ついに健康を取り戻したレイブンズLBオジャボ、契約最終年に速く「自由に」プレーすることに集中
2025年08月13日(水) 15:16
ボルティモア・レイブンズのラインバッカー(LB)デビッド・オジャボがインディアナポリス・コルツのクオーターバック(QB)アンソニー・リチャードソンに向かって自由に走り込んだプレーは、プレシーズン第1週で最も強烈なヒットの1つとなった。リチャードソンはそのプレーで負傷している。
そのヒットはコルツ側のミスによるものだったが、かつてドラフト1巡目指名候補と見なされていたオジャボは、新人契約の最終年に自身の将来をかけて戦っていることを改めて思い知らされたようだ。
3シーズンで18試合しか出場していない25歳のオジャボは、ついに健康を取り戻した。
チーム公式記録によると、オジャボは現地11日(月)に「(完全に)健康な状態で迎える初めてのオフシーズンだ」と語り、こう続けたという。
「自分らしく過ごせている気がする。自信もあるし、とにかく思い切りやっている。リハビリのことなんて考えず、フットボールのことだけを考えている。調子はいいし、日々良くなっていきたいと思っている」
ナイジェリア出身のオジャボは、小学生の頃にスコットランドへ移り、17歳のときにニュージャージーに引っ越した。そのため、アメリカンフットボールを始めたのは他の選手より遅かった。
オジャボはミシガン大学での初年度にあたる2019年に試合に出場していない。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けた2020年の出場は6試合にとどまった。オジャボが頭角を現したのは2021年であり、そのシーズンは先発としてエイダン・ハッチンソン(デトロイト・ライオンズのディフェンシブエンド/DE)の逆サイドでサック11回を記録した。
運動能力に優れ、ドラフト1巡目指名が期待されていたオジャボだが、プロデーでアキレス腱(けん)を負傷したことで、指名順位は2巡目まで下がった。レイブンズは1年目の出場機会が少なくなることを見越しつつ、オジャボを指名。実際、オジャボは2022年に2試合しか出場できず、サック数は1回にとどまった。翌年もケガに悩まされたオジャボは3試合に出場してサック1回という結果でシーズンを終えている。
オジャボは昨シーズンに13試合に出場したが、多くの人から期待されていたような躍進は果たせなかった。
ほとんどの主力選手が欠場したプレシーズンゲームに出場したことは、オジャボの現状を物語っている。ヘッドコーチ(HC)ジョン・ハーボーはオジャボのような選手にとって実戦経験は重要だと指摘し、次のように述べた。
「試合の中でいろんな要素を見た。彼はとてもダイレクトなプレーをしていると思う。デビッド・オジャボについて覚えておくべきことは、彼はフットボールをたくさんプレーしてきた選手じゃないということだ。フットボールを始めたのは高校と遅く、高校でプレーしたのも1年だけかもしれない。大学では実際、1年しかやっていなくて、フルシーズンでプレーしたのはそれだけだった。そして、プロ入り前に負傷したんだ」
「フットボールはプレーすればするほど感覚が磨かれるスポーツの1つだ。どのスポーツもそうかもしれないが、彼には大きな可能性があるし、それを目の当たりにすることになると思っている。キャンプでもすでにその片鱗は見えていたし、それを試合で皆さんにお見せできることを本当に楽しみにしている。そう、彼はまさに将来性のある選手だ」
デプスチャートで下位に位置しているオジャボは、単に出場機会を求めているだけではなく、契約最終年を迎える今シーズンに、まずは53人のロースターに入ることを目指している。オジャボはアウトサイドラインバッカー(OLB)陣の競争が激しいことについては気にせず、ただ速くプレーすることに集中していると語った。
「とにかく自由になること。試合に出て、全力でプレーし、出番が来たら100%の力を出し切るだけ」と強調したオジャボは「プロの世界では誰もが優秀だ。だから、ためらったり、自分の本当の役割以外のことを考えたりしたら負けてしまう。つまり、とにかく自由になること。自由に楽しんでプレーすることが大事だ」
OLBコーチのマット・ロビンソンはトレーニングキャンプでオジャボの成長を感じていると明かした。
ロビンソンは「彼にはさまざまな形で試合に影響を与えてほしいと思っている。エッジを強固にしたり、フィジカルなプレーをしたり、ポケットを押しつぶして相手クオーターバックにぶつかったりね。試合ではその方向で進歩している姿が見られたし、彼は今後もそれを証明する機会を得ると思う」と述べている。
キャリア4年目に急成長を遂げる選手はあまりいないが、バックグラウンドを踏まえると、オジャボはまだまだフットボール選手として若手だ。オジャボが健康を維持できれば、NFLで運動能力に優れたプレーメーカーとして活躍する姿をついに見ることができるかもしれない。
【RA】