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放出を要求して“波風を立てる”ことを望まず、49ers残留を喜ぶQBガロポロ

2022年09月02日(金) 12:54

サンフランシスコ・49ersのジミー・ガロポロ【AP Photo/Tony Avelar】

サンフランシスコ・49ersのクオーターバック(QB)ジミー・ガロポロは契約を再構築したことにより(少なくとも今のところは)チームにとどまることになったが、これはQBルームを少し気まずい雰囲気にする可能性がある。

ただ、それはガロポロがバックアップすることになるチームの新先発QBトレイ・ランスに伝えるべき話ではない。

ランスは現地1日(木)に報道陣に対して「何も変わっていない。QBルームははるかに良くなるし、自分を手助けしてくれる人がもう1人増えるだけだ」と話している。「このオフェンスでプレーしたことがあって、それをやり遂げていて、経験も豊富な人だ。だから俺としては、ドラフトの日からずっとそうだったように、ジミーはこれからも自分にとって大きな助けとなる存在であり続けると思う」

2人の関係が緊迫したものになるのは無理からぬことだと言える。ガロポロは昨季に49ersがNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)チャンピオンシップゲームに出場するのに貢献したばかりだ。キャリア2度目のチャンピオンシップ戦で勝利をもたらすことはできなかったものの、ガロポロはチームをスーパーボウルまであと一歩のところまで近づけるのに間違いなく一役買っている。

カンファレンスチャンピオンシップゲームで先発を務めていたところからバックアップになれば、どんな人の自尊心も傷つくはずだ。しかし、今回の取り決めの両側面を見てきたガロポロはその状況をよく理解している。

ガロポロは木曜日に「それで自尊心が傷つくなら、その自尊心はちょっと置いておかないといけない。でも、違う。このリーグにおける自分、選手としての自分、人間としての自分を知らなければならないし、そうすることで長い道のりを歩んでいけると思う。だからこそ、俺はそれをあまり気にしていない」とコメントしている。

49ersが野望をかなえようとしている中でガロポロの能力が頭打ちになったことと、チームがガロポロの後継者としてランスを使うという長期的な計画を立てていることから、ガロポロは降格させられた。(49ersを含む)多くの人々が予想していたような明確な移行が実現に至らず、ガロポロは契約が切れるまでそこにとどまろうとしている。

とはいえ、誰もが大人のように振る舞えるわけではない。

ガロポロは「カイル(シャナハン/ヘッドコーチ)とジョン(リンチ/ジェネラルマネジャー)と話したところ、彼らはかなり明確な立場をとっていて、トレイとは直接話さなかったけど、ジョンは彼にすべてを話したと言っていた」と明かしている。「メディアではいろいろと言われているみたいだけど、正直言って自分とトレイの関係は良好だ。みんながどう言おうと勝手だけど、去年に経験したことは今の状況とそっくりだから、初めてのことではない」

ランスは2021年、まずはガロポロのバックアップとなり、いずれは長期的にチームを率いる存在になることを見込まれて49ersにやって来た。そのため、ガロポロは昨季、自分の背後を気にしつつも試合に勝つことを目指さなければならない状況だったと言える。しかし、その状況に気を取られることなく集中力を保ったガロポロは、49ersをNFCチャンピオンシップゲームに導いた。試合には地区ライバルのロサンゼルス・ラムズに痛恨の敗北を喫している。

その敗北はベイエリアにおけるガロポロ時代に終止符を打ったかのように思われ、ガロポロ自身も試合に敗れた後に臨んだ記者会見で、2017年に49ersに移籍して以来、彼と49ersを取材してきた人々に別れを告げたほどだった。

その後、肩の手術を受けたことで他チームからの関心を集められなくなったガロポロは、トレーニングキャンプの終盤に至るまで不安定な立場に立たされている。実質的にチームの一員ではなかったガロポロは、練習では端に追いやられ、ミーティングには参加できず、チームのプレーブックすら渡されていなかった。

そして、プレシーズンが終盤に近づくにつれて、49ersが思い描くガロポロの移籍が実現しないことが明らかになっていった。それでも、ガロポロは沈黙を守り、チームからの放出を要求していない。

ガロポロにとっての最良の選択肢は、49ersに残るというシンプルなものであることが明らかになった。両者はチームが財政面で打撃を受けることを避けながら、それを実現できる形で折り合いをつけている。

チームからの放出について「単純に自分の望む道ではなかった」と強調したガロポロはこう続けた。「一時期はそういう考えもあった。真面目な話、確かにあったけど、現れてはすぐに消えた。分からないけど、物事はなるようになるものだし、自分はあちこちであまり波風を立てずに流れに身を任せたいタイプなんだ。トレーニングキャンプはそんな感じで過ごしていて、それで満足していた。さっき言った通り、事はうまく収まったし、今はハッピーだ」

ガロポロはこの契約でノートレード条項を与えられているため、他チームが真剣なオファーを出してきた場合、安全性と意思決定権を確保できるようになっている。

トレードされなくても、ここ5年間の大半を過ごしてきた場所に戻って来られるとガロポロは分かっていたようだ。そのシナリオはガロポロがサンフランシスコに残ることで合意する動機の一部となり、ガロポロは木曜日に親密性の重要性について強調している。

また、2022年に出場してもしなくても、クオーターバックを必要としている他チームからいずれ自分の能力が求められることをガロポロは分かっているはずだ。単純に、その前に新しい場所で1年間のトライアルを受ける必要はない。

ガロポロは次のように語っている。「勝つこととかと同じくらい、それはいつも考えなければならない。契約の状況とか、少しは将来のことを考えなければならないものさ。それは誰もがある程度やっていることだと思う。そういう点ではスマートでなければならない。でも結局のところ、今は1人の49erで、そのことに満足している」

もしランスの調子が悪くなれば、49ersはガロポロも確保しておいてよかったと思うはずだ。そうでなくても、友好的に別れる余地はあるだろう。

【RA】