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シーホークスWRロケット主導のミーティングが49ers戦の逆転勝利のきっかけに

2021年12月07日(火) 13:25

シアトル・シーホークスのタイラー・ロケット【AP Photo/John Froschauer】

シアトル・シーホークスには2021年の残りのシーズンを諦める理由が十分にあった。

3勝8敗のチームはそうする代わりに現地4日(土)の夜に集まり、ワイドレシーバー(WR)のタイラー・ロケットを中心としたミーティングを開いた。その話し合いの結果、シーホークスはモチベーションを上げることができ、どうしても必要としていたディビジョンライバルに対する勝利を手にすることができたのだ。

ヘッドコーチ(HC)のピート・キャロルは「昨晩はタイラーがミーティングで良い仕事をしてくれた」と日曜日に『Tacoma News Tribune(タコマ・ニュース・トリビューン)』に述べている。「彼は話し合いたい議題を持ち出し、われわれは彼にその機会を与えた。彼は選手たちに結束の大切さ、なぜ自分たちがつながっているのか、自分たちの存在意義、そういったことを話してくれた」

キャロルHC率いるシーホークスはサンフランシスコ・49ersを相手に第4クオーターまで全力で戦った。シーホークスは最大9点あった点差を縮め、両者ともにスコアのない試合終盤を必死に守り抜き、見事に30対23で逆転勝利を収めている。この一カ月は実りも刺激もないフットボールの深淵をさまよっていたシーホークスは、(少なくとも努力の面では)初期のキャロルHC時代を彷彿とさせるような、まったく別のチームのようだった。

キャロルHCはロケットが主導した土曜日の話し合いが勝利と「何かしら関係している」と言う。試合開始とともにランニングバック(RB)のトラビス・ホーマーが73ヤードのタッチダンを決めるプレーにつながったパントフェイクも、もちろん悪くなかっただろう。

クオーターバック(QB)のラッセル・ウィルソンは37本中30本のパスを成功させて231ヤードとタッチダウン2回、インターセプトを1回マークし、ロケットは第3クオーター終盤で勝ち越し点となるタッチダウンを決めている。ウィルソンが指の手術から復帰してから初めてシーホークスは4クオーターを通して脅威となるようなオフェンス力を発揮し、ようやく意思の疎通が見られるようになった。

ロケットがきっかけとなった話し合いについてウィルソンは「とにかく感動したよ。なぜフットボールをプレーするのか、その動機や意味は何かとか、すごく心に響くことを仲間が話してくれたことは本当に特別だった」とコメントしている。

一方、シーホークスのディフェンスも相手にターンオーバーを3回強いており、そのうちの2回はQBジミー・ガロポロのパスをインターセプトしたものだった。さらに、ディフェンシブエンド(DE)のカルロス・ダンラップがガロポロをサックした結果セーフティとなり、シーホークスは23対23で同点に追いつくことに成功。逆転への契機をつかんだ。

ダンラップは「(キャロルHC)はそれぞれの動機をオープンに話し合えるようにしてくれたんだ」と説明している。「なぜたくさんのことを犠牲にしてまでフットボールをやっているのか、シーズンの成り行きは見えているのになぜそれでも諦めずに戦い続けるのか。自分はどうしてここにいるのか、どうやってここに来たのか。自分たちのルーツはどこか。誰のために戦っているのか?」

たとえ3勝8敗であっても、それぞれの職を確保するということも含め、シーホークスには全力で戦う理由が十分にあった。彼らはそのエネルギーを早い段階から試合に活かし、ホーマーのパントフェイクからのタッチダウンで勢いに乗ったチームは、49ersに対して典型的な容赦ない激しい戦いを見せた。過去3回の試合では相手にまったく歯が立たず、暗い冬の到来を予感させたシーホークスがこのような試合をするとは誰も予想していなかったことだろう。だが、忠実なシアトルファンに言わせれば、日曜日の試合はいつも通りのシーホークスの試合、つまり、無秩序で風変わりな試合だったのかもしれない。

両方とも一理あると言える。たとえば、『CBS』の実況を担当するケビン・ハーランは試合中に「一体何が起きているんだ」と声を荒げており、後にシーホークスのプレーを「フーテナニー(秩序のない集まり)」と呼んでいたが、今回はその狂気が勝利をもたらすことになった。4勝8敗となってもシーホークスはNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)西地区のタイトル獲得には手が届かないが、カンファレンスのワイルドカードの状況を考えれば、諦めるのはまだ早い。

日曜日は、シーホークスにかつてあり、あり得ないものとなってしまったものを象徴する最後の美しい例だったかもしれない。あるいは、少なくともあと1回のオフシーズンはチームの総入れ替えを免れるために必要な努力とパフォーマンスに変化が起き始めたのかもしれない。

【R】