グッデルコミッショナーがQBワトソンやコマンダースオーナー、フローレス元HCの件について説明
2022年03月30日(水) 14:05現地29日(火)、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルがリーグの年次ミーティングの場で報道陣からのさまざまな質問に答えた。質問された内容としてはクリーブランド・ブラウンズのクオーターバック(QB)デショーン・ワトソンやワシントン・コマンダースのオーナーであるダニエル・スナイダーについて、そして、ブライアン・フローレスが起こした訴訟についてなどがある。
グッデルはワトソンに対する懲罰を科すかについて、特定のタイムラインはないとコメント。マッサージセラピー中の性的不品行の疑いによって訴えられていたワトソンだが、今月にテキサス州の大陪審が起訴しないとの決定を下したのを受け、現在は刑事での訴えを受けていない状態だ。3月18日にトレードでヒューストン・テキサンズからブラウンズに移ったワトソンは、今も22件の民事訴訟とNFLによる調査の対象となっている。フロリダ州パームビーチで開催された総会の場で、グッデルは次のように語った。
「われわれのスタッフが(調査について)動いている。もちろん、これらは深刻な疑いだ。われわれはこれを真剣に受け止めている。われわれは少なくとも刑事的な側面では答えを得た。当然、民事の訴訟はまだ継続している。したがって、われわれの調査担当者たちがさらなる情報を入手することで、事実が何であったか、および、個人行動規範の違反はあったかの結論にたどり着く助けとなればと考えている。だが、その決断はNFLPA(NFL選手会)とNFLによって定められた懲戒担当者が下す。事実がそろったときに彼女が決断を下す。それを待とう。それについてタイムフレームはない」
ワトソンの件については刑事的な部分が決着したため、調査が2022年のNFLシーズン開幕付近まで続いた場合、ワトソンがコミッショナーの除外リストに置かれることはない見込みだとグッデルは述べた。
グッデルはまた、リーグの調査担当者がワトソンと面接するかについて決めると話している。
今回の契約の中でノートレード条項を破棄したワトソンは、ブラウンズから5年2億3,000万ドル(約279億7,847万円)完全保証の契約を得た。完全保証額はNFLの最高額であり、フットボール界の話題となっている。
グッデルは今月に各チームがワトソン獲得に動いたこと――アトランタ・ファルコンズ、ニューオーリンズ・セインツ、カロライナ・パンサーズもワトソンと面談している――や、ワトソンとブラウンズの契約について悩まされたかとの質問を受けた。
「刑事の問題が解消されているかどうかを問わず、われわれは各クラブに対し、個人行動規範はわれわれにとって非常に重要なものであることをきわめて明確にしてきた。個人行動規範は必ずしも刑事上の違反ではない。それはわれわれが追い求めないことを識別するものだ。われわれは真相にたどり着き、どのように個人行動規範を適用するかを明確にするつもりであり、それが現在の立ち位置になる。そこに至ったときに何らかの懲罰を科すのかを判断し、科す場合はそれがどのようなものかを決定する」とグッデルはコメントした。
グッデルにはコマンダースのオーナーであるダニエル・スナイダーの現在のチームでの役割についての質問も投げかけられた。リーグはチームの職場環境についての調査の後、ワシントンに1,000万ドル(約12億1,600万円)の罰金を科している。スナイダーは日常業務を無期限で妻ターニャに譲った。NFLはチームの元従業員がダニエル・スナイダーに対して新たな職場での不祥事の疑惑を持ち上げたことを受け、別の調査も行っている。
「ダン・スナイダーは日常業務にかかわっていない。彼が1日中施設にいるとは考えていない」と言うグッデルは次のように続けた。
「また、われわれはリーグとしての事柄も引き続き進めており、ターニャは日常業務だけではなく、ここリーグでもCEOとしてチームを代表している。(年次リーグミーティングでも)彼女がチームの代表だ。それは少なくとも、今後しばらくの間は続く。ダンと私はどこかの時点でこの件について話し合う」
さらに、グッデルは他の調査の進展についても問われた。グッデルは元マイアミ・ドルフィンズヘッドコーチで現ピッツバーグ・スティーラーズアシスタントコーチであるブライアン・フローレスがドルフィンズのオーナーであるスティーブン・ロスをタンキング(試合にわざと負ける行為)の疑惑で訴えた件の進捗と、関係者と個人的に面談する予定があるかについて質問されている。
「その調査は行っていない。メアリー・ジョー・ホワイト(元米国証券取引委員会委員長)がその調査を行っており、われわれもチームも彼女を全面的にサポートする」とグッデルは述べた。
「それについては彼女が裁定を下すものであり、報告を出す上でのタイムテーブルはない。それが提出されたときに、われわれは前に進む」
フローレスは2月1日にNFLおよびドルフィンズを含む3チームに対する訴えを連邦裁判所に提出。一定の人種差別的雇用習慣や人種差別を申し立てたほか、ロスが敗戦に対して金銭を支払うことを提案した件を訴えている。ロスはこれらの疑いを否定している。
2月に行われたスーパーボウルの記者会見の中で、グッデルはリーグが多様性やマイノリティーのヘッドコーチ起用に関連して行ってきたすべてを再評価すると話していた。NFLは月曜日に、各チームは少なくとも一人の男性もしくは女性を攻撃アシスタントに起用しなければならないと発表。グッデルは火曜日に、この新たな義務によってリーグには攻撃畑からのヘッドコーチ候補として多様性のある人材を育成する機会がもたらされると語った。
「必ずしもこれがルーニールールに結びつくかは分からない」とグッデルは話している。
「われわれは過去数年間にわたって、これにフォーカスして取り組んできた。それはわれわれにとって実に重要なことであり、ルーニールールを検討し、政策を検討し、プログラムを検討してきた。単一の答えなどないと思っている」
「われわれは社会と同じように、複雑な問題を抱えている。しかし、ここに進歩をもたらすために、あらゆる機会を求めていく。攻撃コーディネーターを取り上げたのは、有色人種の攻撃コーディネーターの数が多くないという事実の認識だと考えている。ボールの攻撃側から多くのヘッドコーチが出ていると思うし、少なくとも近年の傾向としてはそうだ。そのことが、このエリアで人材を育成する機会につながった。とは言え、そこには各チームとのかなりオープンな話し合いがあり、外部の人からはよく観察した上で“こういった問題のいくつかを解決するために、私たちにできることは何か?”と言われている。知っての通り、ルーニールールを含むわれわれの政策や手順をすべて確認し、それらに助言をするアドバイザーとすべく、われわれはすでに外部の人々を多く起用している」
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