DL補強を進めるバッカニアーズがジャイアンツからDEピエール・ポールを獲得
2018年03月23日(金) 10:56
ニューヨーク・ジャイアンツが新たな大型トレードを成立させた。
ジャイアンツはディフェンシブエンド(DE)ジェイソン・ピエール・ポールと2018年ドラフトの4巡目指名権(全体102位)をタンパベイ・バッカニアーズに送り、見返りとして2018年ドラフトの3巡目指名権(全体69位)と4巡目指名権(全体108位)を獲得した。これは両サイドが現地22日(木)に発表した動きだ。
バッカニアーズのジェネラルマネジャー(GM)ジェイソン・リヒトは次のような声明を発表した。
「ジェイソンはエリートクラスのエッジラッシャーであり、われわれのディフェンスにすぐさま良いインパクトを与えてくれるはずだ。われわれはプロボウルに2度出場した情熱的かつ、優秀なディフェンシブエンドとしてリーグで地位を確立した選手をチームに加えることとなる。ジェイソンは驚くほど一生懸命にプレーし、ディフェンス面でランにもパスにも対応できるとてもユニークな能力の持ち主だ」
このトレードを最初に報じたのは『ESPN』だった。
先シーズン、ピエール・ポールはジャイアンツと4年6,200万ドル(約65億3,000万円)で契約を交わした。『Spotrac(スポトラック)』によると、今回のトレードで今季のジャイアンツのサラリーキャップからは250万ドル(約2億6,000万円)分が消えるが、1,500万ドル(約15億8,000万円)分がデッドマネーとして発生するようだ。
ジャイアンツの新たな3-4ディフェンシブスキームにフィットしなかったピエール・ポールをバッカニアーズが獲得し、1,750万ドル(約18億5,000万円)のキャップナンバーと1,125万ドル(約11億8,000万円)の年俸を引き継いだ。
ジャイアンツにとってピエール・ポールのトレードは今オフシーズンにGMデーブ・ジェトルマンが行ってきたロースター改革の一環に過ぎない。ジャイアンツは今月初旬にロサンゼルス・ラムズからラインバッカー(LB)アレック・オグレツリーを獲得していた。
ピエール・ポールを売りさばいたことでサラリーキャップの柔軟性を手にしたGMジェトルマンはオデル・ベッカムとの契約延長の際にそのキャップの余裕を利用するのだろう。また、この動きはジャイアンツが今ドラフトの全体2位指名権をブラッドリー・チャブのようなパスラッシャーに充てる合図にも思われる。『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートによると、元ノースカロライナ州立大学のスター選手であるチャブは先日、ジャイアンツでプライベートのワークアウトを行っており、来月にはチームを訪問する予定となっているとのこと。これらに加え、今回の動きから見て取れるのは老いつつあるクオーターバック(QB)がけん引するチームが大々的にロースター再建に向かう様子である。
一方で、ピエール・ポール加入は今オフシーズンのバッカニアーズによるパスラッシャー陣への取り組み方を象徴している。チームは先ごろ、DEビニー・カリーとタックル(T)ボー・アレンを獲得してディフェンシブライン(DL)を強化した。2017年シーズンはリーグ最下位となる22サックを記録してしまったバッカニアーズがピエール・ポールを加えることでさらなる守備陣の活性化を期待している。
ピエール・ポール、カリー、そして、アレンと共にジェラルド・マッコイやノア・スペンスがバッカニアーズのDLに深みをもたらすだろう。
今オフシーズン序盤から守備の穴を埋めようと動いてきたバッカニアーズはロサンゼルス・ラムズのロバート・クイン獲得も画策していたようだ。それが実現しなかったため、チームは先シーズンに8.5サックと68タックルをマークしたピエール・ポールへと狙いを変えている。
ドリュー・ブリーズ、マット・ライアン、キャム・ニュートンといった実力派QBがひしめく地区でプレーするバッカニアーズは相手QBを追い詰めるプレーメイカーを絶対的に必要としていた。22日のトレードによってバッカニアーズはその目標を1つ達成できたのではないだろうか。
ピエール・ポールは『Instagram(インスタグラム)』でこのようなコメントを残している。
「今日という日はうれしくもあり、ほろ苦くもある。8年間も世界的なチームの一員になれるなんて自分は本当に恵まれていたし、ファンにも心から感謝している。NYジャイアンツでのキャリアを思い返して見ても、このチームに対する感謝の気持ちしか浮かんでこない。今後はタンパベイ・バッカニアーズの一員として新たなキャリアを積み上げていくが、これからもずっとNYシティで過ごした日々を大切にしていくつもりだ。8年間、本当にありがとう!」
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