運営システム

NFL system

 NFLのリーグ運営は設立当初から、スポーツの魅力とは最高のレベルで戦力の均衡したチームが繰り広げる競争状態である、という理念のもとに行われています。リーグ全体が継続的に繁栄しアメリカ全土を熱狂させるためには、戦力や資金力が特定のチームにだけ片寄ってしまうことのないシステムを構築することが必要である、という信念がそれを支えています。

 NFLでは現在、「レベニューシェアリング」、「サラリーキャップ」、「ウェーバー制ドラフト」という3つのシステムによって戦力や資金力を均衡させ、ニューヨークのような大都市にあるチームも、メジャープロスポーツリーグのフランチャイズとしては最も小さなマーケットにあるグリーンベイ(全米69番目)も、同じ条件でフィールド上では競い合える仕組みを築き上げてきました。特に、レベニューシェアリングはリーグの根幹をなすもので、すでに40年以上も前にその仕組みは整えられています。

 この結果、NFLはアメリカの4大スポーツリーグで最も健全な運営を行うリーグとなりました。アメリカの経済誌フォーブスが2004年に発表したアメリカメジャースポーツの各フランチャイズの格付けランキングでは、16位のニューヨーク・ヤンキース(MLB)以外は上位33位までをNFL 32チームが占めています。1位のワシントン・レッドスキンズは11億400万ドル、33位のアリゾナ・カーディナルスでも5億5,200万ドルの価値と算定されています。このデータによると、NFLではカーディナルス以外の全チームが黒字で運営されています。

 前述のグリーンベイ・パッカーズは、2003年度(2004年3月31日期末)の収支を発表しており、それによると総収入は1億7,910万ドル、利益はNFL 32チーム中10位の2,080万ドルを記録しました。収入の中では、リーグから分配されるTV放映権だけでも8,120万ドルと売上の約45%を占めています。

 このような明確なビジョンはフィールド上にも反映され、先に掲げた理念が実現されています。ここ20年でスーパーボウル連覇を達成したチームは4チームしかなく、3連覇を果たしたチームはスーパーボウルが39年前に始まって以降1チームも出ていません。ここ10シーズンを見ても、異なる7チームがスーパーボウル制覇を達成しています。

 NFLの優勝チームを決めるスーパーボウルのTV視聴率は毎年40%を超え、アメリカのTV番組歴代視聴者数ランキングのトップ10は全てスーパーボウルで占められている。観客動員においては、2004シーズンのレギュラーシーズン中の1試合平均の観客は、2年連続で過去最高となる66,409人を記録しました。これはレギュラーシーズン1試合の平均収容可能人員の90%以上に相当します。このように、戦力均衡によりシーズンを活性化させることで、NFLはアメリカ人気ナンバー1スポーツとしての地位を絶対的なものにしたのです。

レベニューシェアリング

 リーグの根幹を成すシステムで、これによりフランチャイズのある都市の規模に関わらず同じ土壌でのチーム運営が可能となっています。

 NFLでは以下の収益をリーグ全体でプールし、所属する32チームに均等に分配しています。1チームの収入に占めるリーグからの分配金の割合は平均約70%に達しています。

テレビ放映権

 NFLではリーグが一括して、レギュラーシーズン(256試合)、スーパーボウルを含めたポストシーズン全試合のTV放映権の交渉を行います。各チームは全国放送のないプレシーズン戦のみ、個別でTV放映権の契約を行うことができます。

チケット収入

 各試合のチケット収入の40%はリーグ全体の売上としてプールされます。各試合の売上60%は、ホームチームの収入となります。

ライセンスグッズ収入

 各チームのライセンスグッズの売上から発生するロイヤリティ収入。

スポンサー収入

 リーグと契約するナショナル、またはグローバルスポンサーからの収入。各チームはローカルスポンサーからの収入はチームの売上とすることができます。

サラリーキャップ

 サラリーキャップは各チームが選手の給与として使用できる最大の金額を毎年規定するものです。フリーエージェント制による選手の年俸の高騰を抑え、全チームが平等な条件で毎年戦えることを目的とし1994年から採用されています。

