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NFL選手が現役時代からセカンドキャリアを見据えるBizWeekが開催

2026年03月31日(火) 13:30

【NFL】

3月のフリーエージェント(FA)市場から4月のドラフトに至るまで、NFLのカレンダーにおけるこの時期は、未来への準備期間にあたる。先週、ニューヨークに集まった選手たちも、まさにその準備に勤しんでいた。ただし、彼らが見据えていたのは直近の試合やスーパーボウル制覇のさらに先にあるもの、すなわちプロフットボール引退後の人生だ。

“NFL BizWeek(NFLビズウィーク)”では、ラスベガス・レイダースのセーフティ(S)ジェレミー・チンやマイアミ・ドルフィンズのラインバッカー(LB)ジョシュ・ウチェ、アリゾナ・カーディナルスのLBバーロン・ブローイングといった現役選手たちが、ビジネスや起業での成功に向けて地力を蓄えた。3日間のワークショップ期間中、参加者たちはマイケル・ストレイハンやマルコム・ジェンキンス、ジャスティン・タックらNFLのレジェンドたちが主導するパネルディスカッションに出席。シラキュース大学が運営するマイクロクレデンシャル(短期学習証明)プログラムを受講したほか、ピッチイベントでのプレゼンテーションや、金融、不動産、テクノロジー業界をけん引するエグゼクティブや投資家とのネットワーキングに臨んでいる。

元NFLオフェンシブラインマン(OL)ジャスティン・ピューは、自身が共同設立した『Athlete + Us(アスリート・プラス・アス)』を通じてこのビズウィークを共同プロデュースしており、イベントを「選手による、選手のためのもの」と表現する。この構想は、リーグが選手の引退後のキャリア準備を早期に開始させる手段として、ピューが考案したものだ。ニューヨーク・ジャイアンツでの2023年シーズン第18週に現役最後となるスナップを記録してから、7月の引退発表に至るまでの期間にあたる昨年3月、ピューはNFLのオフシーズンの選手エンゲージメントプログラムの一つとして、ビズウィークの立ち上げに尽力している。

「これを始めたとき、俺はまだ現役の選手だった。そして今、現役の選手たちがその手でこのイベントを形作っている」とピューは『NFL.com』に語った。

「それこそが、この試みを唯一無二のものにしている」

リーグと協力してビズウィークを創設するため、ピューはNFL選手オペレーション部門上級副社長のトレーシー・パールマンに接触。パールマンはピューに対し、イベントの具体的な内容やあり方を一から描き出すよう求めた。

「彼は、自分なりのビジョンの提示と連携の青写真を描いて戻ってくるという宿題に取りかかることになりました」と、パールマンは『NFL.com』に当時を振り返る。

「彼は入念な調査を行い、選手たちが何を学び、何を知る必要があるのかを問いかけました。さらに多くのレジェンドたちにも当たり、“現役時代にこれがあれば有益だったと思うものは何か”と聞いて回ったのです。そうして彼が持ち帰ってきたのは、とても多角的で隙のない計画でした。だからこそ、私たちも彼を全面的にバックアップすることができたのです」

サミット開催から2年が経過し、その存在感が高まるにつれてパートナーやベテランの声、そして参加希望者も増えているとパールマンは言う。もっとも、NFLはビズウィークのようなプログラムにおいて、マンツーマンに近い環境を築くため、個々の参加者数を24から32人に制限している。

ワークショップのオープニングセッションを主催した『Nike(ナイキ)』をはじめ、数々の企業やパートナーがこのイベントに寄与している。不動産会社の『RXR』は、参加者との対話の場を設けたほか、70億ドル(約1兆1,183億9,000万円)規模の超高層ビルの建設現場へ選手たちを案内したとピューは『NFL.com』に話している。また、『Core Club(コア・クラブ)』もネットワーキングイベントを開催した。

ニューヨーク証券取引所は、業界のリーダーたちを招いた複数のセッションに加え、同所の金庫室で選手限定のハッピーアワーを開催。ピューの母校であるシラキュース大学は、実践的なビジネス教育を提供し、フィンテック企業『Ramp(ランプ)』のオフィスで行われたピッチイベントに向けてその土台を築き上げた。このイベントでは、数名の参加者で構成された各チームに4時間の準備時間が与えられ、さまざまな業界のCEOで構成される審査員団の前でプレゼンテーションに臨んでいる。

教育的な側面や、ビジネス界の重鎮たちに顔を売る機会に加え、このワークショップの核心は選手が選手から学ぶ点にあった。リーグの仲間たちとアイデアをぶつけ合うだけでなく、かつて同じ道を歩んだ先達たちの経験から教訓を得ることこそが、その真髄と言えるだろう。

ピューはこの経験について次のように語っている。

「これはビジネスの世界について学ぶ3日間だ。いかにして自身のネットワークを磨き上げるか。人脈を広げ、対話を深めるための秘訣や、メンターを得るための具体的なアプローチとは何か。そして、先陣を切った偉大な先達たちから学び、いかにして自身の武器を増やしていくか。俺たちはビジネス界の巨頭たちから学ぶと同時に、NFLの偉大な選手たちからも多くを学んでいる」

将来的にパールマンが目指しているのは、ビズウィークの内容をさらに深化させることだ。選手たちが進むべき多様な道筋について学びながら、フットボールと同じ情熱を注げる何かを、彼ら自身の手で見つけ出せるようにすることに他ならない。

「彼らがより幅広い経験を積みつつ、特定のトピックについてさらに深く掘り下げられるようになることを願っています」とパールマンは言う。

「今のビズウィークは、世の中に存在するあらゆる選択肢を概観するにとどまっており、私たちが望んでいるのは、いわば入門編だけでなく、自分の興味に合わせて専門性を深められる応用編へと発展させることです」

参加者たちの今後について、ピューとパールマンの双方はビズウィークがあくまで踏み台に過ぎないことを認識しつつも、それが極めて重要な一歩だという。

2人は、選手たちがサミットで得た教訓やコネクションを糧に、それを実践に移すことの重要性に触れている。オフシーズンにインターンシップに参加する、エグゼクティブに同行して仕事を学ぶ、あるいは単に連絡を取り合える関係を維持するなど、その形はさまざまだ。

「ビズウィークをどう生かすかは自分次第。誰と出会い、誰と握手を交わし、どれだけ熱心にフォローアップを継続できるかにかかっている」とピューは語る。

引退が訪れるずっと前から準備を始めることの重要性を強調し、ピューはこうつけ加えた。

「セカンドキャリアへの移行は、パッドを脱ぐ日ではなく、それを初めて身につけた日から始まっている」

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