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NFLコミッショナー、「リプレー検証については再度検討」

2019年01月31日(木) 10:43

ロジャー・グッデル【AP Photo/David J. Phillip】

NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは現地30日(水)、記者に対してNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームでノンコールだったロサンゼルス・ラムズのコーナーバック(CB)ニッケル・ロビー・コールマンのプレーに対して「コールされるべきだった」と述べ、さらには「リーグは再度インスタントリプレー検証について検討する」と明かした。

アトランタで行われたコミッショナーの記者会見は、主にノンコールやそれに関してリーグが今後どのような対応を見せていくのかなどといったフィールド上の問題に関する質問が中心となっていた。

グッデルコミッショナーはラムズとニューイングランド・ペイトリオッツが対戦する第53回スーパーボウルに先立ち、次のように語っていた。

「基本的なことから始めさせていただきたい。われわれもファンのフラストレーションは理解している。(セインツのヘッドコーチ/HCであるショーン・ペイトンや)そのチーム、そして、選手たちとも話をした。彼らの憤りも理解している。われわれは確実にその問題に取り組みたいと思っている。試合後にジャッジが議論されるというのは、いかなる時であってもわれわれにとって決して良い結果ではないということだ」

ペイトンHCが1月20日にラムズ戦で受けた被害は大きかった。オーバータイムの末に敗戦したニューオリンズ・セインツだったが、正当なコールがなされていれば第4クオーター後半にゲームを決定付けるファーストダウンを奪えていたはずだった。ペイトンHCはそのプレーについて、「だからこそ、われわれはもっとリプレー検証が必要なんだ」とコメントしている。

このプレーのジャッジが今後のリプレー検証の幅を広める可能性はあるかと問われたグッデルコミッショナーはこう答えた。

「それらの問題に対処するため、われわれは可能なことはできる限り何でもやり、テクノロジーの導入にも一生懸命に取り組んできた。しかしながら、テクノロジーがそれらすべての問題を解決するわけではない。試合はロボットによってジャッジされているわけでないし、今後もそうなることはない。しかし、われわれはこれからも同じ道を歩んでいかねばならない。あの日曜日の晩、コーチのショーン・ペイトンは試合直後に(審判部の上級副社長)アル・リバーロンと会話したはずだ。アルは彼に対し、“われわれはあのプレーについてはコールされるべきだった”と伝えていた。私もショーンと話をしたし、また、(フットボール運営部門社長の)トロイ・ビンセントも彼と話をした。私はセインツのオーナー(ゲイル・ベンソン)とも会話している。コーチはまた、競技委員会(委員長)のリッチ・マッケイとも連絡を取ったようだ。それゆれ、われわれ全員がこの問題を認知しており、それに関する密なコミュニケーションがあることは確かだ」

「われわれはインスタントリプレー検証について再度検討する。率直に言ってこの検証をどう拡大していくかについては過去15年から20年にかけていろいろな提案がなされてきた。すべてのジャッジをカバーすることはない。・・・より複雑化しているのはそれが“ノンコール”だったということ。フラッグが投げられなかった場面をさかのぼってリプレーオフィシャルやニューヨークの誰かに検証させることについては多くのコーチやチームが抵抗を示しており、あまりサポートが得られてこなかったのも事実。過去、それに関する投票はなかった。だからといって今後もないという意味ではなく、競技委員会とはそれに対する答えが出せるかどうかを協議する予定だ。ただし、多くのチームが理論上は反対の立場を取ってきたのが現実だ」

競技委員会は3月に開催されるリーグの年次ミーティングまでにリプレー検証について調査することが予想され、グッデルコミッショナーはその議論の際にどのような役割を果たすのかと問われた際、以下のように答えている。

「私の考えとして、自分の役割は競技委員会に分析することが極めて重要であることを認識させ、現段階よりもさらに良い解決策が見いだせないかを考えさせるところにある」

「競技委員会ではいつも解決策ばかりを考えているわけではなく、その解決策に対する想定外の結果までをも考慮している。その一部こそがノンコールのプレーに対するジャッジやニューヨークの判断を仰ぐことについてへの抵抗感だ。もしこれが実際に起きた場合、1つのプレーで複数のファールを検証する必要があるかもしれない。自分が提案するわけではないが、競技委員会はこれに対する解決策を模索しなければならない。彼らは何が解決策となるのか、想定外の結果にはどんなものがあるのかを考えながら、ゲームの本質を損なわせない競技性を維持しつつ、さらにはジャッジを改善していく方法を見つけ出そうとしている」

少し危険なにおいのするインスタントリプレー検証問題に関するグッデルコミッショナーの発言は、ペイトンHC以外のリーグの競技委員会メンバーによる以前の発言とも似ていた。

コミッショナーはまた、オフィシャルのコールミスを原因としてNFCのタイトルゲーム結果に介入し、覆すことも可能ではあったという考えを完全否定した。これについてはトム・ペリセロが『Twitter(ツイッター)』を通じて示しているように、ルールブックにもコミッショナーがコールミスによる試合結果を操作することはないと分かりやすく記載されている。

ペナルティを与えるべき場面が何度かあったことは確かだと強調しつつも、グッデルコミッショナーは最後に、日ごろから難しいジャッジを行うオフィシャルの苦労をねぎらう場面も見せていた。

「オフィシャルが人間であるということをみんな分かっている。また、彼らがとても速い動きの中でゲームをジャッジし、難しい状況下で素早い判断を下していること、そして、すべての場面において絶対に正しいことがないことも理解している」

「彼らは非常に信頼感のある人々だ。そのような人物たちだからこそ、ジャッジについて周囲がざわつけば、彼ら自身が望んだ結果でないことも分かっている。私は彼らが落胆していることも知っている。ただし、彼らはジャッジにさらなる磨きをかけようと努力しており、すばらしい仕事をしているとも思っている」

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