MLBワグナーが「周りの力を高める」存在になることを期待するコマンダースHCクイン
2024年03月31日(日) 14:57ダン・クインはダラス・カウボーイズからワシントン・コマンダースに移る際に、多くの元カウボーイズ選手を引き連れてきた。
しかし、ヘッドコーチ(HC)としての初年度にコマンダース守備陣に火をつけるのを手助けしてくれるとクインが期待しているのは、カウボーイズ時代より前に出会っていた選手だ。
コマンダースがフリーエージェント(FA)のミドルラインバッカー(MLB)ボビー・ワグナーと契約したことで、クインは2013年と2014年にシアトル・シーホークスで指導していたワグナーと再会。殿堂入りが確実視されているワグナーは、キャリアの終盤に一周回って再びクインの下でプレーし、コマンダースをけん引しようとしている。
先週、クインは『SiriusXM NFL Radio(シリウスXM NFLラジオ)』でワグナーについて「フットボールに関して彼のすべてを気に入っている」と述べ、こう続けた。「彼はタックラーだ。アグレッシブで、タフで、スマートで、自分のことは自分でする。だから、私は彼が周りの力を高める人になることを期待し、そうなると確信している。“これがスタンダードであり、私のやり方であり、通過すべきプロセスだ”からだ。つまり、自分が誰かの周りでプレーする若手ラインバッカー(LB)だったとしたら、彼はまさに周りにいたいと思うタイプのラインバッカーだ」
「自分たちの運営方法の基準を見て、それは本当に重要だと思った。だから、私は彼をここに連れてくることに興奮している。彼を指導するのは久しぶりだ。彼には何度も指導した。背番号に印をつけて、“この人に、15回のタックルでこの試合を破壊させるな”と言ったのを覚えている。彼や他の選手たちと一緒に仕事ができるチャンスを手に入れられたのは本当にうれしい」
コマンダースの他の守備選手たちが、ワグナーがキャリアを通じて築き上げてきた基準を少しでもなぞることができれば、それは成功と見なされるだろう。
13年目のシーズンを迎えるワグナーは、スーパーボウルを制覇した経験のほか、プロボウルに9回、オールプロのファーストチームに6回、そして2010年代オールディケイドチームのメンバーに選出された経歴を持つ。どういうわけかこの数シーズンでも優れた成績を残している熟練したリーダーであるワグナーは、2023年にタックル数(183回)でキャリアハイを更新してリーグトップに輝いている。ワグナーが1シーズンあたりのタックル数でNFL内1位となったのはキャリアで3度目のことだった。
昨季、コマンダース内トップのタックル数(121回)を記録したLBコーディ・バートンはデンバー・ブロンコスに、115回で2位につけたセーフティ(S)キャムレン・カールはロサンゼルス・ラムズに移籍。そのため、チームに残っている選手の中で2023年に最も多いタックル数をマークしたのはジャーミン・デービスとなっている。デービスの89回という記録はワグナーより100回近く少ない。
昨シーズンにどん底に落ちたコマンダースがインパクトのある飛躍を遂げるには、ワグナーの確実なタックルと、常に適切な場所にいることが、クイン率いるコマンダースの守備陣全体に浸透する必要がある。2023年に被得点と被ヤードの両方で32位に沈んだコマンダースは、被パスヤードで最下位、被ランヤードでワースト6位となった。
もちろん、ワグナーは1人で再建するわけではない。クインはこれまでにドーランス・アームストロングとダンテ・ファウラーという2人のベテランディフェンシブエンド(DE)をカウボーイズから引き抜いている。また、LBフランキー・ルブやセーフティ(S)ジェレミー・チンといった新加入選手も補強に役立つはずだ。しかし、34歳として臨むシーズンを迎えようとしている今でさえ、ワグナーほど卓越した選手はいないと言えよう。
クインがヘッドコーチとして1年目を迎えるおかげで、ワグナーをはじめとするコマンダースのベテラン選手たちは、4月2日にミーティングやストレングス&コンディショニングに取り組む初日を迎え、ドラフトが行われる前に4月22日(月)から24日(水)にかけて自主参加のミニキャンプに参加するなどして、早めに基礎を築くことができる。
クインは「何よりも、チームとのつながりをどう作るか、どのように彼をかみ合わせるかが重要だ。少しだけ早く始めるチャンスがあるのは助けになると思う。なぜなら、新人がやってくる前に、そういった基準のいくつかはすでに整っているからだ。今ならメンタリングも実施できる。“これが私たちのやり方だ。これが君のやるべきことだ”というふうにね。だから、新人が加入する前に1カ月ほど時間があるのは、今回のような場合、本当に助かる」とコメントした。
うまくいけば文化が定着し、それに続いて事態が好転するだろう。
【RA】