NFL本部での銃撃事件を受けてリーグ関係者が哀悼の意を表明
2025年07月30日(水) 12:08
現地28日(月)、ニューヨーク・マンハッタンにあるNFL本部で発生した銃撃事件により4名が死亡した。これを受け、リーグに関わる複数のヘッドコーチ(HC)や選手たちが、翌日にかけて深い悲しみと哀悼の意を表明した。
ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長によれば、犯人はNFLが入居するフロアに向かおうとしていたものの、誤って別のエレベーターに乗ったという。NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは、負傷者の中にNFL職員が含まれていたことを明らかにしている。
ニューヨーク・ジェッツのアーロン・グレンやニューヨーク・ジャイアンツのブライアン・ダボールをはじめとする複数のヘッドコーチ(HC)が、記者会見の冒頭でこの事件に言及。グレンHCは、もっと気持ちの良い朝を迎えられたら良かったと語り、ダボールHCはパークアベニュー345番地で起きた悲劇的な事件と表現した。
アトランタ・ファルコンズのラヒーム・モリスHCは「ニューヨークで起きた無意味な暴力について、まず触れておきたい。われわれの仲間を含め、被害に遭われたすべての方々に心から祈りを捧げます」と述べた。
カンザスシティ・チーフスのアンディ・リードHCも被害に遭われた方々に自身とスタッフ一同の思いを届けたいとコメント。
「リーグ本部にいた人たちは、本当に大変な思いをしたはずだ。ひどい出来事だ。どこかで平和を保たなければならない。こうしたことがあまりにも多すぎる」とリードHCは述べている。
グッデルは職員宛ての文書の中で、リーグ職員1人が襲撃で重傷を負い、病院に搬送されたものの容体は安定していると報告した。
「迅速かつ的確に対応してくれた法執行機関のみなさん、そして人命を守るために自らの命を捧げたイスラム警官に、深く感謝している」とグッデルは述べた。事件当時、非番だったディダール・イスラム氏は、企業の警備業務に従事していた最中に襲撃を受け、命を落とした。
グッデルは法執行機関の迅速な対応を称えると同時に、イスラム氏の勇敢な行動に敬意を表した。また、ニューヨークで勤務するNFLの職員に対しては、火曜日はリモート勤務もしくは休暇を取るよう指示が出されており、今後は追加の警備体制も敷かれる予定だという。
「みなさん一人ひとりがNFLファミリーの大切な一員だ。われわれはこの困難を共に乗り越えていく」とグッデルは語った。
シカゴ・ベアーズのベン・ジョンソンHCは今回の銃撃事件について、「トレーニングキャンプに入って選手たちが懸命に取り組んでいる中で、人生にはフットボール以上に大切なことがあると気づかされる」と述べている。
アダムズ市長によると、捜査当局は月曜日にラスベガス在住のシェーン・タムラがビルのロビーで複数の人物を銃撃した後にNFLのオフィスに向かおうとしていたが、誤って別のエレベーターに乗ったとみている。
「こういう話を聞くのはいつだってつらいし、気持ちを集中させ続けるのも本当に難しい。でも、自分には果たすべき仕事があるから、やらなければならない。それでも、このような出来事に直面した家族のことを思うと、やはり胸が痛む」とグレンHC。
警察によると、タムラには精神疾患の既往歴があり、遺体からは支離滅裂なメモが見つかっているという。その中には、自身が慢性外傷性脳症を患っているとの主張と、それに関連したNFLへの不満が記されていたとのこと。この病状は死後にしか診断できない進行性の脳疾患とされている。
タムラは10年前にカリフォルニア州で高校フットボールをプレーしていたが、NFLでのプレー経験はなかった。
ダボールHCは、今回の件について選手やスタッフと安全面に関する話し合いはまだ行っていないと説明。ジャイアンツの選手会代表を務めるキッカー(K)グラハム・ギャノは、月曜日の夜に練習施設で銃撃事件の報道を目にし、火曜日の朝にリーグとの関連性を知ったという。ただし、自身やチームメイトの安全について特に不安は感じていないと述べた。
「ここのセキュリティスタッフは本当に優秀だ。リーグ本部であろうとなかろうと、こうした出来事が起きるのは本当に悲しい。ただ、ここのセキュリティチームには全面的な信頼を置いている」とギャノは話している。
プロボウルに3度選出されているテネシー・タイタンズのディフェンシブタックル(DT)ジェフリー・シモンズは、火曜日の朝に今回の銃撃事件の報道を目にした。8時からの練習に備えていたため詳しく内容を確認する時間はなかったが、だからこそ、近年フットボール界でもメンタルヘルスの重要性が取り上げられているとシモンズは話している。
「メンタルヘルスは今の世の中ですごく大きな問題だし、特にこの施設の中では、自分たちが責任を持たなければならない」とシモンズは言う。
「誰かにとって、この施設にいる最後の日がいつになるかなんて分からない。逆に、ずっとこのチームにいるかもしれない。そういうこともリーダーの立場として話している。だからこそ、誰に対しても同じように接したい」
クリーブランド・ブラウンズのオーナーであるディー・ハスラムも、火曜日のトレーニングキャンプ冒頭のあいさつで、ニューヨークで起きた“恐ろしい行為”の犠牲者に対する哀悼の意を表した。
「昨日NFL本部で起きた出来事に触れずに始めるわけにはいきません」と、夫ジミー・ハスラムと並んで登壇したディー・ハスラムは語った。
「愛する人を失ったすべてのご家族に心からお悔やみを申し上げるとともに、殉職した警察官に敬意を表します。そして、負傷された方々の回復を心から祈っています」
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