ビッグ10が南カリフォルニア大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の追加を決定
2022年07月01日(金) 13:44カレッジスポーツ界が驚くべき劇的な転換期を迎えている中、ビッグ10が現地6月30日(木)、2024年から南カリフォルニア大学(USC)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)をカンファレンスメンバーとして加えると決定した。
ビッグ10(ビッグ・テン・カンファレンス)の16チームへの拡大は、Pac-12(パシフィック12カンファレンス)が現在結んでいる『Fox』および『ESPN』とのメディア権契約が満了した後に行われ、ビッグ10は大西洋から太平洋まで広がる最初のカンファレンスとなる。
今回の件はオクラホマ大学とテキサス大学が2025年7月にサウスイースタン・カンファレンス(SEC)に加入することを正式に受諾してから1年ほど経ったタイミングで発表されており、Pac-12の意表をついた形となった。
ビッグ10のコミッショナーであるケビン・ウォーレンは、ほぼ1世紀にわたってPac-12とその前身組織に属していたUSCとUCLAが加盟申請書を提出し、リーグの評議会がそれを全会一致で承認したことによってロサンゼルスの2校の加盟が決定したと述べている。
USCのアスレチック・ディレクターを務めているマイク・ボーンは「カレッジスポーツの新たな世界に移行するUSCとトロージャン・アスレチックスにとって、ビッグ10が最終的には最高のホームとなるだろう」と語った。「私たちのバリューがリーグの加盟校と一致することが楽しみだ。また、カンファレンスの安定性と強さ、ビッグ10加盟校の優れた競技力、カンファレンスが学生アスリートやプログラムにもたらす知名度、露出、リソースの増加、そして全国にいる熱心な卒業生との関わりを拡大する能力からも、私たちは利益を得られるはずだ」
ビッグ10は全米最大のメディア市場への拡大を進めており、今回の動きによってカレッジスポーツ界で最も強力な組織の1つとしてSECと歩調を合わせることができるようになった。
ビッグ10はUSCにおけるフットボールやUCLAにおけるバスケットボールの優良プログラムと、現在交渉中であるカンファレンスの新メディア権パッケージの価値を高める有名ブランドを獲得することになる。
USCやUCLAのような主力校を失うことは、ローズボウルに代表されるようにビッグ10と長く友好的な関係にあったPac-12にとっては大きな打撃だ。
Pac-12は声明で「今日、UCLAとUSCから発表されたニュースに非常に驚き、落胆しているが、私たちには運動競技、学業、そして学生アスリートの支援におけるリーダーシップに関する長く輝かしい歴史があり、将来にわたって繁栄と成長を続けていくことを確信している」と述べた。
今後の動向は今のところ不明だが、Pac-12がUSCとUCLAに代わる学校を追加する可能性はある。
Pac-12は「私たちは現会員および入会希望者とともに、カレッジの運動競技の未来を切り拓いていくことを楽しみにしている」とコメントした。
ビッグ10は近年、2回にわたって拡大しており、2011年にはネブラスカ大学、2014年にはメリーランド大学とラトガース大学が加盟している。
USCとUCLAはビッグ10のアカデミック・プロファイルに適合している。また、一流の研究大学で構成されるアメリカ大学協会の会員校65校の1つだ。ネブラスカ大学を除き、ビッグ10の全校がこれのメンバーになっている。
UCLAのアスレチック・ディレクターを務めているマーティン・ジャーモンドは「学生アスリートのための露出の増加や幅広いナショナルプラットフォーム、チームのためのリソースの強化など、今回の動きはUCLAアスレチックスのレガシーを次世代に残すために役立つだろう」と語った。
「私たちはPac-12への所属を深く評価しており、カンファレンスと加盟校に大きな敬意を払っているが、各校はそれぞれ独自の課題と状況に直面している。これがUCLAにとって、適切な時期に起こした適切な行動であると信じている」
USCとUCLAは大幅に収入を増やす見込みだ。Pac-12は2021年度に1校あたり1,980万ドル(約26億7,861万円)しか分配しておらず、パワー5のカンファレンスの中で圧倒的に少ない。ビッグ10の1校あたりの分配額は4,610万ドル(約62億3,795万円)で、SECの5,460万ドル(約73億8,812万円)に次いで高額だ。
Pac-12はカンファレンスのテレビネットワークがなかなか軌道に乗っていないが、『Big Ten Network(ビッグ・テン・ネットワーク)』はカンファレンスのネットワークの中で最も確立されている。
USCとUCLAは知名度でも競争力でも、フットボール界で一歩リードすることになるだろう。
『Pac-12 After Dark(Pac-12・アフター・ダーク)』が放送するのは夜から深夜の時間帯に始まる試合であるため、カンファレンスの露出が難しくなっている。これまでにPac-12からカレッジフットボールプレーオフに出場したチームはオレゴン大学(2014年シーズン)とワシントン大学(2016年シーズン)の2校だけだ。
USCのキャロル・L・フォルト学長は大学幹部とともにビッグ10に参加することで発生する沿岸から沿岸への移動について検討したと話している。リンカーンにあるネブラスカ大学は現在、同カンファレンスの最西端に位置しており、ロサンゼルスから約2,400kmの位置にある。また、ビッグ10で最東端に位置するラトガース大学は、ロサンゼルスから飛行機で5時間半近くかかる。
フォルト学長は「幸いなことに、今後2年間はカンファレンスと一緒に移動やスケジュールの計画を立てることができます」と述べた。
ビッグ10、Pac-12、アトランティック・コースト・カンファレンス(ACC)は昨年8月、オクラホマ大学とテキサス大学がSECに加盟したことを受けて同盟を結成。これらのカンファレンスは41から成るメンバーが運動競技の将来を計画するために協力的なアプローチをとると主張している。この3つのカンファレンスはいくつかのスポーツでスケジュールの取り決めを行い、選手のウェルフェアを促進するためにリソースを共有している。
それから1年も経たないうちにビッグ10がPac-12の2大ブランドを手に入れたことで、この提携の見通しは暗くなってしまった。
USCとUCLAは長年にわたるカンファレンスの関係を断ち切ることになっている。USCは1922年にカリフォルニア大学、オレゴン大学、オレゴン州立大学、スタンフォード大学、ワシントン大学、ワシントン州立大学とともにパシフィック・コースト・カンファレンス(PCC)に加盟し、1928年にUCLAが後に続いた。
PCCは1959年にアスレチック・アソシエーション・オブ・ウエスタン・ユニバーシティーズ(AAWU)となり、1968年にPac-8、1978年にPac-10、そして2011年にPac-12となっている。
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