迎するジャイアンツRBトレーシーJr.

2025年06月28日(土) 14:16

ニューヨーク・ジャイアンツのタイロン・トレーシーJr.【AP Photo/Tony Gutierrez】

興味深いクオーターバック(QB)の移籍騒動は、アーロン・ロジャースがピッツバーグ・スティーラーズと契約を結んだことでようやく幕を閉じ、スポーツ界で最も重要とされるポジションで繰り広げられた激動のオフシーズンに終止符が打たれた。

昨季に何度もクオーターバックを入れ替えていたニューヨーク・ジャイアンツは、ラッセル・ウィルソンとジェイミス・ウィンストンを獲得したほか、2025年ドラフト1巡目でジャクソン・ダートを指名し、3人のクオーターバックを手に入れた。これにより、ジャイアンツの状況はトレーニングキャンプが近づく中で興味深いものとなっているが、多くの人はウィルソンが先発の最有力候補として新シーズンを迎えることになると予想している。

ジャイアンツの新しいクオーターバック事情を間近で見てきたランニングバック(RB)タイロン・トレーシーJr.は、数の多さに強みを見出しているようだ。

現地27日(金)、『Good Morning Football(グッド・モーニング・フットボール)』に出演したトレーシーJr.は「最初に注目すべき点は、チーム内のリーダーシップがロッカールームやチーム全体の大きな助けになるということだと思う」と語り、こう続けた。

「もちろん、ラスことミスター・アンリミテッドがいる。それから、ジェイミスも手に入れた。彼は個性的で、チームの誰とでも仲良くできる人だ。そして、ミスター・クールデュードことジャクソン・ダートが自信満々に、イタリア人みたいな雰囲気でやって来た。イタリア人じゃないけどね。(トミー)デヴィートのことも忘れちゃいけない」

「彼らは俺たちが必要としているさまざまな要素をもたらしてくれている。それと、やっぱりラスはリーダーシップを発揮し、積極的に意見を言って、みんなに方向性をしっかりと伝えて、全員が同じ方向に進んでいる状態にしてくれる。そういうのが俺たちのフットボールチームには必要なんだ」

キャリア通算199試合に先発出場してきたウィルソンは、最も豊富な経験を携えてジャイアンツのQB陣にやって来た。しかし、昨シーズンにここ10年ほど同じような成績を収めているスティーラーズをそれ以上の成績に導くことができなかった上に、36歳という年齢もあり、今回はウィルソンにとってNFLで先発の座をつかむ最後のチャンスとなる可能性がある。

ウィルソンが先発の座を勝ち取り、シーズン第1週に先発出場すると予想している人は多い。しかし、トレーシーJr.によれば、ジャイアンツのロッカールームでリーダーとなっているのはウィルソンだけではないという。

トレーシーJr.は「グループのリーダーと言うつもりはない。ジェイミスとラスはお互いをリスペクトしていて、本当に良い関係だからね」と話している。

「彼らはそれぞれのやり方でリーダーシップを発揮することをお互いに許している。ジェイミスが何かを言いたがっているときに、ラスがこうだろって言いに来ることはない。ジェイミスが話して自分のやり方でけん引できるようにするんだ」

「それはすごくいいことだと思う。リーダーは1人だけじゃ足りないからね。声を上げる人も1人だけじゃダメだ。ラスやジェイミスだけじゃなくて、ランニングバックやラインバッカー、ディフェンシブエンドも声を上げるべきだ。分かるだろ? チーム内に何人もリーダーがいることで、みんなが、特に若い選手たちが、自分たちが進んでいる道はこれだと分かるようにしないといけない」

ジャイアンツのQB陣の層は昨年よりも厚くなった。ブライアン・ダボールHCは間違いなく、自身の進退をかけて指揮を執ることになるが、少なくともチームの苦戦を説明する際に、クオーターバックの経験不足や才能の欠如を理由に挙げることができなくなっている。

理論上、ジャイアンツはQBポジションに変化を加えたことでより良い状態になっているはずだ。そうでなければ、2つ目の1巡目指名権で獲得したダートを起用し、彼の実力を見極める理由ができるだろう。

その時が来れば、ダートの準備はできているはずだとトレーシーJr.は語っている。しかしその一方で、先発の座を勝ち取っていない場合は、無理にその仕事を要求すべきではないとも指摘した。ウィルソンやウィンストンがいるおかげで、ジャイアンツが2025年にダートを無理に出場させる必要はなくなっている。

トレーシーJr.はダートについて「彼は自信にあふれているけど、同時にものすごく謙虚なんだ。自分がすべてを知っているわけじゃないと理解している」とコメントした。

誰が司令塔を務めようと、ジャイアンツは2024年シーズンよりも成績を上げなければならないと理解している。ダボールHCとジェネラルマネジャー(GM)ジョー・シェーンの進退は、2025年シーズンの結果に左右される可能性が高い。

それを踏まえた上で、トレーシーJr.は有望なルーキーシーズンを基盤にさらなる飛躍を目指す中で、1つの目標を掲げていると明かしている。

「支配することだ」と強調したトレーシーJr.は「去年の自分をはるかに上回ることが、今できる最善のことだと思う。そして、今年はその数字を何倍も伸ばすつもりだ。去年は800(ランヤード)だった。今年は1,500ヤードを狙う。去年の数字は去年のものだ。もう関係ない。今はもう新しい年だ」と続けた。

【RA】