 各シーズン、「規定されたリーグ収入」の一定の割合(その年によって変わります)が選手の総サラリー額として割り当てられます。これをNFLのチーム数である32で割ったものが、その年のサラリーキャップ額となります。この「規定されたリーグ収入」とは、プレシーズン、レギュラーシーズン、ポストシーズンの入場料、レギュラーシーズンとポストシーズンのテレビとラジオの放映権料からの収入で、32チーム全てに平等に分配される金額です。実際のサラリーキャップ額はシーズン終了後、NFLプレイヤーズ・アソシエーションとリーグとが共同で決定します。ちなみに、2015年シーズンのサラリーキャップ額は1チーム1億4,328万ドル(約171億4,600万円)です。

 リーグイヤー開始日からそのシーズンの開幕日までの期間はチームの年俸ランキングで上から51番目までの選手がサラリーキャップの対象になります(契約金を契約年数で割った額、達成濃厚な出来高契約によるボーナス額を含む)。全チームがこの限度枠内に収まっている必要があり、限度額を超えている場合、罰金やドラフトの指名権はく奪などの罰則があります。52人目からロースター限度の80人までの給料は計算されません。レギュラーシーズンが始まると、53人ロースター全員の基本給と、契約金を契約年数で割った額、達成濃厚な出来高契約によるボーナス額、さらに8人のプラクティス・スクワッドと故障者リスト入りした選手の給与全てがサラリーキャップの対象となります。

ウェーバー制ドラフト

 ドラフト制度を採用した初めてのスポーツリーグとして知られるNFLのドラフトでは、戦力の均衡を保つため全ラウンドで前シーズンの最下位チームから順番に指名を行っていくウェーバー制が採用されています。

 NFLのドラフトは毎年4月後半に行われ、ドラフトを境にNFLの新シーズンがスタートするという印象を人々に与えます。3日間に渡るドラフトは7位指名まで行われ、初日が1巡目、2日目が2~3巡目、最終日に4~7巡目の指名が発表されます。

 指名を行う各チームはラウンドごとに与えられる持ち時間内で選手の選択を行う。持ち時間は第1巡が15分、第2巡が10分。第3巡以降は5分となっています。この時間を過ぎると自動的にそのラウンドでの指名権を失ってしまいます。チームは選手を選ばずに、指名権を他チームの指名権(その年または将来の)や、選手とトレードすることもあります。(指名権と選手の場合もあります。)

 ドラフト当日は各チームのオーナーやGM、ヘッドコーチをはじめ、コーチ、スカウトらがチーム・ヘッドクォーターの「ウォールーム」と呼ばれる部屋に集まり、そこから指名を行います。ドラフトの行われるニューヨークには指名を伝えるチームスタッフが派遣されます。「ウォールーム」内にはその年のドラフト候補選手に関するありとあらゆる情報が集まっています。チームは事前に、何度も何度も考えられる状況を想定して仮想ドラフトを行い、当日に備えます。

 選手を選択する際には、身体能力だけでなく選手の性格や人間性がチームと一致するかも含めて評価がくだされます。そのため、チームによっては、何百問にも及ぶ心理テストをドラフト候補選手に課す場合もあります。

 ドラフト指名を受けるのは主に大学4年生。また、近年では4年生以外でも高校を卒業して3年が経っていれば、事前に申請をすることでドラフト対象選手になり得ます(=アーリーエントリー)。しかし、その選手はドラフトで指名を受けなかった場合、大学でのプレイ資格を失うことになります。

 NFLが初めてドラフトを開催したのは1936年。当時、資金力のあるチームにばかりいい選手が集まり、結果、そのチームがさらに強くなり弱いチームとの格差がさらに拡がるという悪循環が続いていました。そこで、各チームのバランスを取り、全てのチームに勝つ機会を与えファンのリーグに対する興味を引き立てようとの考えの下、ドラフト制度はスタートしました。

 現在も戦力均衡に対するその理念はNFL全体に流れており、ドラフトはNFLが成功を収めるための重要な役割を果たしています。

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