レイブンズのトレード撤回は「ジェットコースターのような」経験だったとレイダースDEクロスビー
2026年03月18日(水) 15:00
ディフェンシブエンド(DE)マックス・クロスビーをめぐる騒動――合意のもとでラスベガス・レイダースからボルティモア・レイブンズにトレードされるも、レイブンズが取引を撤回したためレイダースに戻ることになった――は、ここ数年のNFLで最も衝撃的な展開の1つとなった。
外から事態を見守るファンから、意思決定に関わる関係者まで、関わった全員にとって大きな騒動となったが、最も直接的に影響を受けたのは、まさにその事態の渦中にいたクロスビー自身だった。
現地17日(火)、5度のプロボウル選出経歴を持つクロスビーは自身のポッドキャスト番組『The Rush(ザ・ラッシュ)』でこの経験について語り、自身の視点からトレードが破談に至った経緯を詳細に説明した。
「正直、これまでの人生でいろいろと大変な目に遭ってきたけど、あの一連の状況は、一番独特で、クレイジーで、とんでもない、まさにアップダウンの激しいジェットコースターのような5日間だったと言える。本当にクレイジーだった」
レイブンズがトレードを撤回した翌日にソーシャルメディアでアルコールや薬物を断ってから6年目という節目を祝ったクロスビーは、確かに多くの困難を経験してきた。
2019年ドラフト4巡目指名を受けたクロスビーは、守備部門年間最優秀新人賞の投票で2位につけた後、オフシーズンにアルコールや薬物への依存に向き合うために自らリハビリ施設に入所した。問題を克服したクロスビーは2021年シーズン以降、毎年プロボウルに選出され、7シーズンで合計69.5回のサックを記録するリーグ屈指のパスラッシャーとなっている。そうした不屈の精神が、ラスベガスからボルティモアへ移り、再びラスベガスに戻るという奇妙な状況を経た後も、高いパフォーマンスを発揮できるという自信につながっているのだろう。
「俺は外部からの評価のためにプレーしているわけじゃない。大好きで、子どもの頃からずっと情熱を注いできたことだからやっている。俺は自分のレガシーや勝利、チームメイトのためにプレーする。今回の出来事でそれがさらに明確になった。今回のことはつらかったかって? 確かに大変だったけど、これまでの人生でもっとひどいことを経験してきた。本当の逆境を何百万回も経験してきたんだ」
クロスビーはその活躍と尽きることのないエネルギーで理想的なレイダーとなった。しかし、レイダースが競争力をなかなか発揮しない状況に加え、膝のケガを理由に2025年シーズン最後の2試合でベンチに下げられたことへの不満もあり、退団への道が開かれた。
レイブンズは3月6日、2つのドラフト1巡目指名権を提示して交渉を進めた。それは、再建中のレイダースがフランチャイズの顔であるクロスビーを手放すのに十分な見返りだった。3月11日に新リーグイヤーが始まるまで正式に合意することはできなかったものの、その後の数日間ではレイブンズやレイダースだけでなく、リーグ全体があたかも取引が成立したかのように振る舞っていた。それは3月9日から10日にかけてのフリーエージェント交渉期間中に特に重要な心構えだったと言える。その間、レイダースは大規模な補強に踏み切り、一方のレイブンズもクロスビーの3,580万ドル(約56億8,275万円)のキャップヒットを見据えて行動していた。
しかし、レイダースは3月10日夜にレイブンズがトレードを“撤回”したと発表。『NFL Network(NFLネットワーク)』のマイク・ガラフォロはその直後に、この判断は医療上の理由によるものだと報じた。
オフシーズンに半月板の手術を受けたクロスビーは火曜日に自身のポッドキャストで、レイブンズのジェネラルマネジャー(GM)エリック・デコスタに会った際に違和感を覚えたと明言。レイブンズは最終的に、医師の一人が膝の検査結果と今後の見通しに懸念を抱いていると本人に伝えた。レイブンズが“より多くの意見”を求めているとした一方、クロスビーは“恐怖を感じ、何か問題があるのではないかと心配”し、特に再手術が必要になるかどうかを懸念していた。
トレードが白紙に戻ったことを知った際に怒りを覚えたと明かしたクロスビーは、次のように話している。
「めちゃくちゃ腹が立って、混乱して、ありとあらゆる感情が一度に押し寄せてきた」
しかしその後、手術の担当医であるニール・エラトラシェの説明で安心感を得たクロスビーは、キャリアを始めた場所に戻ることに心地よさを感じている。クロスビーはトレードが発表された直後もレイダースでキャリアを終えたいと話していた。
クロスビーはトレード撤回後にエラトラシェ医師から電話を受け、「君はすべてを正しく進めているし、すべて順調だ。計画通りに進めていこう。トレーニングキャンプまでには復帰できるはずだ」と言われたと明かしている。
レイダースに戻ることについて、クロスビーはこうつけ加えた。
「物事には理由がある。俺は自分が何者か、はっきり分かっている。健康だし、リハビリも全力で頑張っているし、やるべきことをやっている。自分はボルティモアにいる運命じゃなかった。それだけだ。俺はレイダーになる運命なんだ。心の底からそう信じている。それだけだ、分かるだろ。これ以上は言わない」
クロスビーは約1週間前に去ったときよりも競争力が高まった可能性のあるチームに戻るという、やや驚くべき状況に置かれている。レイダースは4月にドラフト全体1位指名権を用いてフランチャイズクオーターバック(QB)となり得る選手を獲得する見込みで、その最有力候補はハイズマントロフィー受賞者のフェルナンド・メンドーザだ。また、レイダースはクオーターバックを守るためにセンター(C)タイラー・リンダーバウムをレイブンズから獲得した。そうした中、クロスビーはDEクイティ・ペイやラインバッカー(LB)ネコビ・ディーン、LBクエイ・ウォーカー、コーナーバック(CB)タロン・ジョンソンといった新戦力に囲まれることになる。レイダースは思いがけずクロスビーとの契約を継続することになったにもかかわらず、こうした選手の獲得も財政的に問題なく実行することができた。
クロスビーのトレードに合意していなければ、レイダースがこれほど大胆に資金を投じることはなかったかもしれない。しかしクロスビーは、そうした仮定の話も、結局実現しなかった大型トレードの内部事情も気にしていないようだ。
「つまり、誰もがそれぞれの説――陰謀論――を持っているけど、何が真実かを認める人はどこにもいない」と語ったクロスビーは「結局のところ、そんなことはどうでもいい。俺はいるべき場所にいる。それは分かっている」と続けた。
【RA】



































