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2022年IPPプログラムに9か国から13名が参加、NFLロースターを目指す

2022年01月13日(木) 17:28


フィールドに置かれたフットボール【Aaron Doster via AP】

9カ国から来た13名のアスリートが2022年インターナショナル・プレーヤー・パスウェイ(IPP)を通じてNFLのロースター入りを目指す。

2017年に設立されたこのプログラムは、各国の優秀なアスリートたちにNFLレベルで競い、スキルを向上させ、最終的にはNFLのロースターでスポットを獲得するチャンスを提供するものだ。今季には以前にIPPを通じてNFL入りを果たした2人の選手であるニューイングランド・ペイトリオッツのフルバック(FB)ヤコブ・ジョンソンとフィラデルフィア・イーグルスのタックル(T)ジョーダン・メイラタのキャリア通算スナップ数が1,000回に到達。同じマイルストーンに達しているIPP出身の選手にはバッファロー・ビルズのディフェンシブエンド(DE)エフェ・オバダがいる。

これまでの成功を踏まえてNFLは才能探しの網を広げ、昨年10月にイギリスとメキシコで行ったコンバインには16カ国から56名の選手が参加した。リーグはプログラムに参加する選手として、9つの国からやってきたアスリートたちを選定している。

選手らは来月にアメリカでのトレーニングを開始し、3月にはNFLの各クラブのスカウトたちに才能を披露する機会を得る。IPPプログラムを通じてフリーエージェントとしての契約や、来季の練習生としての契約を結ぶのが彼らの目標だ。

選手たちはプログラムを通じてさらに選抜され、フリーエージェントとして契約できなかった場合、ランダムに決まるNFLの8つのディビジョンの一つに引き取られる。トレーニングキャンプが終わった時点で、各選手には割り当てられたチームの練習生に国際選手枠として加入する資格が生じる。これによって、割り当て先のチームは通常より多くの練習生を擁することができる。特定の状況で、選手がレギュラーシーズン中にアクティブロースターに昇格することも可能だ。

NFLの国際部門COOであるダマニ・リーチは「インターナショナル・プレーヤー・パスウェイは国や出身地を問わず、世界で最高のアスリートたちがNFLでプレーするための現在進行中の取り組みにおける重要な部分だ」と語っている。

「世界中から2022年のプログラムの中のスポットを競う選手たちが集まったことに、われわれはエキサイトしている」

【2022年インターナショナル・プレイヤー・パスウェイ参加選手】

選手 ポジション 現所属チーム
レオネル・ミサングムキニ DL オーストリア ウイーン・バイキングス
レアンドロ・サントス・ダ・フォンセカ OL ブラジル レモ・ライオンズ
ソリマネ・カラモコ DB フランス ラヴァル大学
マルセル・ダボ DB ドイツ シュトゥットガルト・サージ
ラルフス・ルシンス DL ラトビア リバティー大学
エクトル・ゼペダ・エルナンデス OL メキシコ モンテレイ工科大学
ケヒンデ・ハサン・オギニ TE ナイジェリア ザ・アプライズ
チグボ・ロイ・ムバエテカ OL ナイジェリア ザ・アプライズ
ハガイ・チソム・エンドビージ OL ナイジェリア ザ・アプライズ
トーマス・オドゥコヤ TE オランダ イースタンミシガン大学
アデダヨ・オディレイエ DL イギリス ベルリン・サンダー
アヨ・オイェロラ LB イギリス ウィニペグ・ブルー・ボマーズ
バミデレ・オラセニ OL イギリス ユタ大学

【現在のNFLロースター上で活躍するIPPプログラム参加選手たち】

FBヤコブ・ジョンソン(ドイツ/ニューイングランド・ペイトリオッツ)

