2019年ドラフト全体1位指名はQBカイラー・マレー
2019年04月26日(金) 10:48当時、テキサス工科大学のヘッドコーチ(HC)を務めていたクリフ・キングスベリーはオクラホマ大学とのマッチアップ前に、敵チームのクオーターバック(QB)カイラー・マレーを“とんでもない”プレーヤーだと評し、「もし可能なら全体1位で彼を指名したい」とも語っていた。
キングスベリーHCによるこの発言は今日の予言だったのかもしれない。
現地25日(木)、テネシー州ナッシュビルで開催されている2019年ドラフトでキングベリーが新たに指揮することとなったアリゾナ・カーディナルスは全体1位でQBマレーを指名した。
数ヶ月にわたって黙秘を決め込んできたチームは周囲に予想とは違った行動を取るのではないかと思わせるような動きも見せてきたが、結局のところ、カーディナルスはキングスベリーのエア・レイド・システムに完璧なフィットを見せるとされたマレーを予想通りに全体1位で指名した。
2018年のハイズマントロフィー受賞者のマレーはサイズ的に見れば小さいかもしれないが、彼には肩の強さ、パスの正確性、そして、ダイナミックなラン能力も備わっている。決してランファーストの司令塔ではなく、2018年のマレーは1パスアテンプトにつき平均11.6ヤードを記録していた。これは過去5年のカレッジフットボールで200回以上アテンプトしたQBの中ではトップとなる平均ヤードだったようだ。
元オクラホマ大学の先発QBとして1シーズンしかプレーしていないマレーは377回のパスアテンプトで69.0%の成功率、4,361ヤードを記録し、タッチダウン42回に対してインターセプトはわずか7回だった。マレーはまた、自身の足を使って1,001ヤード(アテンプト平均7.2ヤード)を稼ぎ、ラッシングタッチダウンも12回を数えた。カレッジフットボール界で1シーズン中に4,000パスヤードと1,000ヤードのランヤードを記録したQBはこれまでに2人しか存在していない。マレーの他は2015年に4,109パスヤード、1,105ランヤードを記録したクレムゾン大学のデショーン・ワトソンだった。
どの距離であってもマレーのスローは精度が高く、『Pro Football Focus(プロフットボール・フォーカス)』による指標によると、マレーは最低20ヤード以上のロングパスで18回のタッチダウンを成功させていたとのことだ。
身長が約178cmということでプロでの活躍に疑問を呈する声も多かったものの、2012年ドラフトでは同程度の身長であるラッセル・ウィルソンが3巡にまで落ちた過去もあり、その際に多くのチームが彼をパスしたことを後悔することとなっていた。今回は、小さなQBでも活躍できる確信のあったカーディナルスがマレーを見逃すことはなかったのだ。
マレーには信じられない運動能力が備わっている。彼は史上初めてMLBとNFLのドラフトで1巡目に指名されたプレーヤーとなった。マレーは2018年にMLBのオークランド・アスレチックスから全体9位で指名されたものの、彼は後にNFLで生きる道を選択していた。
クリーブランド・ブラウンズのQBベイカー・メイフィールドもオクラホマ大学卒業後に全体1位でプロ入りしたことから、同大学は全体1位指名選手を2年連続で輩出することとなった。
キングスベリーHCが敷くパスファーストのシステムの中ではマレーの長所であるモーションのクイックネス、パスの正確性、ポケット内でのモビリティ、ラン時の洞察力らすべてが有効に利用されるだろう。
2018年シーズンを3勝13敗で終えた穴だらけのロースター再建を試みていたカーディナルスにとって、指揮官の好むQBを獲得できた意味は大きいだろう。
その一方で、今後は同チームが昨年の1巡目に指名したQBジョシュ・ローゼンの動きに注目が集まるはずだ。
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