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専門家を招き、ワシントンのチームにワクチン説明会を開いたリベラHC

2021年06月10日(木) 19:00

ロン・リベラ【AP Photo/Chris Szagola】

トレーニングキャンプが徐々に近づき、全国的なワクチン接種の取り組みが夏に向けて続く中、NFLチームたちも誰が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンをすでに接種したのか、集計の更新を進めている。

ロースターやコーチングスタッフの大多数がワクチンを接種したチームはCOVID-19プロトコルを緩和し、パンデミック以前の状態に近い日常に戻ることができる。これは達成可能な競争上のアドバンテージにもなる。それを目指してNFLはクラブに対し、選手、家族やスタッフ向けの情報セッションに参加することを期待すると述べ、またワクチンクリニックの開催を推奨している。

全コーチとフットボール外の従業員へのワクチン接種を終えたワシントン・フットボール・チームが現地8日(火)、そうしたイベントを開き、ワクチン専門家を招いて選手たちと話す場を設けたという。ヘッドコーチ(HC)のロン・リベラが9日(水)に明らかにした。

「良い影響が出ている。われわれの全コーチ、建物内の全従業員がワクチンを接種した」とリベラは述べた。「選手たちもゆっくりとだが、接種する者が増えてきている。それは選択だ。彼らが選択しなければならないことだ。われわれとしては、集団免疫を得ることができれば、本格的に活動を楽しむことができるのだということを強調しようとしている。そうなることを願っているよ」

リベラの選手の1人であるディフェンシブエンド(DE)のモンテス・スウェットは9日、記者団を前に、今はまだワクチンを接種する気にはなれないと突っぱねた。チームが専門家を招いて選手たちにワクチンに関する有益な情報を提供してから24時間もたたないうちの発言だ。

「俺は気に入らない」とスウェットは『The Washington Post(ワシントン・ポスト)』のサム・フォティアに語った。「もっと事実やいろんな情報が多く手に入るまではワクチンを打たないと思う。どうにも気に入らないんだ」

「俺はまだCOVID-19にかかっていない。実際にかかるまでは、COVID-19の治療をするつもりはない」

NFLはCOVID-19プロトコルを緩和し、制限エリアに入場するための免除が認められる“正当な”理由がない限り、第1層と第2層の従業員にはワクチンを接種するよう要求している。リベラは9日、全コーチとスタッフがワクチンを接種したと述べた。だがそれは、先週末の段階では全クラブにいえることではなかった。11日(金)までに1回目のワクチンを接種しない限り、少なくとも4つのNFLチームのアシスタントコーチが第1層のステータスを失うことになると『NFL Network(NFLネットワーク)』のトム・ペリセロは報告していた。第1層のステータスを失ったコーチたちは、練習フィールドやミーティングルームへのアクセスを禁止され、選手たちとの直接的対話もできなくなるという。

選手側にはこうした義務はない。その代わりに、ワクチン接種済みの選手についてはプロトコル順守が緩和されるが、接種していない選手は引き続きマスクを着用し、他者との距離を取って、ウイルス検査を毎日受けなくてはならない。

他のワクチンと同様に、新型コロナウイルスのワクチンを接種する目的とゴールは、感染を予防し、感染した場合でも重症化を防ぐことだ。7日(月)、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が新たな研究結果を発表し、アメリカ食品医薬品局(FDA)公認のCOVID-19メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを完全に接種した場合の発症予防効果は91%と判明した。さらに重要なこととして、研究ではmRNAワクチンを完全に接種した後でCOVID-19に感染した場合、“症状が軽く、短期間で済み、ウイルスを他者に広げる可能性が低いとみられる”ことが分かったとCDCのロシェル・ワレンスキー所長はニュースリリースで述べている。

この情報を武器に、リベラを含むコーチ陣はシーズン前に選手たちを正しく教育し、知識を持ってワクチンを接種することを選べるようにしたいと考えている。8日のイベントでは、数名の選手が接種を受けることを決めたという。

誤った情報が大量にあふれる世界で、リベラは選手たちが正解を見つけられる手助けをしようと努力している。

「50%に近づいている。だいたいそんなところだ」とリベラは述べた。「昨日、さらに何人かがワクチンを接種してくれた。できるだけ情報を集め、選手たちが選択し、決断できるように多くの情報を与えようとしている。必要なものを提供したい。昨夜はワクチンの専門家を呼んで、選手たちに話をしてもらったんだ。彼女はとてもいい話をしてくれたよ。選手たちも熱心に聞いていた。良い質問が多く出て、終わった後は数人がワクチンを受ける気になったか、実際に接種を受けた」

「何度も言うが、大切なのは彼らに理解してもらうための機会をわれわれが促進していくことだ。彼らの多くは『Twitter(ツイッター)』で多くのメッセージを受け取っている。その中には良いものもあれば、悪いものもある。彼らが私のように、情報収集のためにテレビ、ニュースを頻繁に見ているかどうかは分からない。だから、助けになろうとしているんだよ。先に述べたように、集団免疫を獲得できれば、規制を大幅に緩めて、一緒の時間を多く過ごせるようになる」

人々にとって総体的なゴールはシンプルだ。ほとんどの人が、この15カ月間とは違う、以前の日常に近い生活に戻りたいと思っていることだろう。そのためにはワクチン接種を普及させることが重要だ。接種率が高ければ高いほど、チームたちはCOVID-19の脅威を案ずることなく、再び自由な生活を楽しめるようになる。

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