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マイアミの奇跡は「すばらしいプレーだった」とQBタネヒル

2018年12月10日(月) 12:52


マイアミ・ドルフィンズのケンヤン・ドレイク【AP Photo/Lynne Sladky】

ニューイングランド・ペイトリオッツから白星を奪い、困惑させた状態で地元へと送り帰す方法の1つとして、残り時間なし、69ヤードからのプレーで2回のラテラルを絡ませて決勝タッチダウンを奪う手がある。

現地9日(日)、マイアミ・ドルフィンズは今シーズンのどのゲームよりも劇的な白星を手にした。ペイトリオッツが10シーズン連続でAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)の地区優勝を決するまで残り16秒と迫っていたところで、ドルフィンズのランニングバック(RB)ケンヤン・ドレイクが54ヤードの見事なランを見せ、チームを34対33の逆転勝利へと導いたのだ。

試合終了残り16秒でクオーターバック(QB)ライアン・タネヒルが14ヤードのパスをケニー・スティルスに投じ、スティルスがデバンテ・パーカーに、そして、パーカーがドレイクへと横にボールを流した。足の速いドレイクがペイトリオッツ守備陣をかき回し、守備についていたロブ・グロンコウスキーの足をまごつかせてゴールラインを駆け抜けた。

タネヒルは「あのプレーは全部がめちゃくちゃだった。ケンヤンがいるのが見え、パーカーには“投げろ! 投げろ!”と言ったんだ。そして彼はボールを投げ、ケンヤンがインサイドに戻ってきた。・・・そして、ケンヤン(とロブ・グロンコウスキー)が10ヤードくらい離れたところに見えたんだ。自分は“グロンコウスキーがフィールドに? それなら行けるじゃないか!”と思った。だから、そうだね、本当にすばらしいプレーだったよ。後ろから追いかけていたが、振り返って、全部の感情がわけの分からない状態になった」と明かした。

ドルフィンズのヘッドコーチ(HC)アダム・ゲイズは記者に対し、このプレーは最初から考案されていたものが実行されたのだと語っていた。

「われわれは毎週金曜日と土曜日にそういったプレーに取り組む。ちょっと退屈な作業ではあるんだ。なぜなら、3年間くらいそれをコールする機会などないのだからね。それでも、特に今年の彼らは一生懸命に取り組んでいた。そして、本当に実行して見せたんだ」

「あのようなプレーは何度か見たことがある。別の立場からはね。しかし、今回のものは当然ながら、ヘッドコーチとして初めて見たものだった」

それではなぜ、このようなプレーが生まれたのだろうか。

今季のタネヒルが肩の負傷によって5試合に欠場していたことからも、ドルフィンズがヘイルメリーに挑戦しようとしなかったのは納得できる。しかし、気になるのは最後のプレー時になぜグロンコウスキーが守備をしていたのかだ。グロンコウスキーはドレイクに対するタックルを行う角度にはおらず、ドレイクのスピードについていける選手でもなかった。ましてや、ドレイクを捕まえようとした際のグロンコウスキーは足が追い付かずにつまずいてもいた。

どうやら、ペイトリオッツのHCビル・ベリチックはミドルレンジのパスを防ごうとしてグロンコウスキーを配置したようだ。

なぜグロンコウスキーが守備をしていたのかと問われたベリチックHCは「そうだな、彼らはディープに投げることもできた。ドルフィンズは一か八かのプレーを選択することもできたんだ。20ヤードぐらいのパスプレーをね。そうして、結局はとんでもないプレーとなった」と答えていた。

パスラッシュを4人、ドロップを7人で行ってきたことで、ドルフィンズのスローに対するペイトリオッツの守備態勢は万全のようにも見えた。だが、この日の場合はそれでも無理だったようだ。タネヒルはドレイクがボールを持ったお気に入りのシーンについて、このように語っていた。

「ドレイクは(40ヤードを)4.3秒で走れるんだ。グロンコウスキーはたぶん、4.6とか4.7秒くらいだろう。自分たちの中ではそのマッチアップに自信があったよ」

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