ジョンソンは若い頃に故郷のドイツ・シュトゥットガルトでフットボールキャリアをスタートした。ジャーマン・フットボール・リーグのシュトゥットガルト・スコーピオンズでプレーした後にフロリダ州ジャクソンビルに転居した。アメリカで高校フットボールを1シーズンプレーし、テネシー大学にスカウトされてキャリアを続けることになる。2018年にジョンソンは一度スコーピオンズに復帰。そして2019年にIPPプログラムを通じてニューイングランド・ペイトリオッツの一員となった。ジョンソンに関して、ペイトリオッツはインターナショナル・プレーヤー練習生の免除を利用しないことを選択し、練習生のレギュラーメンバーとして契約したことによって、彼を昇格させるオプションを得た。彼は2019年9月21日にペイトリオッツのアクティブロースターに加えられた。ジョンソンは2019年レギュラーシーズンで先発3回を含む4試合に出場し、第5週にキャリア初レシーブを達成した。2020年シーズンもニューイングランドに残り、フルバックとして11試合に先発して全16試合でプレー。シーズン第2週にキャリア初タッチダウンを記録した。これはIPPプログラムの参加者がレギュラーシーズンで決めた初のタッチダウンキャッチとなった。ジョンソンは2021年シーズンもペイトリオッツと再契約し、6回の先発で全17試合をプレーしている。彼は今もニューイングランドのランゲームにおけるキーパートとなっており、キャリア通算スナップは1,000回を超えた。

Tジョーダン・メイラタ(オーストラリア/フィラデルフィア・イーグルス)

メイラタは2017年にIPPプログラムに参加し、IMGアカデミーでトレーニングを受けた。サモア人の血を引くオーストラリア生まれの彼は、サウス・シドニー・ラビトーズでプレーしていたラグビーリーグの元プロ選手で、2018年のNFLドラフト7巡目でフィラデルフィア・イーグルスから指名された(そのため、IPPプログラムは適用外となっている)。こうして彼はイーグルスのロースターで最も若い選手となった。2018年と2019年シーズンは故障者リザーブおよび練習生として過ごしたが、レフトタックルとライトタックルの両方で先発して2020年にブレークする。この年の彼らのオフェンスはラッシング平均で3位(ラッシュ平均5ヤード)、試合平均のラッシュヤード(126.7)で9位にランクインを果たした。2020年シーズンの活躍によって、メイラタは先発レフトタックルに指名され、イーグルスと4年間の延長契約にサインした。2021年に彼はプレーした全14試合で先発を務め、キャリア通算スナップは1,000回を超えている。

DEエフェ・オバダ(イギリス/バッファロー・ビルズ)

10歳でオランダからイギリスにやってきたオバダはロンドンで育つことになる。ロンドン・ウォリアーズでアマチュアフットボールを5試合プレーしただけで、彼は2015年にフリーエージェントとしてダラス・カウボーイズと契約を交わした。カウボーイズでプレシーズンを過ごし、練習生としても在籍したが、その後カンザスシティ・チーフス、アトランタ・ファルコンズと渡り歩いたオバダは、2017年にIPPプログラムの一環でカロライナ・パンサーズの練習生となった。2018年にオバダはNFLのIPPプログラムから初めて53人のロースター入りを果すこととなる。さらに、初のレギュラーシーズンゲームでプレーし(2018年シーズン第3週)、シンシナティ・ベンガルズを相手にサック1回、インターセプト1回を記録して守備部門の週間最優秀選手に選ばれた。パンサーズで42試合(2017年から2020年)に出場し、タックル50回、タックルフォーロス8回、サック7.5回、パスディフェンス3回、ファンブルリカバリー2回とファンブルフォース1回の成績を残し、オバダはフリーエージェントとして2021年シーズンにバッファロー・ビルズの一員となった。2021年に彼は先発1回を含む10試合でプレーし、タックル12回、サック3.5回、タックルフォーロス3回とパスディフェンス1回を記録した。

TEサミス・レイエス(チリ/ワシントン・フットボール・チーム)

チリのサンティアゴで育ったレイエスは複数のスポーツで才能を発揮するアスリートだった。彼は高校に通うため、13歳でアメリカに引っ越すことになる。バスケットボール選手として1学期間ハワイ大学に在籍したが、その後パームビーチ州立大学に転校した。そうした期間を経て、レイエスはテュレーン大学で男子バスケットボールプログラムのメンバーとなり、チリのバスケットボール代表チームでもプレーした(2017年)。バスケットボールで成功を収めた後、レイエスは2020年にNFLのIPPプログラムを通してNFLのロースター入りを目指すことになる。それまで一度もフットボールをプレーしたことがなかったにもかかわらず、レイエスはワシントンの2021年ロースターに居場所を確保し、NFL初のチリ人プレーヤーとなった。シーズン第5週のニューオーリンズ・セインツ戦でレギュラーシーズンデビューを果たし、第11週のカロライナ・パンサーズ戦で初先発した。

【A/M】