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NFLが選手連合とのパートナーシップを延長、5年間で19億円以上の支援を確約

2023年01月27日(金) 11:42

NFLロゴ【AP Photo/Kyusung Gong】

NFLと“Players Coalition(選手連合)”は人種的・社会的不公正と闘うため、これまで積み上げてきた成果をもとにパートナーシップをさらに5年間延長し、1,500万ドル(約19億4,685万円)の助成金を提供することに合意したとの情報を『NFL.com』が入手した。

その後、現地26日(木)の夕方にリーグが正式に声明を出している。

選手連合の共同設立者で14年間にわたってNFLでプレーした元ワイドレシーバー(WR)のアンクワン・ボールディンはこう話す。「最初の5年間で私たちは公選弁護人の公平性を支援し、長期刑に服している人たちにもう一度チャンスを与えるよう働きかけ、法律と教育制度における人種的な平等をリーグ内で提唱してきた。私たちは有力者の説明責任を追及し、地方検事や保安官などの選挙管理者が公平性の問題に関して多大な権限を持つ選挙に対して注意を促してきた。すでに多くを成し遂げたが、やるべきことはまだまだある。いま私たちはそれを継続し、リーチを広げるためのリソースを手に入れることができた」

NFLと選手連合が初めて提携したのは2018年で、リーグが現在“Inspire Change(インスパイア・チェンジ)”と呼んでいる取り組みに発展している。それ以来、NFLと各チームは選手たちとともに、2020年に組織的な人種差別と闘うために確約した10年間2億5,000万ドル(約324億6,250万円)を上回る額を投資してきた。

NFLコミッショナーのロジャー・グッデルは木曜日にNFL.comに提供した声明の中で、「社会的不公正と闘うことは継続的なプロセスである」と述べている。「NFLファミリーはより公平な未来を形成し、それに貢献することが自分たちの役割であると理解している。私たちがより多くの経験を積めば積むほど、継続に向けてより強い意志を持つことができる。選手連合とのパートナーシップを拡大することで、さらにインパクトのある機会を作り、社会正義の最前線で活躍する組織や個人に投資していくことを約束する」

パートナーシップの延長と新たな資金によって、NFLの社会正義のための助成金がさらに充実することが期待される。この助成金はこれまでに少なくとも650の地域の非営利団体、1,950の選手とレジェンドのマッチンググラント、40以上の国の助成金パートナーを援助しただけでなく、若者の正義、有権者の権利や投票権の回復、警察、教育、教師の平等などの分野で重要な法的な勝利にも貢献してきた。これらの分野は、複数のスポーツリーグに所属する1,400人以上のプロスポーツ選手、コーチ、オーナーと協力して、どのような教育を提供し、改革を提唱するかについて取り組んできた独立非営利団体である選手連合が特に注力した分野となる。さまざまな活動で声をあげ、時間や資源を提供することで以下のような成果をあげている。

•ミシガン州では基準年齢を17歳から18歳に引き上げることで未成年者を成人として起訴する慣行を廃止。
•フロリダ州では過去に重罪を犯した140万人の市民の投票権を回復。
•ルイジアナ州では過去に重罪を犯した数千人の市民の投票権を回復。
•マサチューセッツ州は公立学校への新たな資金として15億ドル(約194億5,800万円)を確約。
•メリーランド州は“メリーランドの未来のための青写真”という教育法案を可決し、州全体の公教育の公平性を実現するために切望されていた多額の資金提供と重要な政策変更を確約。
•フィラデルフィア州は“運転平等法案”を可決し、警察官がテールライトの破損などの軽度の自動車違反でドライバーを車から引きずり下ろすことを防止。
•ケンタッキー州はノーノック令状(ノックをせずに家宅捜索できる令状)の一部禁止を制定。
•カリフォルニア州メンローパークの住民による第5号法案の否決により、教師たちが就職先の学校と同じ地域で生活できるよう、手頃な価格の住宅を保護することに成功。

「2020年に警察官がジョージ・フロイドさんを殺害したあと、全米が人種的な平等のための闘いに重きを置くようになった」と選手連合の共同設立者で13年間のNFLキャリアを誇る元セーフティ(S)マルコム・ジェンキンスは述べている。「悲しいことに、そういった活動は少なくなり、多くの“提唱”は『Twitter(ツイッター)』上の簡単なメッセージで終わってしまうようになった。だが、この取り組みは以前と同じように重要で差し迫ったものであることに変わりない」

NFLは選手連合へのコミットメントと同時に、リーグのパートナーの意見と選手による指導のもと、Inspire Changeの4つの柱に該当する活動に対して、全米における社会正義に対する助成金を独自に指揮することを発表する予定となっている。その4つの柱は以下となる。

教育:教育現場やその先の過程でより良い成果を出すための指導環境を育む。
経済的な発展:金融リテラシーとキャリアパスの向上機会を促進する。
警察と地域社会の関係性:警察と地域社会、緊急事態に対応できる警察以外の第三者の協力を通じて、警察行政に変化をもたらす。
司法制度の改革:元服役者の社会復帰の支援と刑事法制の重要な改革を提唱する。

ジェンキンスは「最近では今月もまた警察の不必要な暴力によって市民が命を落とす事件があった」と話している。「学校、裁判所、刑務所など、社会のあらゆる場面で人種間の不公平が続いている。今回の延長によって、草の根の組織やコミュニティに深くかかわる活動が必要とされている時期に、継続的な支援が可能となった。社会正義の取り組みは2、3年前ほど活発ではなくなっているが、極めて重要な取り組みであり、私たちは今回の支援に感謝している」

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