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ACL断裂から復帰のタイタンズWRバークス、「自分はやれるということを証明したい」

2025年06月20日(金) 12:09

テネシー・タイタンズのトレイロン・バークス【AP Photo/George Walker IV】

テネシー・タイタンズのワイドレシーバー(WR)トレイロン・バークスのNFLでの道のりは、決して平坦なものではなかった。

元1巡指名選手のバークスは、昨年10月にスペシャルチームの練習中にACL(前十字靭帯/ぜんじゅうじじんたい)を断裂。これまで幾度となく苦境を乗り越えてきたキャリアにおいて、またしても大きな試練が降りかかった。それでもなお、内なる声に突き動かされながら、より強くなって復活し、タイタンズで自身の存在を確立しようとしている。

チームの公式サイトによれば、バークスはタイタンズの参加必須ミニキャンプで「誰かを見返すためじゃない。自分はやれるということを証明したい」と語ったという。

「去年の10月にACLを断裂したけど、もう走っている。ルートもこなしているし、7カ月の間にできることは全部やってきた」

回復は予定よりも順調に進んでいると4年目を迎えるバークスは話している。先週にはヘッドコーチ(HC)ブライアン・キャラハンも同様の見解を示しており、トレーニングキャンプには万全な状態で臨めることを期待していると報道陣に語った。

もっとも、バークスにとって克服すべき課題はケガだけではない。

2022年に全体18位指名という期待を背負ってリーグ入りしたものの、ここまでの2年間は期待外れの成績に終始。昨シーズンは出場スナップ数を稼ぐため、スペシャルチームでの起用にも頼らざるを得なかった。

バークスにとってタイタンズでの初めてのオフシーズンは、コンディショニングの問題や喘息の症状に悩まされる形で出鼻をくじかれた。タイタンズのチーム合同練習(OTA)では制限付きの参加にとどまり、参加必須のミニキャンプも欠席。そのままルーキーイヤーのシーズンでは本来の力を出し切れずに終わった。現時点ではその年がプロ入り後もっとも充実したシーズンとなっている。

その年の成績はレシーブ33回、444ヤード、タッチダウン1回。これまでのキャリア通算では27試合に出場してレシーブ53回、699ヤード、タッチダウン1回という数字にとどまっている。

バークスは2シーズン前にも脳しんとうやLCL(外側側副靭帯/がいそくそくふくじんたい)捻挫により戦列を離れている。

2024年にキャラハンHCが指揮官に就任すると、キャンプ開始前の段階でバークスに対してスペシャルチームでの貢献を求める方針を示した。これは、若手WRであるバークスがチーム内での序列をこれまで以上に下げた可能性を示唆するものだった。実際、昨季のバークスはスペシャルチームでも出場機会を増やし、チーム全体のスペシャルチームスナップの9.3%に参加。一方で、オフェンスでのスナップ出場率は前年の62.1%から47.9%へと減少している。

そんな中で練習中にACLを負傷したバークスは、これを「予期せぬアクシデント」と表している。

再び訪れた試練に当初は落ち込んでいたが、現在はそれをモチベーションに変えている。5年目オプションが破棄された今、契約最終年を迎えるバークスにとって、それは必要不可欠な原動力となる。

「“どうして俺なんだ”と神を責めたことは一度もない」とバークスは語った。

「でも、その出来事をきっかけに、自分が本当にこの競技を愛しているのかどうか、考えるようになった。フットボールにはたくさんのものが伴うからだ。毎日練習場に出て、仲間たちが何を経験しているかを見たり、自宅からそれを見守ったりする中で、ますます恋しくなった。そして今は、敬意を持ってこの競技をプレーしたいと思っている」

「この施設にいる毎日、そして練習に励む毎日を、当たり前だとは思っていない。今は、俺にとって前よりもずっと大きな意味を持っている。それまでも大事にしていたけど、今はそれ以上に重みがある」

タイタンズのオフシーズンプログラムが終了した今、バークスは7月22日(火)に始まるトレーニングキャンプに向けた準備を本格化させている。

そこに参加し、完全に復帰の許可が下りれば、バークスはワイドレシーバー陣の中で居場所を勝ち取るべく、自らの価値を証明しなければならない――チームに対しても、自分自身に対しても。

現在、ルーキークオーターバック(QB)キャメロン・ウォードのターゲットの筆頭はカルビン・リドリーで、フリーエージェント(FA)で加入したベテランのタイラー・ロケットとヴァン・ジェファーソン、そして4巡目指名の新人チムレイ・ディーケイとエリック・アヨマノールも控えている。

バークスも彼らとの競争に加わる。新たな視点を得た彼は、3年連続で逃しているプレーオフ復帰を目指すタイタンズの力になれることを願っている。

【R】