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FSトーマスはレイブンズと4年契約へ

2019年03月14日(木) 13:12

アール・トーマス【AP Photo/Elaine Thompson, File】

今オフシーズン中にディフェンシブプレーヤーを複数失ったボルティモア・レイブンズがあっと驚く契約に動いたようだ。

現地13日(水)、フリーセーフティ(FS)アール・トーマスが4年5,500万ドル(約61億円)でレイブンズ入りを果たすと報じられた。これは現地の情報筋を元に『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートが伝えた内容だ。この動向を最初に報じたのは『ESPN』だった。

この契約には3,200万ドル(約35億5,000万円)が保証され、最初の3年における平均年俸は1,433万ドル(約16億円)になるようだ。

『NFL.com』が選出する“フリーエージェント(FA)選手トップ101”のリストで最も上位ランクの選手として残っていたのが元シアトル・シーホークスのトーマスだった。

オープン市場で大型契約を狙っていた今年5月に30歳の誕生日を迎えるトーマスの元に、レイブンズがオファーを申し入れた形だ。トーマスにとって今後数年間におよぶ平均年俸1,375万ドル(約15億3,000万円)は、今週契約が決まったランドン・コリンズ(ワシントン・レッドスキンズ)とタイラン・マシュー(カンザスシティ・チーフス)の平均年俸1,400万ドル(約15億6,000万円)と遜色ないものとなっている。S市場でトップに立っていたエリック・ベリーの年俸1,300万ドル(約14億5,000万円)を、ここ最近の新契約によってこの3人が一気に追い抜くこととなった。

骨折した2018年シーズンはわずか4試合の出場にとどまっていたにもかかわらず、トーマスは新たにビッグマネーを手にすることとなった。

ボールを一目散に追いかける能力やたびたび見せるビッグプレーによってリーグ最高クラスのFSとなってきたトーマスは、ディフェンスのバックエンドにおける正真正銘のゲームチェンジャーだ。2010年にシアトル・シーホークスからドラフト1巡目での指名を受けて以降、トーマスはタックル664回、インターセプト28回、パスディフェンス68回、そして、数え切れないほどの見事なプレーを披露してきた。

『NFL Research(NFLリサーチ)』によると、トーマスは2010年以降でインターセプト25回以上、ファンブルフォースド10回以上を積み上げたリーグ唯一の選手となっているようだ。

レイブンズは今、ディープミドルを司るプレーメイカーを手に入れたのだ。『Pro Football Focus(プロフットボール・フォーカス)』によれば、チームのカバレージスキームの中でプレーしたトーマスは2015年から数え、ミドルフィールドではリーグ4位となるカバレージスナップ数1,323回を経験している。また、ディープミドルではSとして58.5%の成功率しか相手に許さず、これは同期間においてリーグ3位の数値となっている。

リーグの新年度を前にタレント不足感が否めなかったレイブンズにとって、トーマスの加入は大きな意味を持っている。レイブンズはベテランSエリック・ウェドルを放出し、C.J.モズリー、テレル・サッグス、ザダリアス・スミスらが他チームと契約合意に至る姿を見てきた。ウェドルをトーマスに置き換えることで、レイブンズはディフェンスのバックエンドに若干のアップグレードを加えたことにもなる。

トーマスに加えてランニングバック(RB)マーク・イングラムを獲得したレイブンズが、AFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)北地区で急激な改革を進めているクリーブランド・ブラウンズに対抗心を燃やす。

トーマスとの契約によって、レイブンズのS陣はまだまだ屈強さを誇ることができる。エドワード・リードから、ウェドル、そして、今度はトーマスと、レイブンズはここ10年間継続してリーグトップクラスのSを抱えている。

トーマスが骨折した後でカートに運ばれながらシーホークス側のサイドラインに向けて罰金を受けるようなジェスチャーをしていたことを思い返せば、2019年のいずれかのポイントでやってくるシアトルで開催されるシーホークス対レイブンズ戦は非常に熱い一戦となるだろう。

トーマスは『Twitter(ツイッター)』を通じ、「たくさんの愛や思い出をありがとう、シアトル。自分たち家族は一生そのことを忘れないだろう」と投稿していた。

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