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昨シーズン初めから手術の必要性を感じていたバッカニアーズQBブレイディ

2021年06月10日(木) 10:11

タンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディ【AP Photo/Bill Kostroun】

クリーンアップのための軽度の手術とされていたものの、クオーターバック(QB)トム・ブレイディがオフシーズンに受けた膝の手術は当初想定されていたよりも大きな問題への対処だったようだ。

2020年シーズンを通してブレイディは膝の負傷を抱えていたが、タンパベイ・バッカニアーズがスーパーボウルを制し、すべての紙吹雪が地面に落ちきるまで特別な治療はしなかった。

すでにミニキャンプのドリルやアクティビティに参加しているブレイディは、膝の具合に満足し、昨年に多くの時間が割かれた不調を取り除く手術を終えた上でのシーズンに向けた準備に集中している。

現地9日(水)の記者会見で、ブレイディは「シーズン初めの今頃からトレーニングキャンプまで、フットボールの改善にハードに取り組めると本当に感じている。リハビリに戻って、もっと基本的なことをやるんじゃなくてね」と語っている。

「去年の4月や5月から抱えてきたけがだった。シーズンが終わったら何かしなきゃならないとは分かっていたし、それができてうれしい。確かにやらなきゃならないことだったし、結果は最高だったから、とても満足している。今年は去年とは違うことができると感じている」

43歳のブレイディがバッカニアーズに移った初年度にチームをスーパーボウルまで率い、大舞台でMVPに輝いたというだけで歴史的な偉業だ。膝の負傷が当初思われていたよりも厄介だったという事実で、輝きはさらに高まった。

膝に問題を抱えながらシーズンを通して自信を感じさせる堂々とした姿勢を崩さなかったのは“古風”なアプローチだったとブレイディは言う。

「すごくいい感じだ。どんな選手も、それぞれの問題を抱えている。けがのことは話したくなかった。その部分で自分にはちょっと古風なところがあって、そういうことを抱えながら、その中で最大限をやるだけなんだ」

「いいところは、これからは他の部分にもっと多くの時間をさけること。今年はさまざまな困難に直面するだろうけど、これまでは特定のけがに多くの時間を費やさなきゃならなかった。最終的には治すのに手術が必要になるようなけがにね。だから、膝の手術をして、それが今から15週間ほど前だ。リハビリの過程にはすごく満足だったし、コミュニケーションがとてもうまくいっていた。アレックス(ゲレーロ/トレーナー)とフルスピードで復帰し、進歩していくために必要なものを得るために、本当にハードにやってきた。いい学習プロセスだったし、自分はもうそこにいると感じている」

15週間ほど前に膝にナイフを入れたブレイディだが、今はミニキャンプに参加し、スーパーボウルを制覇した後のシーズンにどう取り組むべきかの知恵をチームメイトたちと共有している。

再びスーパーボウルを制すことを狙うバッカニアーズは、第55回大会の先発メンバーである22名全員を呼び戻した。たとえロースターが同じでも、来るシーズンは昨年とはまったく違うとブレイディは指摘する。

7度スーパーボウルで優勝し、ニューイングランド・ペイトリオッツでチームを作り上げる触媒役を果たしてきたブレイディ。最後にスーパーボウル連覇を果たしたのが2003年と3004年のペイトリオッツだった。水曜日の記者会見のはじめに、ブレイディは2021年がバッカニアーズにとってこれまでとはいかに違うシーズンになるかを厳しい視点から指摘している。何よりもブレイディが強調したのは、自分も含めてチームメイトたちは去年と同じように計画通りに進むと思い込んではいけないという点だ。

「思い込みというのは、去年と全く同じようになるという考えからくるものだと思う。はまってはいけないのがそこだ。“去年はこんなふうにいったから、今年はこうなる”みたいなね。すべてが違うのが現実だから」と話すブレイディは次のように続けた。

「他のチームのアプローチが少し変わってくる。皆に見られるようなチームになっている。期待の度合いも違う。外部の騒音が大きくなる。試合に来たいと思う人も増える。フットボール以外でやることが増える。本当に大事なことに集中し続けなくてはならないというのが現実だ。どう改善する? 週ごとに、日ごとに、どう成長する? ルーティンを改善する。チームメイトやコーチとのコミュニケーションを良くする。2月にやり遂げたから、次の2月にも同じことができる、みたいな考え方を自分にさせちゃいけない。それはフットボールのリアリティじゃないんだ」

ブレイディにとってのリアリティは、回復の途上にあり、バッカニアーズの連覇に向けてできるだけいい形で足を――そして膝を――踏み出そうとしているというものだ。本人によれば膝の具合は前よりもずっと良くなっているということであり、バッカニアーズ攻撃陣の把握具合も増し、新しいシーズンに向けて良い兆候が見えている。ただし、今はまだ6月だ。

「1年前の今ごろを振り返れば、自分の知っていること――攻撃陣の知識という点で全く違う状況だった。今自分がいるような位置からスタートすることで、いろいろなことをもっとよく把握できる」とブレイディは言う。

「僕たちはいい場所からスタートする。そこから築いていくだけさ」

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