チーフスHCリード、フィッシャーのプレーに共感
2017年01月18日(水) 11:13カンザスシティ・チーフスのヘッドコーチ(HC)アンディ・リードはタイトエンド(TE)トラビス・ケルシーほど痛烈に審判を批判したわけではない。ケルシーは現地15日(日)のピッツバーグ・スティーラーズ戦、オフシャルに対して“この舞台で働く資格がない”と罵倒。しかしながら、HCリードもタックル(T)エリック・フィッシャーに与えられたホールディングの判定には不服であるともらした。2ポイントコンバージョンは失敗に終わり、極端に言えば、この判定によってチーフスの勝利の芽は摘み取られたのだ。
リードは16日、『Kansas City Star(カンザスシティ・スター)』を通じて「フィッシュ(フィッシャー)がその判定によって注目を集めるのは分かっている。起きたこと全てが完璧に正しいとは思わないが、コールはなされたゆえ、われわれはそれに従うだけだ」と発言し、「試合中には、賛成できることも賛成できないことも多々ある。過ぎたことを悔やんでももう仕方のないこと。罰金は食らいたくないしね。だが、やっぱりフィッシュは自分のやるべきブロックをしたまでだと思う」と続けた。
たとえ別の感情を内に秘めていたとしても、リードのコメントはチーム責任者としての立場をわきまえた発言となっている。しかし、知将はまた、疑問の残る判定にこだわる必要はなく、次に進むことが重要であることも熟知している。ビル・ベリチック(ニューイングランド・ペイトリオッツHC)が率いる選手が判定に文句をつけたシーンを見たことはないはずだ。16年間を通し、ベリチックはフットボールの試合の中で自分の手に負えないこと、つまり、審判の判定には全く動じないチームを作り上げてきたのだ。これはチームにとってとてつもないアドバンテージになる。
リードはこのようにも述べている。
「しかし、あのプレーの前にもたくさんチャンスはあったんだ。そこを決められなかったのだから、その判定を言い訳にすることはできない」
仮に選手たちが正しかったとしても、リードは彼らにこれ以上引きずってほしくはないと願っている。ここで、『Scorecasting(スコアキャスティング)』という本に触れたい。サブタイトルは“見えない影響力がスポーツのプレーを変え、勝利を定めている”だ。この本の著者であるL.ジョン・ワーゼイムとトビアス・ジェイコブ・モスコウィッツは審判たちがいかにして試合を決定づける場面から自分の存在を消そうとしているかについて、1つの例を挙げながら話を展開している。その例とはニューヨーク・ジャイアンツのクオーターバック(QB)イーライ・マニングとワイドレシーバー(WR)デビッド・タイリーのヘルメットキャッチだ(マニングが相手のディフェンス選手に“しっかりとつかまれている”と判断され、ボールデッドが宣告されてもおかしくなかったプレー)。だが、プレーは途切れることなくマニングはタイリーへの中距離パスを成功させた。これがいわゆる審判による“判定の飲み込み”だ。試合の勝敗を左右するプレーの際、審判は全てをファウルにするのではなく、状況によっては判定を下さないということも必要になるということだ。
今回の結果を引きずることがなければ、2018年の地区ラウンドで成長したチーフスの姿を見ることができるだろう。