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スーパーボウル制覇を狙うカウボーイズQBプレスコット、「レガシーは後からついてくる」

2025年06月16日(月) 12:53

ダラス・カウボーイズのダック・プレスコット【James D. Smith via AP】

ダラス・カウボーイズが最後にロンバルディトロフィーを掲げてから、今シーズンで30年目を迎える。

10シーズン目を迎えるクオーターバック(QB)ダック・プレスコットは、これまでNFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)ディビジョナルラウンドの先に進んだ経験がない。

攻撃部門年間最優秀新人賞を受賞し、プロボウルにも3度選出された実績を持つプレスコットだが、時間が過ぎゆくなかで個人の栄誉については気にしていないと言う。彼が見据えているのは、“America’s Team(アメリカズ・チーム)”ことカウボーイズにとって常に目標でありながらも長年届いていない、スーパーボウル制覇という一点のみだ。

「俺はチャンピオンになりたい」とプレスコットはチーム公式サイトで語った。

「レガシーだとか、引退後にどう語られるかとか、そんなものは後からついてくる。俺はチャンピオンになりたい。それが俺のレガシーのためでも、このチームのためでも、俺の精神のためでもいい。レガシーなんて勝手にできていく。だから今は目の前のことに集中するだけだ」

新たなシーズンに向けて準備を進めているプレスコットは、昨季も過去5年で3度目となる長期離脱を経験した。2024年はハムストリングを負傷し、わずか8試合の出場でシーズンを終えている。出場していた期間も例年のような華やかな数字は残せず、1,978パスヤード、タッチダウン11回に対してインターセプト8回という成績だった。だが、彼の離脱後にオフェンスはさらに精彩を欠いた。

カウボーイズの総得点はリーグ21位に終わり、これは2018年以来となるチーム最低の結果だった。

カウボーイズがスーパーボウルへの望みをつなぐには、プレスコットが最後まで健康を保つことが絶対条件だ。しかし、仮に32歳で迎える今季を無傷で乗り切ったとしても、彼らの前には多くの困難が立ちはだかる。

カウボーイズが所属するNFC東地区は、今季も激戦必至だ。チームは長年にわたってNFCのチャンピオンシップゲーム出場すら果たせていない一方で、昨季は同地区からフィラデルフィア・イーグルスとワシントン・コマンダースの2チームがその舞台に進出した。イーグルスはそのままスーパーボウルを制し、抜群のバランスを維持したまま2025年シーズンを迎える。そしてコマンダースも、QBジェイデン・ダニエルズの下で新たな勢いを見せる注目の成長株だ。

カウボーイズがリング獲得に近づくためには、まずこの2チームを乗り越えなければならない。しかも今季は、ブライアン・ショッテンハイマー新ヘッドコーチ(HC)の下でその挑戦に臨むことになる。

ショッテンハイマーHCは2023年から2024年にかけてカウボーイズの攻撃コーディネーター(OC)を務めており、チームに対する理解は深い。カウボーイズとしては、より抜本的な変化を求めるべきだったという意見もあるが、マイク・マッカーシー前HCからショッテンハイマーHCへの移行は、少なくとも通常よりはスムーズに進むはずだ。プレスコットをはじめとするチーム全体が、これからの使命に向けて足並みをそろえるには好都合と言える。

また、カウボーイズは別の分野では大胆な動きにも出ている。なかでも大きな一手となったのが、ワイドレシーバー(WR)ジョージ・ピケンズをトレードで獲得したことだ。ここ数年、パス攻撃がシーディー・ラムに大きく依存していた状況を一新することを狙った補強である。

チームの方向性に満足している理由について、プレスコットは「すべては人材から始まる」と述べ、次のように続けた。

「今回の変化は、オフェンスだけじゃなくディフェンスも含めていろんな部分で行われている。選手の補強もそうだし、もちろんジョージの加入によって、(シーディー・ラムと並ぶ)他のレシーバーたちにも大きなチャンスが生まれる。セーフティネットができたことで、彼らはもっと自由に、思い切ってプレーできるようになるし、飛躍の年にできると思っている。ジョナサン・ミンゴやジェイレン・トルバートといった選手たち、あとランニングバック陣の取り組み方も含めて、すごくワクワクしている」

「ショッティはミニキャンプでいい仕事をしてくれたと思う。選手たちを適切な位置に配置したりスペースを与えたりしたことで、彼らはどう起用されるかを実感することができた」

もちろん、楽観的な見通しやオフシーズンの調整だけでカウボーイズが再びチャンピオン争いに戻れるわけではない。それでもプレスコットは、そのプロセスが正しく機能していると感じている。

あとは、その道をスーパーボウルまで貫くだけだ。

プレスコットのレガシーがどう語られるかを考えるのは、そのあとでいい。

【R】